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第一章 極度の男性恐怖症な少女は悪役令嬢に転生する
第五話 ユリアス・エリストラーヴァという少女
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「あ~美味しかった~」
「それは良かったです」
異世界の食事がこんなに美味しいものだったとは………ちょっとこの世界に転生して良かったかもです。
………あ、べ、別に食べ物に釣られたわけじゃないですからね!?一応言っておきますけど!
「さて、お嬢様はご自分のことについてどれくらい覚えていらっしゃいますか?」
「………ごめんなさい。何も……分からないの」
「そう……ですか。分かりました。では、ゆっくり思い出していきましょう」
「ごめんなさい。迷惑をかけて……」
「良いんですよ。私たちはそのためにいるようなものですから。さて、何から説明しましょうか……」
「ねぇ、私は何者なの?」
「お嬢様はお嬢様です。名門エリストラーヴァ公爵家の長女、ユリアス・エリストラーヴァ様ですわ」
あ、本名はユリアスなんですね……。
てっきりユリアかと……。
「さっきの人は?」
「お嬢様のお父上、そしてエリストラーヴァ公爵家当主のバルトハルト・エリストラーヴァ様です」
その名前を頭の中でメモする。
さすがにこの子の家族くらいは知っておかないと、今後が大変ですからね。
「記憶を失う前の私はどんな子だったの?」
「………いつも笑顔で少々お転婆な方でした。お嬢様に困らされつつも皆楽しそうに笑っておりました。旦那様も奥様も」
「奥様?」
………となるとユリアスさんの母親ですね。
「えぇ。アリシアーナ・エリストラーヴァ。お嬢様のお母様です」
「私は三人家族なの?」
「いえ、エリアス様……妹様が一人おられます」
「妹?」
「えぇ」
今一瞬メアリーの目がそれた。
「どんな子?」
「物静かで、甘えん坊な方です。ですから常に奥様の傍を離れてくださらないので、奥様も滅多にお嬢様に会いに来れません」
「そう」
なんだか言い訳みたいに聞こえるのは気のせい……?
私になる前に何かあったのでしょうか。
「ありがとう。いろいろ考えたいからしばらく一人にしてくれる?」
「かしこまりました」
そう言って立ち去っていくメアリーを私は見送って
「さて、と。日記かなにかあったらいいんですが……」
まずは情報収集です。
私はまだ知らないことが多すぎますから………。
女の子の日記はだいたいここらへんに………。
「あっありました!ビンゴですね!………それにしてもユリアス・エリストラーヴァ………なんだかどこかで聞いたことがある名前なんですよねぇ………どこでしたっけ」
なんとなく、もう一度鏡を見てみる。
そこに、“今までの私”の姿はない。
「相変わらず綺麗な子ですねぇ………淡い水色、ガラスのような瞳………。でも目はちょっとつり目気味ですね。笑ったら可愛いんでしょうけど、無表情だとキツそうなお顔………。そう!なんだか悪役令嬢みたいな………」
ん………?
悪役令嬢………?
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「おっお嬢様!?どうかなさいましたか!?」
うわっ………そうですよね!聞こえますよね!すみません!!(泣)
「あ、い、いえな、なんでもないです!!」
「で、ですが………」
「ほ、本当に大丈夫ですから!!」
「そ………そうですか………」
若干気圧されながらも、メアリーはドアの向こうへ引っ込んでくれました。
なんとか危機を脱出した………そんな感覚です。
「それにしても………」
なんで今まで気づかなかったんでしょう!
いたじゃないですか!悪役令嬢ユリアス・エリストラーヴァ!!
「それは良かったです」
異世界の食事がこんなに美味しいものだったとは………ちょっとこの世界に転生して良かったかもです。
………あ、べ、別に食べ物に釣られたわけじゃないですからね!?一応言っておきますけど!
「さて、お嬢様はご自分のことについてどれくらい覚えていらっしゃいますか?」
「………ごめんなさい。何も……分からないの」
「そう……ですか。分かりました。では、ゆっくり思い出していきましょう」
「ごめんなさい。迷惑をかけて……」
「良いんですよ。私たちはそのためにいるようなものですから。さて、何から説明しましょうか……」
「ねぇ、私は何者なの?」
「お嬢様はお嬢様です。名門エリストラーヴァ公爵家の長女、ユリアス・エリストラーヴァ様ですわ」
あ、本名はユリアスなんですね……。
てっきりユリアかと……。
「さっきの人は?」
「お嬢様のお父上、そしてエリストラーヴァ公爵家当主のバルトハルト・エリストラーヴァ様です」
その名前を頭の中でメモする。
さすがにこの子の家族くらいは知っておかないと、今後が大変ですからね。
「記憶を失う前の私はどんな子だったの?」
「………いつも笑顔で少々お転婆な方でした。お嬢様に困らされつつも皆楽しそうに笑っておりました。旦那様も奥様も」
「奥様?」
………となるとユリアスさんの母親ですね。
「えぇ。アリシアーナ・エリストラーヴァ。お嬢様のお母様です」
「私は三人家族なの?」
「いえ、エリアス様……妹様が一人おられます」
「妹?」
「えぇ」
今一瞬メアリーの目がそれた。
「どんな子?」
「物静かで、甘えん坊な方です。ですから常に奥様の傍を離れてくださらないので、奥様も滅多にお嬢様に会いに来れません」
「そう」
なんだか言い訳みたいに聞こえるのは気のせい……?
私になる前に何かあったのでしょうか。
「ありがとう。いろいろ考えたいからしばらく一人にしてくれる?」
「かしこまりました」
そう言って立ち去っていくメアリーを私は見送って
「さて、と。日記かなにかあったらいいんですが……」
まずは情報収集です。
私はまだ知らないことが多すぎますから………。
女の子の日記はだいたいここらへんに………。
「あっありました!ビンゴですね!………それにしてもユリアス・エリストラーヴァ………なんだかどこかで聞いたことがある名前なんですよねぇ………どこでしたっけ」
なんとなく、もう一度鏡を見てみる。
そこに、“今までの私”の姿はない。
「相変わらず綺麗な子ですねぇ………淡い水色、ガラスのような瞳………。でも目はちょっとつり目気味ですね。笑ったら可愛いんでしょうけど、無表情だとキツそうなお顔………。そう!なんだか悪役令嬢みたいな………」
ん………?
悪役令嬢………?
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「おっお嬢様!?どうかなさいましたか!?」
うわっ………そうですよね!聞こえますよね!すみません!!(泣)
「あ、い、いえな、なんでもないです!!」
「で、ですが………」
「ほ、本当に大丈夫ですから!!」
「そ………そうですか………」
若干気圧されながらも、メアリーはドアの向こうへ引っ込んでくれました。
なんとか危機を脱出した………そんな感覚です。
「それにしても………」
なんで今まで気づかなかったんでしょう!
いたじゃないですか!悪役令嬢ユリアス・エリストラーヴァ!!
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