上 下
4 / 22
第一章 極度の男性恐怖症な少女は悪役令嬢に転生する

第二話 治らない

しおりを挟む
しばらくぼんやりとした時間が流れた。
チクチクと時計の音が響く。
その音に混じって、コンコンと音が聞こえた。
発生源は…………

「扉?」
「失礼します」
「!?」

キィっと音を立てて扉が開く。
現れたのは、いわゆるメイド服を着た茶髪の女性。
彼女は私を見ると、目を見開いた。

「お嬢様……?お目覚めになられたのですか……?」

震える声で問いかけた。
発言から察するに、この子は病気か何かで今まで眠っていたのかもしれない。
……ってこれってかなり危ない状況ですよね!?
私はこの子じゃない。
ここがどこかもわからなければ、目の前の女性が誰かもわからない。
おそらく、この子に近しい人物だとは思うのですが……。
こういうとき……どうしたらいいんでしょう……。

「……かった」
「………?」
「良かった……!良かったです……!!無事にお目覚めになられたのですね!?」
ビクッと肩が上がるのがわかった。
「ああ本当に良かった!大丈夫ですか?どこか痛いところは?」
「え……あ……………」

待って………待ってください。
わからない。わからないです。
この子は誰?私はなに?私はどうしたらいいの?
涙を滲ませながらの目覚めを喜ぶこの人は………

「…………誰?」

静かな部屋にいやに響いた声。
「……え?」
メイドの顔から喜びが消えた。

「っ……!」

さっと、口を塞いだ。
だって、私も分からなかった。
私は今、何を……。
何を言ってしまったの……?
わからない。
思わず口にしてしまった。
取り返しのつかないことを言ってしまった。
ダメ、こんなこと考えてるまえに何か言わないと。
言わなきゃ………。

「あ……こ……これは……ちが……」

上手く口が回らない。
なにも言えない。
息が………できない。

どうしよう……どうしたら…………。

「………」
「………」

言わなきゃいけないのに、言葉がでてこない。
重たい………沈黙の時間。
先に動いたのは………彼女だった。

「だ………」
だ………?

「旦那様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

彼女はそう叫び、ドアの向こうへ消えてしまった。


「どうしよう……」

そう、呟いた。
だって旦那様………ってここの家主ですよね………?
つまり……この子の

『父親』

「うっ……あ…」

まずい………!!
体からせりあがってきた嘔吐感。
素早く近くにあった銀のトレイを引き寄せる。

「ウッ…オエ……ウプ……」

……気持ち悪い。
げほっげほっと大きく咳き込む。

あぁ……また……吐いてしまった。

転生しても……治らなかった。
その単語にさえ、恐怖を抱いてしまう。
怖くてたまらない。
それを吐き出したくて、その存在から逃げたくて……何度も何度も吐いてしまう。

「ハァ……ハァ……」

怖い……怖い。
私は『男性』が怖い。
特に『父親』という存在が……この世で一番怖い。
だから逃げなきゃ。
あの人が………違う。この子の父親が来る前に。
でもどこに?わからない。
この子はどれくらい動ける?この子の移動速度でどこまでいける?
わからない………わからないよ………。

「………助けて……おかあさん」

部屋の隅で自分の体を抱え込む。
誰も助けてくれないのに。
もう、助けてくれる人なんていないのに。
私はいつまでたってもから逃げられない。
これが、証拠だ。
また、今世も縛られて生きるのか。
あの人なんかに………。

「もう………嫌だ」

今はいずれ来る違う存在が怖くて……怖くて……たまらない。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

はいっ!というわけでこんにちは!
作者のSAKURAさんでーす☆
………
やってみたかっただけですごめんなさい(泣)
ほんの出来心だったんですぅ!((((殴
大変テンションがおかしくて申し訳ありません………。
いやあの………作者もここまで重たーい話になるとは思ってなかったんですよ。
ちょっと恋愛要素がプラスされたラブコメ書くつもりだったんですよ!?
なぜこんなに重たい話に………。
嫌でも極度の男性恐怖症だし、一番の恐怖の対象が父親ならここまでいくかなぁ………と。
………………テヘペロ☆((((殴
ごめんなさいごめんなさい!!すいません!だからそんな目で見ないで!!引かないでぇ!!(泣)
えーまぁこんなダメダメなアホ作者ですか、優しく応援してくれたら嬉しいです。
頑張って書き続けるので!(ネタが切れるまで)
きっとラブコメになるはず!うん!
だからその日まで小説ともども見守っていただけると作者が感激で泣きます。喜びます。
というわけでまた長々~と喋るとはよ引っ込め!となると思うので、名残惜しいですがこの辺で!
それではまた機会があれば!
以上、SAKURAでした!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴方といると、お茶が不味い

わらびもち
恋愛
貴方の婚約者は私。 なのに貴方は私との逢瀬に別の女性を同伴する。 王太子殿下の婚約者である令嬢を―――。

貴方もヒロインのところに行くのね? [完]

風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは アカデミーに入学すると生活が一変し てしまった 友人となったサブリナはマデリーンと 仲良くなった男性を次々と奪っていき そしてマデリーンに愛を告白した バーレンまでもがサブリナと一緒に居た マデリーンは過去に決別して 隣国へと旅立ち新しい生活を送る。 そして帰国したマデリーンは 目を引く美しい蝶になっていた

【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。

白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

忘れられた妻

毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。 セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。 「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」 セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。 「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」 セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。 そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。 三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

浮気中の婚約者が私には塩対応なので塩対応返しすることにした

今川幸乃
恋愛
スターリッジ王国の貴族学園に通うリアナにはクリフというスポーツ万能の婚約者がいた。 リアナはクリフのことが好きで彼のために料理を作ったり勉強を教えたりと様々な親切をするが、クリフは当然の顔をしているだけで、まともに感謝もしない。 しかも彼はエルマという他の女子と仲良くしている。 もやもやが募るもののリアナはその気持ちをどうしていいか分からなかった。 そんな時、クリフが放課後もエルマとこっそり二人で会っていたことが分かる。 それを知ったリアナはこれまでクリフが自分にしていたように塩対応しようと決意した。 少しの間クリフはリアナと楽しく過ごそうとするが、やがて試験や宿題など様々な問題が起こる。 そこでようやくクリフは自分がいかにリアナに助けられていたかを実感するが、その時にはすでに遅かった。 ※4/15日分の更新は抜けていた8話目「浮気」の更新にします。話の流れに差し障りが出てしまい申し訳ありません。

処理中です...