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53.サーシャ様
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ようこそいらっしゃいませ、サーシャ様。わたくしエリザベートと申しますわ。
はい、きつねうどんと親子丼セットですね。かしこまりました。
はい、えぇ、聞きます聞きます。どういたしましたの? はぁ、ふんふん、なるほど、どこかに転生したけど、悪役令嬢ではなく、単なるモブキャラかもしれんのですか。
あら、ふむ、ほうほう、むむ。とにかく何もかもが平凡、そういうことですわね? 可もなく不可もない容姿、魔力もほどほど、家族もキャラが立ってないと。どこにでも埋没できる存在感のなさ、突出することなき没個性、まさにモブキャラと……。軽々と同意するのは、はばかられますが……まぁ、そういうきらいがなきにしもあらず……と言えないこともないような……。
え? 二重否定ばかりでごまかさず、はっきり言って? えええー、そんなこと言われてもー、こればっかりは原作者様の気持ち次第ですしー、色んな悪役令嬢がいらっしゃいますしー、サーシャ様がモブキャラと決めつけるのは早計だと思いまーす。
まぁ、悪役令嬢でもモブキャラでも、転生生活を満喫なさればよいではありませんか。ええっ、下手に目立ってヒロインに目をつけられたらお先真っ暗だから、ひっそりと目立たぬように生きていくですって? そんなぁ、せっかくの異世界での新しい人生ですのに……。
はっ、そういえば、わたくし鑑定スキルを持っておりますのよ。試してみますわね。
鑑定! えー、申し上げます。サーシャ、女、転生者、スキル平凡……。う、鑑定は万能ではございませんでして……。とはいえ、スキルが平凡ということは、きっとその平凡さは何かの役に立つということですわ、おそらく……。
え? 本当ですか? スキルを活かしてがんばるのですか? えーっと、どのように……? ははぁ、なるほど、前世は社畜で、働けど働けどでじっと手を見る状態であったと。今度こそ、そこそこ裕福で、それなりに幸せな、普通の生活を送りたいと。……なんといじらしい……。
わたくしに何かできることはないでしょうかしら? わたくし今日なんの役にも立っておりませんわ……。
ええっ、話しを聞いてくれただけで十分、そんなぁ……。え、平凡がスキルと分かって安心した? 地震もなく疫病もなく、ただ平凡な毎日がどれほど貴重か噛み締めている? 平凡スキルがあるということは、波瀾万丈ではない、つつましい毎日を送れるということで、それは何より望んでいたこと? ……そうですか、そう言っていただけると……はい、もったいないお言葉でございます。
ありがとうございました。
はい、きつねうどんと親子丼セットですね。かしこまりました。
はい、えぇ、聞きます聞きます。どういたしましたの? はぁ、ふんふん、なるほど、どこかに転生したけど、悪役令嬢ではなく、単なるモブキャラかもしれんのですか。
あら、ふむ、ほうほう、むむ。とにかく何もかもが平凡、そういうことですわね? 可もなく不可もない容姿、魔力もほどほど、家族もキャラが立ってないと。どこにでも埋没できる存在感のなさ、突出することなき没個性、まさにモブキャラと……。軽々と同意するのは、はばかられますが……まぁ、そういうきらいがなきにしもあらず……と言えないこともないような……。
え? 二重否定ばかりでごまかさず、はっきり言って? えええー、そんなこと言われてもー、こればっかりは原作者様の気持ち次第ですしー、色んな悪役令嬢がいらっしゃいますしー、サーシャ様がモブキャラと決めつけるのは早計だと思いまーす。
まぁ、悪役令嬢でもモブキャラでも、転生生活を満喫なさればよいではありませんか。ええっ、下手に目立ってヒロインに目をつけられたらお先真っ暗だから、ひっそりと目立たぬように生きていくですって? そんなぁ、せっかくの異世界での新しい人生ですのに……。
はっ、そういえば、わたくし鑑定スキルを持っておりますのよ。試してみますわね。
鑑定! えー、申し上げます。サーシャ、女、転生者、スキル平凡……。う、鑑定は万能ではございませんでして……。とはいえ、スキルが平凡ということは、きっとその平凡さは何かの役に立つということですわ、おそらく……。
え? 本当ですか? スキルを活かしてがんばるのですか? えーっと、どのように……? ははぁ、なるほど、前世は社畜で、働けど働けどでじっと手を見る状態であったと。今度こそ、そこそこ裕福で、それなりに幸せな、普通の生活を送りたいと。……なんといじらしい……。
わたくしに何かできることはないでしょうかしら? わたくし今日なんの役にも立っておりませんわ……。
ええっ、話しを聞いてくれただけで十分、そんなぁ……。え、平凡がスキルと分かって安心した? 地震もなく疫病もなく、ただ平凡な毎日がどれほど貴重か噛み締めている? 平凡スキルがあるということは、波瀾万丈ではない、つつましい毎日を送れるということで、それは何より望んでいたこと? ……そうですか、そう言っていただけると……はい、もったいないお言葉でございます。
ありがとうございました。
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