【完結】悪役令嬢のカウンセラー

50．ケイティー様

　ようこそいらっしゃいませ、ケイティー様。わたくしエリザベートと申しますわ。

　はい、どら焼きと緑茶ですね。かしこまりました。

　あの、ケイティー様、大丈夫ですか？先ほどから無言でいらっしゃいますけど……。お体の具合でも悪いのですか？

　ええっ、いえいえ、そんな、何も聞こえませんでしたわよ？　まぁ、ケイティー様はご自分がサトラレではないかと？　えぇ、少なくともわたくしは何も聞こえませんでしたわ。


　あら、まぁ、なるほど、そうですの……。ケイティー様はマンガやアニメがお好きで、つい心の中で効果音を言ってしまう癖がおありなのですね？　えーっと、具体的にはどんな感じで？　……初めましてエリザベート様。(ペコリ)  どら焼きおいしいですわぁ。(ウマウマ)  エリザベート様って、とっても素敵だわ、なんだかいい匂いがする。(はわわぁ)
……みたいな感じと。なるほど、よく分かりました。


　ええっと、それで効果音とサトラレにどのようなつながりが？　ふむ、ほうほう、ははーん、なるほど。侍女や婚約者が、その世界にはない効果音を口にするのですね……。例えば？　……とほほ、がっくり、あせあせ、がーん、たらー、ドキドキ、ルンルン、キュン、キリッ、ドヤっ……などですか、ありがとうございます。


　んんー、あのですね、わたくし思いますに、それ多分ケイティー様が口に出して言っちゃってしまってるのでは……。はい、それしか考えられません……。


　ほら、たった今、がーんっておっしゃいましたわよ。ええ、真実です。


　何もそんなに落ち込まなくてもいいではありませんか。率直に申し上げて、かわいらしいですわ。ケイティー様が効果音をつぶやく様がどうにもかわいいから、侍女も婚約者もつい真似したくなったのだと思いますわ。

　

　てへっ