35 / 100
35.モニカ様
しおりを挟む
ようこそいらっしゃいませ、モニカ様。わたくしエリザベートと申しますわ。
はい、おでん盛り合わせと熱燗ですね。承知いたしました。しばらくお待ち下さいませ。
あら、そうなんですの、まぁ。ええっと還暦といいますと、あぁ六十歳ですね。はい、えぇお子様がお二人、もうお孫さんも? そうなんですの……。ご家族と離れて寂しいですわね……。
あぁ、なるほど、娘さんが大学時代に読んでいらしたマンガの中に……。まぁ、ほほほほ。今さら息子より年下の男の子たちに言い寄られても困るのですね。ほほほ。えぇ? 親御さんに申し訳ない気持ちになってしまう? まあ、ふふふ。
そうなのですね、もう恋愛とか考えただけでげんなりすると。ほほほほ。時間がたっぷりございますからねぇ、せっかくですから何か初めてみられては?
え? 仕事と家事と子育てで必死に生きてこられて? 貧乏暇なしでパートを掛け持ちされて……。まぁ、確かに老後年金だけで暮らしていくのは厳しいですわよねぇ。ええっ、死ぬまで働く覚悟だった? んまぁ、本当に、政府は何をしているのやら。そうですわ、我らの血税を、ねー。
ほほ、話がそれましたわ。なるほど、趣味らしい趣味もなく、くたびれて帰ってきて晩ごはん作って、旦那様とテレビ見ながら晩酌するのが唯一の気晴らし……。そんな生活だったけど……戻りたいんですね………。あぁ、モニカ様……。
ええ、そうですわ、ゆっくり探せばいいと思いますわ。そう、お孫さんがモニカ様のごはんをお腹いっぱい食べてくれるのが幸せだったのですね。あぁ、なるほど、それはいい考えだと思いますわ。
そうですわねぇ。学園の食堂で働くのは難しいのではないかしら? 授業をサボることになってしまいますわ……。んー、孤児院がよろしいのでは? えぇ、まずは週末だけとかで。
ええっと、うーん、孤児院長だけにはご身分を打ち明けておく方がよろしいかと。孤児院ですからねぇ、食費絞ってると思うのですわ。モニカ様は子供たちにお腹いっぱい食べさせたいのでしょう? えぇ、伯爵家から食材を持ち込むなどしないと続かないと思いますのよ。
えぇ、がんばりすぎないでくださいね。
えぇ、和食が恋しくなったら、いつでもいらしてくださいな。
はい、おでん盛り合わせと熱燗ですね。承知いたしました。しばらくお待ち下さいませ。
あら、そうなんですの、まぁ。ええっと還暦といいますと、あぁ六十歳ですね。はい、えぇお子様がお二人、もうお孫さんも? そうなんですの……。ご家族と離れて寂しいですわね……。
あぁ、なるほど、娘さんが大学時代に読んでいらしたマンガの中に……。まぁ、ほほほほ。今さら息子より年下の男の子たちに言い寄られても困るのですね。ほほほ。えぇ? 親御さんに申し訳ない気持ちになってしまう? まあ、ふふふ。
そうなのですね、もう恋愛とか考えただけでげんなりすると。ほほほほ。時間がたっぷりございますからねぇ、せっかくですから何か初めてみられては?
え? 仕事と家事と子育てで必死に生きてこられて? 貧乏暇なしでパートを掛け持ちされて……。まぁ、確かに老後年金だけで暮らしていくのは厳しいですわよねぇ。ええっ、死ぬまで働く覚悟だった? んまぁ、本当に、政府は何をしているのやら。そうですわ、我らの血税を、ねー。
ほほ、話がそれましたわ。なるほど、趣味らしい趣味もなく、くたびれて帰ってきて晩ごはん作って、旦那様とテレビ見ながら晩酌するのが唯一の気晴らし……。そんな生活だったけど……戻りたいんですね………。あぁ、モニカ様……。
ええ、そうですわ、ゆっくり探せばいいと思いますわ。そう、お孫さんがモニカ様のごはんをお腹いっぱい食べてくれるのが幸せだったのですね。あぁ、なるほど、それはいい考えだと思いますわ。
そうですわねぇ。学園の食堂で働くのは難しいのではないかしら? 授業をサボることになってしまいますわ……。んー、孤児院がよろしいのでは? えぇ、まずは週末だけとかで。
ええっと、うーん、孤児院長だけにはご身分を打ち明けておく方がよろしいかと。孤児院ですからねぇ、食費絞ってると思うのですわ。モニカ様は子供たちにお腹いっぱい食べさせたいのでしょう? えぇ、伯爵家から食材を持ち込むなどしないと続かないと思いますのよ。
えぇ、がんばりすぎないでくださいね。
えぇ、和食が恋しくなったら、いつでもいらしてくださいな。
0
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
婚約破棄をしてくれた王太子殿下、ありがとうございました
hikari
恋愛
オイフィア王国の王太子グラニオン4世に婚約破棄された公爵令嬢アーデルヘイトは王国の聖女の任務も解かれる。
家に戻るも、父であり、オルウェン公爵家当主のカリオンに勘当され家から追い出される。行き場の無い中、豪商に助けられ、聖女として平民の生活を送る。
ざまぁ要素あり。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】100日後に処刑されるイグワーナ(悪役令嬢)は抜け毛スキルで無双する
みねバイヤーン
恋愛
せっかく悪役令嬢に転生したのに、もう断罪イベント終わって、牢屋にぶち込まれてるんですけどー。これは100日後に処刑されるイグワーナが、抜け毛操りスキルを使って無双し、自分を陥れた第一王子と聖女の妹をざまぁする、そんな物語。
踏み台令嬢はへこたれない
三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
【短編】悪役令嬢の侍女 〜ヒロインに転生したけど悪役令嬢の侍女になりました〜
みねバイヤーン
恋愛
リリーは乙女ゲームのヒロインである。侍女として、悪役令嬢のクロエお嬢さまに仕えている。クロエお嬢さまには孤児院から救っていただいた大恩がある。生涯仕える覚悟である。だからってねー、広大な公爵家の敷地で指輪を探すなんて、そんなこと許しませんからね。ワガママお嬢さまをうまく誘導するのも侍女の務め。お嬢さまと猛獣使いリリーの戦いが繰り広げられる、そんな平和な日常を描いた物語。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる