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18.ヤスミン様
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ようこそいらっしゃいませ、ヤスミン様。わたくしエリザベートと申しますわ。
さあ、こちらへどうぞ。メニューは和洋中取り揃えておりますわ、え、お寿司? 回転寿司が食べたい? 分かりましたわ。回ってる台から取るのがロマンなのですね、承知いたしましたわ。さあ、まず緑茶をどうぞ。
ヤスミン様、本日はどのようなお悩みが? ええ、まあ、それはなんと。困りましたわね。
悪役令嬢に転生したらしいものの、原作知識がほとんどないのですね……。ヒロインの瞳が紫色だったぐらい……ヴェール被ってるから、目しか見えなかった……ああ、店頭のポスターでご覧になったのですね。それは途方に暮れますわねー……
そうですか、ヤスミン様の世界はアラビアン風味なのですね、王の後宮に女性が千人ほど侍ってると。まあ、全員一巡するのに年単位が必要ですわねぇ……。王にはもうお会いになったの? あらまあ、ヤスミン様は有力部族の娘だから、月イチでお呼びがかかる?
なるほどなるほど、攻略対象はおそらく王の側近と息子たち……王が褒美に女性を下賜する風習があるのですね。ほうほう。王も攻略対象なのかしら? ええ、分からないのね、ポスターを朧げにしか覚えてらっしゃらないのですわね……それは仕方のないことですわ、ヒロインの情報が分かるだけでも万々歳ですわ。
そうですわねぇ……喫緊の課題はヤスミン様の味方を増やすことではないかしら? ヤスミン様の派閥に入る利点を作らなければいけませんわ。
後宮の女性は何をお望みなのかしら? なるほどなるほど……王の寵愛、王の子を産むこと、側近に下賜される、水場の情報を得る……ああ、砂漠ですものね。そうなのですね、部族はそれぞれ水場を秘匿しているのですね、分かりましたわ。
ところで王はどのような……なるほど、可もなく不可もなく、割と凡人寄りだけれど先王の治世の流れにうまくのったと。ちなみに夜の方は……まあ、淡々とお勤めを果たす感じで、あらまあ。どなたか既に寵愛を得た女性はいらっしゃるの? まだいないのですね。
順番にできることをやってまいりましょうよ。ヤスミン様は秘薬や媚薬はお持ちでいらっしゃる? あら、部族の長に代々伝わるお香が? ええ、なるほどリラックスして記憶がぼんやりしてやや中毒性があるのですね。素晴らしいわ、使えますわそれ。
次回、王のお呼びがあったらお香を焚いてくださいませ。そして王がぼんやりし始めたら他の女性を部屋に入れるのです。あなたの侍女でもいいし、他の側室でも身分の低い妾でもよろしいわ。とにかく技巧に長けた女性ね。王をたっぷり楽しませてあげることが肝要ですわ。
そう、あなたとの夜はなんだか楽しかったと、王の心に刷り込むのです。そうすると、またお呼びがかかりますでしょう? お香を焚いて、また別の女性を手引きするのですわ。ええ、複数人でも構いませんことよ。
少しずつ信用できる繋がりを築くのですわ。もちろん無償ではありませんわ。王との大事な一夜を他の女性に差し上げるのですもの、それ相応の対価をいただきましょう。そうですわね、その部族にのみ伝わる秘薬や秘術、門外不出の馬や宝石でもよろしいのでは? もし可能なら、普段はあまり使っていない水場の情報が欲しいですわ。黒い粘りのある水の情報もいいですわね、ええ、石油ですわ。
水場や石油の情報は重々慎重に扱ってくださいませね。できれば何にも記さず、ヤスミン様の頭の中にのみあるのが望ましいですわ。え、記憶力に自信がない? そうですわねぇ、肌身離さず持っていられるモノに記せばいいかもしれませんけれど、危険ですわ。紛失したり盗まれたら終わりではないですか。
そうですわねぇ、もしヤスミン様に抵抗がなければ入れ墨はいかがかしら? ヤスミン様だけが分かる記号で彫るのですわ。ええ、日本語でもいいですけれど、ヒロインに見られても大丈夫なように、工夫が必要ですわよ。
例えばですか? ふーむ、例えばー、例えば手を合わせると文字になるとか。そうですわ、拳を握って両手を合わせると読めるとか、ええ、ええ、そういうことですわ。
ええっ、ヤスミン様は九字切りができますの? それってあれですわよね? 忍者や陰陽師がよくやる指で印を結ぶあれ。臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前ですわね? まあ、ほほほほ、素敵ですわ。それがいいですわ。印を結べば解読できるようにいたしましょう。
ええ、情報を得てそれを活用して派閥を強化し、王を傀儡となさればいいわ。ヒロインが敵対する気も起きないほどの権力を得ればよろしいわ。いざとなったら、身ひとつでご実家に逃げるのですわ。馬さえいればなんとかなりますでしょう? ええ、情報は文字通り全てヤスミン様の手の上にあるのですもの。
ええ、ハーレムに降り立ったクノイチですわね。ふふふ。
楽しんでくださいな。
さあ、こちらへどうぞ。メニューは和洋中取り揃えておりますわ、え、お寿司? 回転寿司が食べたい? 分かりましたわ。回ってる台から取るのがロマンなのですね、承知いたしましたわ。さあ、まず緑茶をどうぞ。
ヤスミン様、本日はどのようなお悩みが? ええ、まあ、それはなんと。困りましたわね。
悪役令嬢に転生したらしいものの、原作知識がほとんどないのですね……。ヒロインの瞳が紫色だったぐらい……ヴェール被ってるから、目しか見えなかった……ああ、店頭のポスターでご覧になったのですね。それは途方に暮れますわねー……
そうですか、ヤスミン様の世界はアラビアン風味なのですね、王の後宮に女性が千人ほど侍ってると。まあ、全員一巡するのに年単位が必要ですわねぇ……。王にはもうお会いになったの? あらまあ、ヤスミン様は有力部族の娘だから、月イチでお呼びがかかる?
なるほどなるほど、攻略対象はおそらく王の側近と息子たち……王が褒美に女性を下賜する風習があるのですね。ほうほう。王も攻略対象なのかしら? ええ、分からないのね、ポスターを朧げにしか覚えてらっしゃらないのですわね……それは仕方のないことですわ、ヒロインの情報が分かるだけでも万々歳ですわ。
そうですわねぇ……喫緊の課題はヤスミン様の味方を増やすことではないかしら? ヤスミン様の派閥に入る利点を作らなければいけませんわ。
後宮の女性は何をお望みなのかしら? なるほどなるほど……王の寵愛、王の子を産むこと、側近に下賜される、水場の情報を得る……ああ、砂漠ですものね。そうなのですね、部族はそれぞれ水場を秘匿しているのですね、分かりましたわ。
ところで王はどのような……なるほど、可もなく不可もなく、割と凡人寄りだけれど先王の治世の流れにうまくのったと。ちなみに夜の方は……まあ、淡々とお勤めを果たす感じで、あらまあ。どなたか既に寵愛を得た女性はいらっしゃるの? まだいないのですね。
順番にできることをやってまいりましょうよ。ヤスミン様は秘薬や媚薬はお持ちでいらっしゃる? あら、部族の長に代々伝わるお香が? ええ、なるほどリラックスして記憶がぼんやりしてやや中毒性があるのですね。素晴らしいわ、使えますわそれ。
次回、王のお呼びがあったらお香を焚いてくださいませ。そして王がぼんやりし始めたら他の女性を部屋に入れるのです。あなたの侍女でもいいし、他の側室でも身分の低い妾でもよろしいわ。とにかく技巧に長けた女性ね。王をたっぷり楽しませてあげることが肝要ですわ。
そう、あなたとの夜はなんだか楽しかったと、王の心に刷り込むのです。そうすると、またお呼びがかかりますでしょう? お香を焚いて、また別の女性を手引きするのですわ。ええ、複数人でも構いませんことよ。
少しずつ信用できる繋がりを築くのですわ。もちろん無償ではありませんわ。王との大事な一夜を他の女性に差し上げるのですもの、それ相応の対価をいただきましょう。そうですわね、その部族にのみ伝わる秘薬や秘術、門外不出の馬や宝石でもよろしいのでは? もし可能なら、普段はあまり使っていない水場の情報が欲しいですわ。黒い粘りのある水の情報もいいですわね、ええ、石油ですわ。
水場や石油の情報は重々慎重に扱ってくださいませね。できれば何にも記さず、ヤスミン様の頭の中にのみあるのが望ましいですわ。え、記憶力に自信がない? そうですわねぇ、肌身離さず持っていられるモノに記せばいいかもしれませんけれど、危険ですわ。紛失したり盗まれたら終わりではないですか。
そうですわねぇ、もしヤスミン様に抵抗がなければ入れ墨はいかがかしら? ヤスミン様だけが分かる記号で彫るのですわ。ええ、日本語でもいいですけれど、ヒロインに見られても大丈夫なように、工夫が必要ですわよ。
例えばですか? ふーむ、例えばー、例えば手を合わせると文字になるとか。そうですわ、拳を握って両手を合わせると読めるとか、ええ、ええ、そういうことですわ。
ええっ、ヤスミン様は九字切りができますの? それってあれですわよね? 忍者や陰陽師がよくやる指で印を結ぶあれ。臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前ですわね? まあ、ほほほほ、素敵ですわ。それがいいですわ。印を結べば解読できるようにいたしましょう。
ええ、情報を得てそれを活用して派閥を強化し、王を傀儡となさればいいわ。ヒロインが敵対する気も起きないほどの権力を得ればよろしいわ。いざとなったら、身ひとつでご実家に逃げるのですわ。馬さえいればなんとかなりますでしょう? ええ、情報は文字通り全てヤスミン様の手の上にあるのですもの。
ええ、ハーレムに降り立ったクノイチですわね。ふふふ。
楽しんでくださいな。
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