(仮)攫われて異世界

エウラ

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36 地下鍛錬場に居合わせた冒険者達(side冒険者)

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冒険者ギルドの地下鍛錬場に先ほど不意に現れた一組のグループ。

見覚えの有り過ぎるそのグループ四人に、気付いたら全員が鍛錬の手を止めて動向を窺っていた。

その内の一人で、本日の新人指導担当のBランク冒険者エディこと俺に、新人三人のうちの一人がコソッと聞いてきた。

「・・・・・・あの、エディさん。ギルマス達と一緒にいる人ってもしかして・・・・・・」
「あー、Sランクのナハト殿だな」

ギルマスとサブギルマス、ナハト殿と───。

「やっぱり! 凄え、生で見られるなんて! アレ? でももう一人は初めて見るな」
「・・・・・・ああ、お前らは昨日はいなかったのか。あの子はナハト殿のだよ」

昨日ナハト殿が散々牽制してた、今話題沸騰中の高位森人ハイエルフ

「えっ!? マジっすか!」
「───うーわー、めっちゃ綺麗な子。・・・・・・でも未成年ッスよね? 何しにココに来たんだろ?」
「うん、組み合わせがおかしいよね? ナハトさんの付き添い? にしてもあのメンバーでここにいる意味が分からないよね?」
「・・・・・・まさか冒険者ってことはないよね?」
「鍛錬しに来たって? まあ確かにそれ以外に来る用はないところだけど」

まあ、そう思うよな。
確かに見た目だけなら場にそぐわないか弱い子供に見えるからな。でもそっか、お前ら昨日のも知らないんだな。

「お前ら、人は見かけによらないって言葉を知ってるか? ほら───見ていろ」
「え?」

俺がそう言ってる間にどうやらサブギルマスのダオラさんと組み手をやることになったらしく、双方構えて───始まった、と思ったら。

「・・・・・・え?」
「は?」
「・・・・・・」

うん、三人とも言葉が出なくなった。かく言う俺もその一人だがな。

初っ端からスピードマックスでの殴る蹴る。いやお互い当たってはいないようだが、すでに目で追えなくなってきた。

「サブギルマス、久々に戦闘狂バーサーカーモードにスイッチ入ってるわ・・・・・・」

まーじーかー。冒険者稼業が長い俺でさえめったに見ない状態だ。
ソコまで凄いんか、あの子。いや、昨日の決闘で片鱗は見せてたけど。

「・・・・・・ていうか、確かあの子ってハイエルフなんだよな。ソレで純粋な身体能力であの動きっておかしくないか?」
「───えっ!? ハイエルフなんすか!?」
「ウッソだろ!?」
「エルフ族系って魔法以外は弱いっすよね!?」
「まあ、基本的に魔法特化であとは弓などの後衛だろうな」

驚愕する俺達の横では、同じように語彙力をなくした冒険者パーティーが唖然としていた。

   ◇◇◇

───おいおい、ウッソだろ!?

ソレしか今の俺達には浮かばなかった。

俺達はたまたま鍛錬場に居合わせた四人組の冒険者パーティーだ。
気付いたらギルマス達が来てて、しかもそのままサブギルマスとハイエルフの子の組み手が始まっていた。

急にボコッという衝撃音が聞こえて振り向いた先には、サブギルマスに右手の拳を受け止められていたハイエルフのあの子がいて。

「───は?」

皆して思わず手を止めて見つめていたら、あっという間に動きが追えなくなって。
砂埃やボコンバコンと抉れるような衝撃音がひっきりなしに響いて・・・・・・。

他の冒険者達も唖然として見守っていた。

ソレから十数分、ハイエルフの子が窪みに足を取られてよろけた隙を本気のサブギルマスが殴りかかって───!

「───うわっ!?」
「危ない!」
「ヤバッ!」
「・・・・・・っ!」

思わず叫べば、次の瞬間、サブギルマスはドコンッという凄まじい音とともに壁に叩きつけられていて、ハイエルフの子はナハトさんのローブに包まれてキョトンとしていた。
すぐに崩れたがれきからいつもののほほんとしたサブギルマスが起ち上がって一同ホッとする。

そして冷静になった彼らと俺達冒険者。

───地面も壁もボコボコだけど、大丈夫なんすかね? ココって物理・魔法耐性の魔法でガチガチに強化されてたよね?

サブギルマスは分かるけどハイエルフの子がやる所業じゃないだろ。

たぶんこの場にいる全員がそう思ったと思う。












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