36 / 68
33 過保護なラヴァのお宅訪問
しおりを挟む
食事を終え、食器を片付けていると玄関の扉をコンコンとノックする音がした。
「この気配は昨日の、ラヴァだよね?」
「ああ。こんな朝から何の用だ?」
怪訝そうに玄関に向かうナハトに苦笑しながら思う。
───たぶん魔力回復行為の件で心配したんじゃないかなぁ?
昨日のラヴァとの会話を思い出す。
ヤった今なら分かるが、魔力不足の解消にはヤるのが一番手っ取り早いんだろう。
僕は知らなかったが、ソレがココでの常識なら番いだという僕の魔力回復にナハトがヤりまくることは想像に難くない。
更に僕はハイエルフでひょろいし、ココでは子供並みに小柄だから心配したんだろうな。ラヴァは普通にいい人っぽかったし。
それに実際、僕じゃなかったら体力的にも精神的にも壊れてヤバかったと思う。
マジ、アレはヤバかった。
つくづく今までの環境に感謝するよ。めちゃくちゃ不本意だけど。
「よう、おはよう」
「おはよう、ラヴァ。どうしたんだ、こんな朝から」
「あー、いやその・・・・・・ユラは大丈夫か?」
片付けを終えて玄関に向かうとそんな会話が聞こえてきて、ああやっぱり、と思った。
「大丈夫だよ、一応生きてる」
「! ユラ! よかった。ナハトに抱き潰されてるかと───」
「あー、まあ、ソレに近い状態にはなったかな。でも僕、こう見えて鍛えてるんで」
ひょこっと顔を見せてそう言って、袖を捲って細いけど筋肉質な腕を見せた。最初、割れた腹筋を見せようかと思ったけど、ソレはアカンと第六感が告げたので止めた。
「・・・・・・へえ、意外」
「うん、そう? 一応、昨日冒険者登録してCランクスタートしてるから心配ないよ」
「───え!? スタート時にCランクって、エアリアルの許可がいるやつ・・・・・・。ユラって何者?」
「え? ・・・・・・うーん・・・・・・昨日自分の種族
を知ったばかりのハイエルフ初心者?」
「・・・・・・はぁ?」
他に言いようがないよね? まさか裏家業の暗部の仕事してました、とは言えないし。
そういうわけで真実で一番無難なことを言っておこう。
「・・・・・・まあ、そんなところだ」
ヨシ、ナハトも口裏を合わせてくれたのでソレで押し通そう。うん。
「何か訳ありっぽいとは思ったが・・・・・・まあいい。エアリアル達にも様子を見てきてくれって言われたから来ただけだ。無事ならいいんだ。邪魔したな」
「ううん、ありがとう。仕事明けでしょ? おやすみラヴァ」
「おお、おやすみ。じゃあなユラ、ナハト」
「ああ、おやすみ」
どうやらエアリアル達にも気を使われたみたいだ。このあと冒険者ギルドに行こうと思ってたから顔を見せておこう。
「ねえ、ナハト。昨日決闘に使った冒険者ギルドの地下の鍛錬場って、いつでも使えるの?」
「ん? ああ、基本的には一日中開いてて使える。たまに昨日みたいに貸切になることもあるが、そのときは普通は事前に予約がある」
「そっか。じゃあちょっと色々と確認したいから、コレから一緒に行ってくれる?」
ハンドガンもそうだし組み手もやりたいし、魔法もちょっと使ってみたい。街の外でもいいけど、加減とか間違えると環境破壊しそうな予感がするんだよねぇ。
「そうだな。俺もユラがどれくらい動けるのか確認したいからちょうどいい」
「そうと決まれば善は急げ! サッサと支度してさあ行こうもう行こう!」
「ふはっ、元気だな、ユラ」
だって昨日は全然動かなかったしこっちに来てからの力加減がよく分からないから、限界値を把握しておかないと特に咄嗟のときに困る。
向こうよりもコッチの世界の方が死と隣り合わせだと思うから。
───決闘のことをふと思い出し、そういえばアイツらって今どうしてるんだろうって思ったけど、知ったことじゃないなと思考のスミに追いやった。
もう顔を会わせなくていいなら、それでいい。
僕とナハトを脅かさなければ構わない。
「この気配は昨日の、ラヴァだよね?」
「ああ。こんな朝から何の用だ?」
怪訝そうに玄関に向かうナハトに苦笑しながら思う。
───たぶん魔力回復行為の件で心配したんじゃないかなぁ?
昨日のラヴァとの会話を思い出す。
ヤった今なら分かるが、魔力不足の解消にはヤるのが一番手っ取り早いんだろう。
僕は知らなかったが、ソレがココでの常識なら番いだという僕の魔力回復にナハトがヤりまくることは想像に難くない。
更に僕はハイエルフでひょろいし、ココでは子供並みに小柄だから心配したんだろうな。ラヴァは普通にいい人っぽかったし。
それに実際、僕じゃなかったら体力的にも精神的にも壊れてヤバかったと思う。
マジ、アレはヤバかった。
つくづく今までの環境に感謝するよ。めちゃくちゃ不本意だけど。
「よう、おはよう」
「おはよう、ラヴァ。どうしたんだ、こんな朝から」
「あー、いやその・・・・・・ユラは大丈夫か?」
片付けを終えて玄関に向かうとそんな会話が聞こえてきて、ああやっぱり、と思った。
「大丈夫だよ、一応生きてる」
「! ユラ! よかった。ナハトに抱き潰されてるかと───」
「あー、まあ、ソレに近い状態にはなったかな。でも僕、こう見えて鍛えてるんで」
ひょこっと顔を見せてそう言って、袖を捲って細いけど筋肉質な腕を見せた。最初、割れた腹筋を見せようかと思ったけど、ソレはアカンと第六感が告げたので止めた。
「・・・・・・へえ、意外」
「うん、そう? 一応、昨日冒険者登録してCランクスタートしてるから心配ないよ」
「───え!? スタート時にCランクって、エアリアルの許可がいるやつ・・・・・・。ユラって何者?」
「え? ・・・・・・うーん・・・・・・昨日自分の種族
を知ったばかりのハイエルフ初心者?」
「・・・・・・はぁ?」
他に言いようがないよね? まさか裏家業の暗部の仕事してました、とは言えないし。
そういうわけで真実で一番無難なことを言っておこう。
「・・・・・・まあ、そんなところだ」
ヨシ、ナハトも口裏を合わせてくれたのでソレで押し通そう。うん。
「何か訳ありっぽいとは思ったが・・・・・・まあいい。エアリアル達にも様子を見てきてくれって言われたから来ただけだ。無事ならいいんだ。邪魔したな」
「ううん、ありがとう。仕事明けでしょ? おやすみラヴァ」
「おお、おやすみ。じゃあなユラ、ナハト」
「ああ、おやすみ」
どうやらエアリアル達にも気を使われたみたいだ。このあと冒険者ギルドに行こうと思ってたから顔を見せておこう。
「ねえ、ナハト。昨日決闘に使った冒険者ギルドの地下の鍛錬場って、いつでも使えるの?」
「ん? ああ、基本的には一日中開いてて使える。たまに昨日みたいに貸切になることもあるが、そのときは普通は事前に予約がある」
「そっか。じゃあちょっと色々と確認したいから、コレから一緒に行ってくれる?」
ハンドガンもそうだし組み手もやりたいし、魔法もちょっと使ってみたい。街の外でもいいけど、加減とか間違えると環境破壊しそうな予感がするんだよねぇ。
「そうだな。俺もユラがどれくらい動けるのか確認したいからちょうどいい」
「そうと決まれば善は急げ! サッサと支度してさあ行こうもう行こう!」
「ふはっ、元気だな、ユラ」
だって昨日は全然動かなかったしこっちに来てからの力加減がよく分からないから、限界値を把握しておかないと特に咄嗟のときに困る。
向こうよりもコッチの世界の方が死と隣り合わせだと思うから。
───決闘のことをふと思い出し、そういえばアイツらって今どうしてるんだろうって思ったけど、知ったことじゃないなと思考のスミに追いやった。
もう顔を会わせなくていいなら、それでいい。
僕とナハトを脅かさなければ構わない。
625
お気に入りに追加
1,106
あなたにおすすめの小説
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶のみ失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
神は眷属からの溺愛に気付かない
グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】
「聖女様が降臨されたぞ!!」
から始まる異世界生活。
夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。
ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。
彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。
そして、必死に生き残って3年。
人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。
今更ながら、人肌が恋しくなってきた。
よし!眷属を作ろう!!
この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。
神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。
ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。
のんびりとした物語です。
現在二章更新中。
現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)
お迎えから世界は変わった
不知火
BL
「お迎えに上がりました」
その一言から180度変わった僕の世界。
こんなに幸せでいいのだろうか
※誤字脱字等あると思いますがその時は指摘をお願い致します🙇♂️
タグでこれぴったりだよ!ってのがあったら教えて頂きたいです!
無自覚な
ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。
1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに
イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。
それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて
いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外
何をやっても平凡だった。
そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる
それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない
そんな存在にまで上り積めていた。
こんな僕でも優しくしてくれる義兄と
僕のことを嫌ってる義弟。
でも最近みんなの様子が変で困ってます
無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる