20 / 68
19 決闘後の密談 2(sideナハト)
しおりを挟む
「・・・・・・で、話は戻るけど、本当に奴隷紋はなかったんだね?」
エアリアルが仕切り直す。俺はもう一度記憶を浚い、応える。
「見えるところにはな。・・・・・・これは俺の推測だが、ユラはおそらく違法に奴隷にされていたと思う」
「そうだね。私もそう思うよ」
「それで聖域の湖にきたときに違法だった奴隷紋が浄化されて消えたんじゃないか?」
聖域に入った時点でなかったことになったんじゃないか。そうでなければ奴隷紋がないことの理由がつかない。
「・・・・・・ああ。違法だから奴隷紋は悪しきモノと認識されて聖域に弾かれ、純潔な魂のユラの身体だけ受け入れられた。そういうことか?」
「そう言われればそうと思えるが、じゃあ未だに【奴隷】という言葉が消えないのは何故だ?」
確かに、通常の奴隷でも奴隷紋が消された時点で奴隷から解放されるはずだから、職業からも消えているはずだ。
「・・・・・・もしかして、精神が奴隷のままなのかも」
「え?」
俺はふと気付いたことを話した。
「ユラは物心つく前からアサシンの訓練を受けていたと言っていた。それは今に至るまでおそらく休む間もなく」
「───っ洗脳か」
エアリアルも気付いたようだ。
自我が芽生えた頃にはすでにユラは奴隷で、主人の命令は絶対だと、殺しをすることは当然のことだと刷り込まれていただろう。
最初に出逢った湖でも、執務室でエアリアルを襲おうとしたときも、さっきの決闘でさえ殺気もなく、淡々と作業を熟すような感覚だった。
「心に染みついて消えない奴隷としての呪縛か」
「・・・・・・いっそのこと、記憶喪失にでもなっててくれたら違ったかもしれないのに」
「どうしたら、心を取り戻してやれるのか・・・・・・」
三人で考えるが、いい手が浮かばない。
───これはやはり・・・・・・。
「俺がユラを愛しまくって、そんなイヤな記憶を思い出せないくらい構い倒していれば、きっといつか───!」
拳を握って力強く叫ぶと、エアリアルとダオラは呆れた顔をした。
「やはりアホだな」
「愛しまくってって、どう愛するの? まだえっち出来ないよね?」
「いやお前も脳ミソカスかよ。何ですぐに下半身にいくんだよ。愛する方法なんて他にいくらでもあるだろうが!」
エアリアルがイラッとした顔で口汚くダオラにツッコんだ。しかしダオラは全く気にせず爆弾発言をした。
「えー? 私、童貞処女だからそういうのに興味津々なんですよ。かくいうアンタだって同類でしょうが」
そう言われたエアリアルはこめかみに青筋立てて叫ぶ。
「煩い。精霊族やエルフ族は元々性欲が薄いんだよ! 相手がいなきゃ欲情もしないんだから仕方ないだろう!」
「ソレを言ったら龍人だって運命の番い以外に欲情しないんだから、この歳で童貞処女なのも仕方ないでしょう?」
お互い難儀な種族だよねーってケラケラ笑っていたダオラがふと呟いた。
「・・・・・・ナハトはどっちなんだろう?」
エアリアルが怪訝そうに聞いた。
「どっちって?」
「童貞なのか処女なのか」
いや、話の論点がズレてきてないか? と呟いたあとエアリアルが真顔で言った。
「心底どっちでもいい」
「ま、そっかー、そーだよねぇ」
そんな会話に思わずツッコむ俺。
「お前ら、下世話な話ばっかしてるんじゃない!」
「あ、聞いてたんだ」
「聞こえてたんだー」
エアリアルとダオラが笑って言う。イヤお前ら俺のこと知りたいんだろう?
だから俺は二人に宣言してやった。
「俺だって童貞処女だ!」
なのに二人はといえば、とっくに興味を失っていたらしい。
「別に本人には聞いてない」
「言えてるー」
そんな二人の反応に、だが構わずに更に告げる俺。
「俺の初めては全部ユラに捧げる所存だ」
「はいはい、どうでもいいよ。他所のカップルの閨事情なんて聞いても楽しくない」
「私も早く番い見つけてえっちしたいなー」
更におざなりな返答が返ってきて、結局話の着地点が分からなくなった。何の話をしてたんだっけ?
あ、そうだ。つまり、ユラを囲って俺だけを視界に入れるように愛しまくって思考をドロドロに解かしてしまえばいいんだってことだ。
「いや違うでしょ。・・・・・・うん? 間違ってもいないのか?」
「はっはっは、病んできてるなあ」
このおかしな状態は、ユラが自力で俺のスキルを解いて目覚めるまでしばらく続いたのだった。
───奴隷紋はあとで改めてよく見よう。今夜はお風呂でユラを隅から隅まで洗って磨き上げてチェックしよう、そうしよう。
寝ぼけまなこで俺を見つめて微笑むユラを見ながらそう思った。
※三人が三人ともおかしくなってる。特にナハトが一番ヤバいヤツになってる。
オカシイナ・・・・・・?
エアリアルが仕切り直す。俺はもう一度記憶を浚い、応える。
「見えるところにはな。・・・・・・これは俺の推測だが、ユラはおそらく違法に奴隷にされていたと思う」
「そうだね。私もそう思うよ」
「それで聖域の湖にきたときに違法だった奴隷紋が浄化されて消えたんじゃないか?」
聖域に入った時点でなかったことになったんじゃないか。そうでなければ奴隷紋がないことの理由がつかない。
「・・・・・・ああ。違法だから奴隷紋は悪しきモノと認識されて聖域に弾かれ、純潔な魂のユラの身体だけ受け入れられた。そういうことか?」
「そう言われればそうと思えるが、じゃあ未だに【奴隷】という言葉が消えないのは何故だ?」
確かに、通常の奴隷でも奴隷紋が消された時点で奴隷から解放されるはずだから、職業からも消えているはずだ。
「・・・・・・もしかして、精神が奴隷のままなのかも」
「え?」
俺はふと気付いたことを話した。
「ユラは物心つく前からアサシンの訓練を受けていたと言っていた。それは今に至るまでおそらく休む間もなく」
「───っ洗脳か」
エアリアルも気付いたようだ。
自我が芽生えた頃にはすでにユラは奴隷で、主人の命令は絶対だと、殺しをすることは当然のことだと刷り込まれていただろう。
最初に出逢った湖でも、執務室でエアリアルを襲おうとしたときも、さっきの決闘でさえ殺気もなく、淡々と作業を熟すような感覚だった。
「心に染みついて消えない奴隷としての呪縛か」
「・・・・・・いっそのこと、記憶喪失にでもなっててくれたら違ったかもしれないのに」
「どうしたら、心を取り戻してやれるのか・・・・・・」
三人で考えるが、いい手が浮かばない。
───これはやはり・・・・・・。
「俺がユラを愛しまくって、そんなイヤな記憶を思い出せないくらい構い倒していれば、きっといつか───!」
拳を握って力強く叫ぶと、エアリアルとダオラは呆れた顔をした。
「やはりアホだな」
「愛しまくってって、どう愛するの? まだえっち出来ないよね?」
「いやお前も脳ミソカスかよ。何ですぐに下半身にいくんだよ。愛する方法なんて他にいくらでもあるだろうが!」
エアリアルがイラッとした顔で口汚くダオラにツッコんだ。しかしダオラは全く気にせず爆弾発言をした。
「えー? 私、童貞処女だからそういうのに興味津々なんですよ。かくいうアンタだって同類でしょうが」
そう言われたエアリアルはこめかみに青筋立てて叫ぶ。
「煩い。精霊族やエルフ族は元々性欲が薄いんだよ! 相手がいなきゃ欲情もしないんだから仕方ないだろう!」
「ソレを言ったら龍人だって運命の番い以外に欲情しないんだから、この歳で童貞処女なのも仕方ないでしょう?」
お互い難儀な種族だよねーってケラケラ笑っていたダオラがふと呟いた。
「・・・・・・ナハトはどっちなんだろう?」
エアリアルが怪訝そうに聞いた。
「どっちって?」
「童貞なのか処女なのか」
いや、話の論点がズレてきてないか? と呟いたあとエアリアルが真顔で言った。
「心底どっちでもいい」
「ま、そっかー、そーだよねぇ」
そんな会話に思わずツッコむ俺。
「お前ら、下世話な話ばっかしてるんじゃない!」
「あ、聞いてたんだ」
「聞こえてたんだー」
エアリアルとダオラが笑って言う。イヤお前ら俺のこと知りたいんだろう?
だから俺は二人に宣言してやった。
「俺だって童貞処女だ!」
なのに二人はといえば、とっくに興味を失っていたらしい。
「別に本人には聞いてない」
「言えてるー」
そんな二人の反応に、だが構わずに更に告げる俺。
「俺の初めては全部ユラに捧げる所存だ」
「はいはい、どうでもいいよ。他所のカップルの閨事情なんて聞いても楽しくない」
「私も早く番い見つけてえっちしたいなー」
更におざなりな返答が返ってきて、結局話の着地点が分からなくなった。何の話をしてたんだっけ?
あ、そうだ。つまり、ユラを囲って俺だけを視界に入れるように愛しまくって思考をドロドロに解かしてしまえばいいんだってことだ。
「いや違うでしょ。・・・・・・うん? 間違ってもいないのか?」
「はっはっは、病んできてるなあ」
このおかしな状態は、ユラが自力で俺のスキルを解いて目覚めるまでしばらく続いたのだった。
───奴隷紋はあとで改めてよく見よう。今夜はお風呂でユラを隅から隅まで洗って磨き上げてチェックしよう、そうしよう。
寝ぼけまなこで俺を見つめて微笑むユラを見ながらそう思った。
※三人が三人ともおかしくなってる。特にナハトが一番ヤバいヤツになってる。
オカシイナ・・・・・・?
692
お気に入りに追加
1,106
あなたにおすすめの小説
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶のみ失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
無自覚な
ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。
1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに
イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。
それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて
いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外
何をやっても平凡だった。
そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる
それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない
そんな存在にまで上り積めていた。
こんな僕でも優しくしてくれる義兄と
僕のことを嫌ってる義弟。
でも最近みんなの様子が変で困ってます
無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。
神は眷属からの溺愛に気付かない
グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】
「聖女様が降臨されたぞ!!」
から始まる異世界生活。
夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。
ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。
彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。
そして、必死に生き残って3年。
人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。
今更ながら、人肌が恋しくなってきた。
よし!眷属を作ろう!!
この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。
神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。
ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。
のんびりとした物語です。
現在二章更新中。
現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
お迎えから世界は変わった
不知火
BL
「お迎えに上がりました」
その一言から180度変わった僕の世界。
こんなに幸せでいいのだろうか
※誤字脱字等あると思いますがその時は指摘をお願い致します🙇♂️
タグでこれぴったりだよ!ってのがあったら教えて頂きたいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる