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15 何してんの!?
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「───はぁ?」
僕はスンッとなってそう言った。自分でも思った以上に低い声が出たと思う。
「何言ってんの? 昨日の今日だよ? まだ半日も一緒に過ごしてないよね?」
寝てた時間を無視すれば、たった数時間だ。
そんな短時間で僕を好きだ? 愛してる?
一旦落ち着いた怒りがふつふつとまた沸き起こってくる。
「ふざけんのも───」
「───冗談じゃないわよ!」
「───あ”?」
文句を言ってやろうとしたら途中で横やりが入って、僕は思わずガラ悪い声と態度で、食ってかかってきた女に凄んだ。
女は僕の威圧と視線にビクッとしたが、すぐにハッとして再び騒ぎ出した。僕は嫌悪を隠しもせず、それを無表情で聞いていた。
「そ、そんなガキに何言ってんの!? ナハト様はアタシみたいなイイ女がお似合いなのよ!」
そう言いきった女はやはりナハトと同じく冒険者なんだろう。顔はまあ、美人な方か。
それとこれも異世界あるあるなのか、足元が見えなさそうなデカい胸や細い腰のくびれ、大きくて邪魔そうな尻を強調して見せつけるようないわゆるビキニアーマーと呼ばれる類いの防具を身に着けている。
小説とか読んでていつも思ってたけど、防御力どうなってんの、それ? 腹パンされたら終わりじゃないの?
僕は冷めた目で女を見下ろしていた。ちらっと見ればナハトも似たような目をしている。
なるほど、こっちが普段のナハトなのか。
無言で冷たく見つめる僕とナハトに更にヒートアップしたのか、女は血迷ったことを言いだした。
「そうだわ! そのガキと決闘よ! 勝ったらアタシがナハト様の女になるのよ!」
・・・・・・いや、何故そうなる。決闘云々もそうだが、何故勝ったらナハトの女になれるんだ? そもそも僕やナハトの意思は全く考慮されていないんだが。
呆れたようにそう言ってやろうとしたら、ナハトが先に口を開いた。
「いいだろう。その決闘、受けて立つ」
「───は?」
思わず今度はナハトに威圧とガンを飛ばした。
あの女と違い、なんてことないように受け流されたが、ふ・ざ・け・ん・な!
「そうだね。その決闘、ギルド地下の鍛錬場で私の立ち会いの下、やって貰いましょうか」
「はあぁっ!?」
エアリアルも何言ってんの!?
───こうしてギルマスであるエアリアルの鶴の一声で、僕の意思を丸っきり無視したギルド公認の決闘が今、行われることが決まったのだった。
それこそ、ふ・ざ・け・ん・な!!
大事なことだから二度言ってやった。心の中で!
僕の無言の主張も二人にスルーされ、仕方なくそのままナハトとエアリアルと一緒に一階に下りて行く。決闘が行われる『鍛錬場』に向かうそうだ。
一階に下りて更に出入り口から見て右手にある通路を進むとなだらかな坂になっていて、一〇メートルくらい下っていくと大きな扉にぶつかった。
そこには『地下鍛錬場』と書かれていた。なるほど、ここが。地下にあるから騒音問題も解決って訳か。
一歩足を踏み入れると通路の喧騒が消えた。
───ん?
「ねえ、ナハト。もしかして魔法で音、消したり出来るの?」
「───ああ、出来るぞ。ココに来る前に周りの音が聞こえなかったろう? アレだ」
「道理で・・・・・・。じゃあもしかしてこの鍛錬場も」
「うん、防音も結界も張ってあるからいくらでも暴れ放題」
ナハトとこそこそ話していたんだが、ヒョイッと会話に入ってきたエアリアルが教えてくれた。
「もちろん完璧とは言えないから、ナハト君みたいなSランク冒険者が全力で暴れたら壊れちゃうのでダメですよ」
「・・・・・・へえ。強度がとても気になる」
どこまでやっていいんだろうか? なんだが面白くなってきた。
若干わくわくしてきたのに気付いたらしいナハトとエアリアルが苦笑したが、そんなこと気にならないくらい楽しくなってきた決闘に思いを馳せた。
───ヤれって言うからヤるけど、殺ってもいいのかな?
ちらっとナハトを見ると首を傾げられた。
「何だ?」
「・・・・・・決闘って、殺ってもいいの?」
そう言った僕の言葉に一瞬息を呑むエアリアルに対し、無表情で頷くナハト。
「自己責任だな。まあ、そうなる前に大抵はストップがかかるが、決闘による死人も一定数いる」
「殺られても仕方ない。それだけの覚悟を示して行うものだからね。だから普通は決闘なんてやらないし受けないんだ」
いやアンタら、僕の意思をガン無視して勝手に受けてたよね? もう忘れたのか?
呆れた眼差しを向けると二人とも無言でニコッと笑った。目が『ツッコむなよ?』と言っている。
・・・・・・はいはい、ツッコまないよ。面倒臭い。
「・・・・・・ところで、あの女が付いてくるのは分かるんだけど、他のヤツらは何なの?」
ぞろぞろとくっ付いてくるんだけど。ものすっごく不快なんだけど。パーソナルスペース広い僕にはめちゃくちゃ苦痛なんだけど!
「あのお姫様の取り巻きはともかく、あとは単なるギャラリーだね。好奇心で見に来てるだけだよ」
「・・・・・・ああ、コロッセウムみたいに観覧席があるんだね。ところでお姫様って?」
「あの女冒険者のことだ。周りに男を侍らせてパーティーを組み、ちやほやされていい気になってるヤツのことだ」
───なるほど、アレが俗に言う『姫プレイ』。違う意味でリアルで見るのは何度もあったけど、小説やVRMMOのロープレでたまに聞くヤツがアレかぁ。
「でも決闘なんて言うくらいだからそれなりに強いんでは? とてもそうには見えないけど」
「・・・・・・ああ」
「・・・・・・弱いよねぇ」
死んだ魚のようなハイライトの消えた瞳でボソッと言う二人に、やはりそうかと思う。
アレ、絶対に僕の見た目で勝てると確信したアホだ。
相手の実力も読めないおバカさんにはお仕置きが必要だよね?
僕は無表情の下で、どうやって嬲ってやろうかと考えを巡らせる。
すでにここにいたるまでのナハトへの怒りとか公開プロポーズっぽいのとかはすっかり頭の隅に追いやられていた。
僕はスンッとなってそう言った。自分でも思った以上に低い声が出たと思う。
「何言ってんの? 昨日の今日だよ? まだ半日も一緒に過ごしてないよね?」
寝てた時間を無視すれば、たった数時間だ。
そんな短時間で僕を好きだ? 愛してる?
一旦落ち着いた怒りがふつふつとまた沸き起こってくる。
「ふざけんのも───」
「───冗談じゃないわよ!」
「───あ”?」
文句を言ってやろうとしたら途中で横やりが入って、僕は思わずガラ悪い声と態度で、食ってかかってきた女に凄んだ。
女は僕の威圧と視線にビクッとしたが、すぐにハッとして再び騒ぎ出した。僕は嫌悪を隠しもせず、それを無表情で聞いていた。
「そ、そんなガキに何言ってんの!? ナハト様はアタシみたいなイイ女がお似合いなのよ!」
そう言いきった女はやはりナハトと同じく冒険者なんだろう。顔はまあ、美人な方か。
それとこれも異世界あるあるなのか、足元が見えなさそうなデカい胸や細い腰のくびれ、大きくて邪魔そうな尻を強調して見せつけるようないわゆるビキニアーマーと呼ばれる類いの防具を身に着けている。
小説とか読んでていつも思ってたけど、防御力どうなってんの、それ? 腹パンされたら終わりじゃないの?
僕は冷めた目で女を見下ろしていた。ちらっと見ればナハトも似たような目をしている。
なるほど、こっちが普段のナハトなのか。
無言で冷たく見つめる僕とナハトに更にヒートアップしたのか、女は血迷ったことを言いだした。
「そうだわ! そのガキと決闘よ! 勝ったらアタシがナハト様の女になるのよ!」
・・・・・・いや、何故そうなる。決闘云々もそうだが、何故勝ったらナハトの女になれるんだ? そもそも僕やナハトの意思は全く考慮されていないんだが。
呆れたようにそう言ってやろうとしたら、ナハトが先に口を開いた。
「いいだろう。その決闘、受けて立つ」
「───は?」
思わず今度はナハトに威圧とガンを飛ばした。
あの女と違い、なんてことないように受け流されたが、ふ・ざ・け・ん・な!
「そうだね。その決闘、ギルド地下の鍛錬場で私の立ち会いの下、やって貰いましょうか」
「はあぁっ!?」
エアリアルも何言ってんの!?
───こうしてギルマスであるエアリアルの鶴の一声で、僕の意思を丸っきり無視したギルド公認の決闘が今、行われることが決まったのだった。
それこそ、ふ・ざ・け・ん・な!!
大事なことだから二度言ってやった。心の中で!
僕の無言の主張も二人にスルーされ、仕方なくそのままナハトとエアリアルと一緒に一階に下りて行く。決闘が行われる『鍛錬場』に向かうそうだ。
一階に下りて更に出入り口から見て右手にある通路を進むとなだらかな坂になっていて、一〇メートルくらい下っていくと大きな扉にぶつかった。
そこには『地下鍛錬場』と書かれていた。なるほど、ここが。地下にあるから騒音問題も解決って訳か。
一歩足を踏み入れると通路の喧騒が消えた。
───ん?
「ねえ、ナハト。もしかして魔法で音、消したり出来るの?」
「───ああ、出来るぞ。ココに来る前に周りの音が聞こえなかったろう? アレだ」
「道理で・・・・・・。じゃあもしかしてこの鍛錬場も」
「うん、防音も結界も張ってあるからいくらでも暴れ放題」
ナハトとこそこそ話していたんだが、ヒョイッと会話に入ってきたエアリアルが教えてくれた。
「もちろん完璧とは言えないから、ナハト君みたいなSランク冒険者が全力で暴れたら壊れちゃうのでダメですよ」
「・・・・・・へえ。強度がとても気になる」
どこまでやっていいんだろうか? なんだが面白くなってきた。
若干わくわくしてきたのに気付いたらしいナハトとエアリアルが苦笑したが、そんなこと気にならないくらい楽しくなってきた決闘に思いを馳せた。
───ヤれって言うからヤるけど、殺ってもいいのかな?
ちらっとナハトを見ると首を傾げられた。
「何だ?」
「・・・・・・決闘って、殺ってもいいの?」
そう言った僕の言葉に一瞬息を呑むエアリアルに対し、無表情で頷くナハト。
「自己責任だな。まあ、そうなる前に大抵はストップがかかるが、決闘による死人も一定数いる」
「殺られても仕方ない。それだけの覚悟を示して行うものだからね。だから普通は決闘なんてやらないし受けないんだ」
いやアンタら、僕の意思をガン無視して勝手に受けてたよね? もう忘れたのか?
呆れた眼差しを向けると二人とも無言でニコッと笑った。目が『ツッコむなよ?』と言っている。
・・・・・・はいはい、ツッコまないよ。面倒臭い。
「・・・・・・ところで、あの女が付いてくるのは分かるんだけど、他のヤツらは何なの?」
ぞろぞろとくっ付いてくるんだけど。ものすっごく不快なんだけど。パーソナルスペース広い僕にはめちゃくちゃ苦痛なんだけど!
「あのお姫様の取り巻きはともかく、あとは単なるギャラリーだね。好奇心で見に来てるだけだよ」
「・・・・・・ああ、コロッセウムみたいに観覧席があるんだね。ところでお姫様って?」
「あの女冒険者のことだ。周りに男を侍らせてパーティーを組み、ちやほやされていい気になってるヤツのことだ」
───なるほど、アレが俗に言う『姫プレイ』。違う意味でリアルで見るのは何度もあったけど、小説やVRMMOのロープレでたまに聞くヤツがアレかぁ。
「でも決闘なんて言うくらいだからそれなりに強いんでは? とてもそうには見えないけど」
「・・・・・・ああ」
「・・・・・・弱いよねぇ」
死んだ魚のようなハイライトの消えた瞳でボソッと言う二人に、やはりそうかと思う。
アレ、絶対に僕の見た目で勝てると確信したアホだ。
相手の実力も読めないおバカさんにはお仕置きが必要だよね?
僕は無表情の下で、どうやって嬲ってやろうかと考えを巡らせる。
すでにここにいたるまでのナハトへの怒りとか公開プロポーズっぽいのとかはすっかり頭の隅に追いやられていた。
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