上 下
44 / 50

バザー開催 1

しおりを挟む

子供達に連れられて行った先には、色々なバザー品が纏められていた。

子供達が運びやすいように小分けにされている。

孤児院の子達は、今はいないが下は0歳から上は成人前の15歳まで。
魔獣や事故、病気などで親や身内が亡くなったせいで保護者のいなくなった子供がほとんどだそうだ。

中には少数だが、望まぬ子や、親が経済的に育てられないからと預けられることもあるそうだ。

成人までに養子になったり、就職先を見つけたり、冒険者になる子もいるそうだ。

「冒険者・・・僕、見たことないなぁ」
「そうなの? ココも魔獣や魔物がいっぱいいるから、冒険者も結構いるよ?」
「ああ、でも、ココは辺境騎士団様が強いからあんまり目立たないのかも!」
「---へえ、そうなんだ? ヒューズ達ってやっぱり凄いんだね」

そんな話をしながら荷物を運ぶ。

「稀人様、品物を並べるから手伝ってくれる?」
「良いよ。あと、僕のことはルカって呼んでね?」
「えー、うん、分かったルカ様!」
「様は要らないんだけどな」

苦笑しながら、まあ良いかと思い直す。
子供だから名前呼びをすんなりしてくれたが、大人は恐縮しちゃって呼んでくれない。
これでも十分だ。
困らせたい訳じゃない。

子供達に頼まれて言われた荷物を棚まで持っていくと、慣れているのか、手際良く綺麗に並べていく。

「どこに何を並べるのか決めているの?」
「うん。商品を見て、どこに置けば目に付くかなとか考えておいたの!」
「品物の並べ方も自分達で考えたの?」
「うん! 綺麗に並んでるでしょう? どう並べれば綺麗に見えるかなって、皆で話したの」
「立派だね。君達は何でも相談できる仲間がたくさんいるんだね」
「うん。仲間っていうか、家族みたいなものだよ!」
「「「ねー!」」」

和気あいあいと仲良く並べていく子達を眩しそうに見つめるルカ。
自分には家族がいたが、形だけで、こんなに楽しそうにする事はなかった。

かつての自分だったら、羨んだだろう。
妬ましかったかもしれない。
絶望感に苛まれたかも・・・。

でも今は本当の家族がいる。
友達が、仲間がいる。

これからも増えることはあっても、きっと減ることはない。

そんな事を改めて実感した。



「---ルカ、楽しそうだな」
「そうだね。良かった」

ヒューズとダグラスがルカの様子を窺っていると、子供達に混じって品物を並べて笑っていた。

「なんか、こうしてみると子供だな」
「あの子達に混じっていると、小柄な大人じゃなくて普通に子供に見える。ていうか、最年長の14歳の男の子より小さくないか?」
「・・・・・・本人ルカには言うなよ。気にする」

なんて会話をしていたら。

「ルカ様って18歳なんでしょ? 小さくない?」
「俺より小さいよね?」
「アタシと変わんないねー!」
「・・・・・・そうだね・・・ヒューズの10歳の時の服でサイズピッタリだったなあ・・・」
「でも可愛いよ!」
「これから伸びるって!」
「そうそう、気にしないで!」

・・・・・・ごめんね。
たぶんもうそんなに伸びないと思うよ。

今までの成長具合でみると、良くてあと数センチ・・・。

そんな事を考えながら言った。

「僕の種族は元々小柄な人が多いんだ。その中でも大きい方なんだよ。だからもう伸びないと思うよ」

苦笑しながら応えていたルカを見てヒューズ達は・・・。

「子供って、残酷だよね」
「・・・・・・悪気はないんだが・・・」
「ルカ、気にするな・・・」

あとでいっぱい慰めてあげようと誓うヒューズ達だった。







しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

スキルも魔力もないけど異世界転移しました

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!! 入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。 死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。 そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。 「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」 「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」 チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。 「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。 6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。

傷だらけの僕は空をみる

猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。 生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。 諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。 身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。 ハッピーエンドです。 若干の胸くそが出てきます。 ちょっと痛い表現出てくるかもです。

【第2部開始】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~

ちくわぱん
BL
【第2部開始 更新は少々ゆっくりです】ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。

神は眷属からの溺愛に気付かない

グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】 「聖女様が降臨されたぞ!!」  から始まる異世界生活。  夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。  ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。  彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。    そして、必死に生き残って3年。  人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。  今更ながら、人肌が恋しくなってきた。  よし!眷属を作ろう!!    この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。    神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。  ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。    のんびりとした物語です。    現在二章更新中。 現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

今世では誰かに手を取って貰いたい

朝山みどり
BL
ノエル・レイフォードは魔力がないと言うことで、家族や使用人から蔑まれて暮らしていた。 ある日、妹のプリシラに突き飛ばされて、頭を打ち前世のことを思い出し、魔法を使えるようになった。 ただ、戦争の英雄だった前世とは持っている魔法が違っていた。 そんなある日、喧嘩した国同士で、結婚式をあげるように帝国の王妃が命令をだした。 選ばれたノエルは敵国へ旅立った。そこで待っていた男とその日のうちに婚姻した。思いがけず男は優しかった。 だが、男は翌朝、隣国との国境紛争を解決しようと家を出た。 男がいなくなった途端、ノエルは冷遇された。覚悟していたノエルは耐えられたが、とんでもないことを知らされて逃げ出した。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️ 第12回BL小説大賞に参加中! よろしくお願いします🙇‍♀️

優しい庭師の見る夢は

エウラ
BL
植物好きの青年が不治の病を得て若くして亡くなり、気付けば異世界に転生していた。 かつて管理者が住んでいた森の奥の小さなロッジで15歳くらいの体で目覚めた樹希(いつき)は、前世の知識と森の精霊達の協力で森の木々や花の世話をしながら一人暮らしを満喫していくのだが・・・。 ※主人公総受けではありません。 精霊達は単なる家族・友人・保護者的な位置づけです。お互いがそういう認識です。 基本的にほのぼのした話になると思います。 息抜きです。不定期更新。 ※タグには入れてませんが、女性もいます。 魔法や魔法薬で同性同士でも子供が出来るというふんわり設定。 ※10万字いっても終わらないので、一応、長編に切り替えます。 お付き合い下さいませ。

処理中です...