上 下
34 / 50

屋台料理に舌鼓を打つ

しおりを挟む

広場で休憩所の一角を借りて、ルカ達は屋台料理をテーブルに広げた。

ルカが気になった物からヒューズ達が好みそうな物、デザートっぽい物など様々な料理が並んでいた。

「飲み物を買ってきましょう。ルカ様は何がよろしいですか?」

護衛騎士の一人がそう声をかけてきたので、ヒューズにおすすめを聞くと。

「屋台料理は割と濃い味付けが多いから、さっぱり系の柑橘類が良いんじゃないか?」
「おお、僕、柑橘類好きです! じゃあそういうのでお願いします!」

目を輝かせてルカが言った。
護衛騎士さんはにっこり笑った。

「分かりました。では食事をしながらお待ち下さい」
「はあい。あ、護衛騎士の皆さんも食べて下さい!」

ルカが慌てて声をかけたが、護衛騎士は任務中だ。
困っていると主であるイライアスが意を汲んで応えてくれた。

「ああ、護衛任務があるから、交代でになるが食べるから大丈夫だ。そう言うわけだからお前達も交代で食べなさい」
「ありがとうございます。頂きます」
「良かった。皆で食べると美味しいね」
「そうだな」

ルカはピタパンのようなモノに野菜とささ身肉のような物が挟まっているものを手に取ると小さな口を開けてかぶりついた。

向こうの世界でもはしたないと窘められた食べ方だったが、屋台料理では皆そうやって食べていた。
だからルカもやってみたかったのだ。

しかし案の定、慣れていないうえに小さな口なので、唇にはみ出たソースが付いていた。

ソレをヒューズが舐め取って、ちゅっとリップ音を立てて離れる。

「---!!?」
「ふふ、真っ赤になって、可愛いなあ」
「・・・ヒューズ、やり過ぎ」
「・・・・・・お前なあ、ここを何処だと・・・はあ」

真っ赤になって固まるルカに、鼻の下をデレッと伸ばした(ような感じの)ヒューズ。
ダグラスとイライアスは呆れていた。

そこへ飲み物を買ってきた護衛騎士さん達が戻り、何となく察して苦笑いしながら空気に徹していた。

漸く動き出したルカは真っ赤なまま、味なんて分からなくなっていたが、必死に食べて飲んでいた。

うん。
飲み物はレモンの爽やかな味がしたのだけ覚えてます。

お腹いっぱいになったルカは、午前中の騒ぎと人混みに疲れたのか、うとうとし始めたので、予定を切り上げて馬車へと向かった。

ヒューズに抱き上げられてヒューズの香りに包まれ、ゆらゆら揺れて気持ち良くて、あっという間に眠ってしまった。

そして馬車の中でも目を覚まさず、邸に着いても、寝室に横になっても起きずに、終始穏やかで緩んだ顔で眠っていた。

「---余程疲れたと見える」
「騒ぎもあったが、興奮して疲れたんだろう」
「でも楽しかったんだろうね。・・・あの顔・・・」
「どんな夢を見ているのだろうな」

何かもごもごと口が動いている。

美味しいケーキの夢でも見ているのかもな。


皆はそっと部屋をあとにした。







しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

地味で冴えない俺の最高なポディション。

どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。 オマケに丸い伊達メガネ。 高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。 そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。 あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。 俺のポディションは片隅に限るな。

神は眷属からの溺愛に気付かない

グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】 「聖女様が降臨されたぞ!!」  から始まる異世界生活。  夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。  ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。  彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。    そして、必死に生き残って3年。  人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。  今更ながら、人肌が恋しくなってきた。  よし!眷属を作ろう!!    この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。    神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。  ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。    のんびりとした物語です。    現在二章更新中。 現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)

スキルも魔力もないけど異世界転移しました

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!! 入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。 死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。 そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。 「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」 「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」 チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。 「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。 6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。

光と闇の子

時雨
BL
 テオは生まれる前から愛されていた。精霊族はめったに自分で身籠らない、魔族は自分の子供には名前を付けない。しかしテオは違った。精霊族の女王である母が自らの体で産んだ子供、魔族の父が知恵を絞ってつけた名前。だがある日、「テオ」は消えた。  レイは生まれた瞬間から嫌われていた。最初は魔族の象徴である黒髪だからと精霊族に忌み嫌われ、森の中に捨てられた。そしてそれは、彼が魔界に行っても変わらなかった。半魔族だから、純血種ではないからと、蔑まれ続けた。だから、彼は目立たずに強くなっていった。  人々は知らない、「テオ」が「レイ」であると。自ら親との縁の糸を絶ったテオは、誰も信じない「レイ」になった。  だが、それでも、レイはただ一人を信じ続けた。信じてみようと思ったのだ。  BL展開は多分だいぶ後になると思います。主人公はレイ(テオ)、攻めは従者のカイルです。

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公(ユーザー)達から目の敵にされています。

BL
───…ログインしました。 無機質な音声と共に目を開けると、未知なる世界… 否、何度も見たことがある乙女ゲームの世界にいた。 そもそも何故こうなったのか…。経緯は人工頭脳とそのテクノロジー技術を使った仮想現実アトラクション体感型MMORPGのV Rゲームを開発し、ユーザーに提供していたのだけど、ある日バグが起きる───。それも、ウィルスに侵されバグが起きた人工頭脳により、ゲームのユーザーが現実世界に戻れなくなった。否、人質となってしまい、会社の命運と彼らの解放を掛けてゲームを作りストーリーと設定、筋書きを熟知している僕が中からバグを見つけ対応することになったけど… ゲームさながら主人公を楽しんでもらってるユーザーたちに変に見つかって騒がれるのも面倒だからと、ゲーム案内人を使って、モブの配役に着いたはずが・・・ 『これはなかなか… 面白い方ですね。正直、悪魔が勇者とか神子とか聖女とかを狙うだなんてベタすぎてつまらないと思っていましたが、案外、貴方のほうが楽しめそうですね』 「は…!?いや、待って待って!!僕、モブだからッッそれ、主人公とかヒロインの役目!!」 本来、主人公や聖女、ヒロインを襲撃するはずの上級悪魔が… なぜに、モブの僕に構う!?そこは絡まないでくださいっっ!! 『……また、お一人なんですか?』 なぜ、人間族を毛嫌いしているエルフ族の先代魔王様と会うんですかね…!? 『ハァ、子供が… 無茶をしないでください』 なぜ、隠しキャラのあなたが目の前にいるんですか!!!っていうか、こう見えて既に成人してるんですがッ! 「…ちょっと待って!!なんか、おかしい!主人公たちはあっっち!!!僕、モブなんで…!!」 ただでさえ、コミュ症で人と関わりたくないのに、バグを見つけてサクッと直す否、倒したら終わりだと思ってたのに… 自分でも気づかないうちにメインキャラクターたちに囲われ、ユーザー否、主人公たちからは睨まれ… 「僕、モブなんだけど」 ん゙ん゙ッ!?……あれ?もしかして、バレてる!?待って待って!!!ちょっ、と…待ってッ!?僕、モブ!!主人公あっち!!! ───だけど、これはまだ… ほんの序の口に過ぎなかった。

無自覚主人公の物語

裏道
BL
トラックにひかれて異世界転生!無自覚主人公の話

神子の余分

朝山みどり
BL
ずっと自分をいじめていた男と一緒に異世界に召喚されたオオヤナギは、なんとか逃げ出した。 おまけながらも、それなりのチートがあるようで、冒険者として暮らしていく。

処理中です...