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今夜僕は愛しい人と
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暗くなる前に、という事でさっさと辺境伯の邸に戻って来た。
戻ったら何故かすでに邸中がお祝いムードで、大広間ではたくさんのご馳走が所狭しと並べられていた。
騎士団員の他に、初めて見る、でもヒューズやイライアスに似た男性がいた。
隣には綺麗な女性と男の子。
・・・なんか男の子の背が僕と同じ位なんだけど。
そしてやたらときらきらしい目で見ている。好奇心旺盛な犬のようだ。
「ルカ、俺の兄夫婦と甥っ子だ。紹介する」
「あ、はい」
「初めまして。別館で執務中だったので挨拶が出来ず、すまなかった。ヒューズの兄でノースライナ・キルストという。彼女は私の妻でカナリア、そして息子のエルコットだ。よろしく」
「初めまして、稀人様。カナリアと申します」
「初めまして、稀人様。エルコットです。10歳です。・・・あの、稀人様は叔父上と婚姻されたと聞きましたが、僕とそんなに歳が変わらないように見えます。本当に婚姻されたのですか?」
---うん。そうだと思った。
やっぱり、僕はこれくらいの歳に見えるんだな。
誤解を解くために大きな声で。
「御堂瑠華、今はノースライナ・ミドウ・ルカとなりました。17歳です。もうじき18歳になります。こんな見た目ですが、こちらでは成人してますので、よろしくお願い致します」
最後にとびきりの笑顔を見せる。
直後、広間中にどよめきが走った。
ええ?
そんなに驚く事?
ヒューズを見上げると、顔を赤くして口元を覆っていた。
「こんなにはっきりと、俺の嫁だって、宣言・・・!」
ブツブツ言ってる。
そこをダグラスさんにまたツッコまれた。
「そういうわけで、今日は我が息子の結婚祝いだ。無礼講で騒ぐぞ!」
「おおー!」
イライアスさんの合図で始まった宴は、こうして大騒ぎしながら夜が更けるまで続いたらしい。
らしいっていうのは、僕とヒューズは『初夜』の為に早々に夫夫の寝室に籠もったからだ。
お風呂に入ってバスローブだけでベッドに腰掛けている。
「ルカ、昨日の今日で色々と混乱していたろうに、俺と結婚してくれてありがとう」
「ふふ、こちらこそありがとう。僕は生まれて初めて幸せだって思ってるよ」
「・・・その、出来るだけ優しくするように善処する」
「あ、えーと、何にも分からないので、よろしくお願いします」
ハタから見たらなんて初々しい新婚さんだというくらい、お互い、顔を真っ赤にしてモジモジしている。
やがてどちらともなく顔を近づけて、ルカにとってはファーストキスを交わす。
それを合図に口づけが深くなり、二人してベッドに倒れ込んだ。
天蓋のカーテンが二人を隠して、長い夜が更けて行った。
戻ったら何故かすでに邸中がお祝いムードで、大広間ではたくさんのご馳走が所狭しと並べられていた。
騎士団員の他に、初めて見る、でもヒューズやイライアスに似た男性がいた。
隣には綺麗な女性と男の子。
・・・なんか男の子の背が僕と同じ位なんだけど。
そしてやたらときらきらしい目で見ている。好奇心旺盛な犬のようだ。
「ルカ、俺の兄夫婦と甥っ子だ。紹介する」
「あ、はい」
「初めまして。別館で執務中だったので挨拶が出来ず、すまなかった。ヒューズの兄でノースライナ・キルストという。彼女は私の妻でカナリア、そして息子のエルコットだ。よろしく」
「初めまして、稀人様。カナリアと申します」
「初めまして、稀人様。エルコットです。10歳です。・・・あの、稀人様は叔父上と婚姻されたと聞きましたが、僕とそんなに歳が変わらないように見えます。本当に婚姻されたのですか?」
---うん。そうだと思った。
やっぱり、僕はこれくらいの歳に見えるんだな。
誤解を解くために大きな声で。
「御堂瑠華、今はノースライナ・ミドウ・ルカとなりました。17歳です。もうじき18歳になります。こんな見た目ですが、こちらでは成人してますので、よろしくお願い致します」
最後にとびきりの笑顔を見せる。
直後、広間中にどよめきが走った。
ええ?
そんなに驚く事?
ヒューズを見上げると、顔を赤くして口元を覆っていた。
「こんなにはっきりと、俺の嫁だって、宣言・・・!」
ブツブツ言ってる。
そこをダグラスさんにまたツッコまれた。
「そういうわけで、今日は我が息子の結婚祝いだ。無礼講で騒ぐぞ!」
「おおー!」
イライアスさんの合図で始まった宴は、こうして大騒ぎしながら夜が更けるまで続いたらしい。
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「ルカ、昨日の今日で色々と混乱していたろうに、俺と結婚してくれてありがとう」
「ふふ、こちらこそありがとう。僕は生まれて初めて幸せだって思ってるよ」
「・・・その、出来るだけ優しくするように善処する」
「あ、えーと、何にも分からないので、よろしくお願いします」
ハタから見たらなんて初々しい新婚さんだというくらい、お互い、顔を真っ赤にしてモジモジしている。
やがてどちらともなく顔を近づけて、ルカにとってはファーストキスを交わす。
それを合図に口づけが深くなり、二人してベッドに倒れ込んだ。
天蓋のカーテンが二人を隠して、長い夜が更けて行った。
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