9 / 50
プレゼンテーション(sideイライアス)
しおりを挟む
あの後ちょっぴり泣いてから、執務室に居るという辺境伯様-ヒューズさんのお父上と面会する事になった。
詳しいことはまだ何も聞いていないので、そこで話があるんだと思う。
この世界の、というかこの国は王政で、貴族階級社会だという。
王様の次に大公、公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵と下がっていく。
つまり、ここの領主である辺境伯様は侯爵と同等の家格なのでかなり偉い人。
まぁ、僕の習った礼儀作法がこちらと同じ事を祈ろう。
稀人という扱いらしいので、最悪不敬罪で死刑とかは無いだろう・・・たぶん。
場数だけは踏んでいるから、変に緊張とかは無い。
「ヒューズです。稀人様をお連れしました」
「入れ」
ノックをして入ると、重厚な造りの机に書類の山を抱えて、ヒューズさん似の美中年男性がいた。
僕達が入ると書き物をしていた手を止めて立ち上がり、ソファまで来て挨拶をしてくれた。
「初めまして。私はノースライナ・イライアスという。この辺境の領主でヒューズの父親だ。よろしく、稀人殿」
「初めまして。私は御堂瑠華と申します。どうぞルカとお呼び下さい。この度は私のような不審極まりない者を保護して頂き、誠にありがとうございます」
「うむ。何、この世界には君のような容姿の異世界人が稀にやってくるので、別に疑ってはいないよ。っと、座って話そう。セバス、お茶を頼む」
促されてソファへと座ったところでセバスがお茶を出した。
イライアスが口をつけるのを見てから自分も一口飲む。
「まず、稀人は滅多にいないが見つけ次第保護をする事になっている。もし発見者が経済的な理由などで保護が困難だったりした場合は上の役職の者、うちの場合はここ辺境伯に連絡が入る。まぁ今回は幸い息子が保護したので最初からうちが後見人になる」
「はい」
「結論から先に言うと、王城に報告を上げる義務はないのだが、過去にいた稀人は100年以上前で、もし報告をすると王都に来いと言われるだろう。王都はこんな辺鄙なところと違って賑やかだし若者が好きそうだ。ルカ君は行きたいか?」
もしもの話だが、報告を上げるとかなりの確率で呼ばれるだろう、と言うことか。
「・・・・・・あの、私はあなた方の言う王都がどういうところかは存じ上げないのでそこを判断基準にする事は出来ないのですが、仮に王都に呼ばれたとして、それを私が断る事によるデメリットはあなた方にありますか? あるのでしたら、恩に報いるために行きますが・・・」
「そんなものは無い! 義務は無いと言ったろう! 恩とかそんなものは関係ない。行きたくないなら行かなくて良いんだ」
ヒューズさんが急に立って大声で言い募ってきたので、僕はポカンと間抜け面をしていたと思う。
辺境伯様もセバスも、ダグラスさんも呆気にとられていた。
「君はもう、自分の家の価値観に囚われなくて良いんだ。周りに気を遣う必要はないんだ」
「ヒューズさん・・・じゃあ僕、ここに居ていいの?」
「さっきも言ったろう。俺が君を必要なんだ」
何故か熱烈な求婚を聞いている気がするんだが。
「・・・・・・セバス、ここに来る前に何かあったか?」
「・・・少々。それで、ヒューズ坊ちゃまが告白まがいの台詞を・・・」
「---へえ、あのヒューズがねえ・・・後で詳しく教えてくれるかい? それにしても、どうプレゼンして引き留めようか考えていたのに無駄だったかな?」
我が主はしっかり者ですが割と斜め上の考えに思考が行きがちです。確認しておかねば。
「因みにどのような?」
「えー、緑豊かで食べ物が美味しいとか、領民はおおらかで逞しいとか、ヒューズと一緒になったら辺境伯家の一員で好きなこと出来るよ的な? ヒューズは優良物件だとか」
「前半はともかく、後半は頂けませんな。どうやらおうちの事情でご苦労なさっていたようで、おそらく家柄や権力は反対に嫌悪されるかと」
「えっそうなの?! あっぶな! 言わなくてよかった!」
---と言う会話を小声でヒソヒソと話しているセバスとイライアスを横目に、ダグラスは思った。
もういっそのこと婚約しちまえよ。
・・・あ、そう言えばこの世界の同性愛や同性婚のこと説明してなかったな。
見た感じ嫌がっていなさそうではあるから、大丈夫かな・・・。
詳しいことはまだ何も聞いていないので、そこで話があるんだと思う。
この世界の、というかこの国は王政で、貴族階級社会だという。
王様の次に大公、公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵と下がっていく。
つまり、ここの領主である辺境伯様は侯爵と同等の家格なのでかなり偉い人。
まぁ、僕の習った礼儀作法がこちらと同じ事を祈ろう。
稀人という扱いらしいので、最悪不敬罪で死刑とかは無いだろう・・・たぶん。
場数だけは踏んでいるから、変に緊張とかは無い。
「ヒューズです。稀人様をお連れしました」
「入れ」
ノックをして入ると、重厚な造りの机に書類の山を抱えて、ヒューズさん似の美中年男性がいた。
僕達が入ると書き物をしていた手を止めて立ち上がり、ソファまで来て挨拶をしてくれた。
「初めまして。私はノースライナ・イライアスという。この辺境の領主でヒューズの父親だ。よろしく、稀人殿」
「初めまして。私は御堂瑠華と申します。どうぞルカとお呼び下さい。この度は私のような不審極まりない者を保護して頂き、誠にありがとうございます」
「うむ。何、この世界には君のような容姿の異世界人が稀にやってくるので、別に疑ってはいないよ。っと、座って話そう。セバス、お茶を頼む」
促されてソファへと座ったところでセバスがお茶を出した。
イライアスが口をつけるのを見てから自分も一口飲む。
「まず、稀人は滅多にいないが見つけ次第保護をする事になっている。もし発見者が経済的な理由などで保護が困難だったりした場合は上の役職の者、うちの場合はここ辺境伯に連絡が入る。まぁ今回は幸い息子が保護したので最初からうちが後見人になる」
「はい」
「結論から先に言うと、王城に報告を上げる義務はないのだが、過去にいた稀人は100年以上前で、もし報告をすると王都に来いと言われるだろう。王都はこんな辺鄙なところと違って賑やかだし若者が好きそうだ。ルカ君は行きたいか?」
もしもの話だが、報告を上げるとかなりの確率で呼ばれるだろう、と言うことか。
「・・・・・・あの、私はあなた方の言う王都がどういうところかは存じ上げないのでそこを判断基準にする事は出来ないのですが、仮に王都に呼ばれたとして、それを私が断る事によるデメリットはあなた方にありますか? あるのでしたら、恩に報いるために行きますが・・・」
「そんなものは無い! 義務は無いと言ったろう! 恩とかそんなものは関係ない。行きたくないなら行かなくて良いんだ」
ヒューズさんが急に立って大声で言い募ってきたので、僕はポカンと間抜け面をしていたと思う。
辺境伯様もセバスも、ダグラスさんも呆気にとられていた。
「君はもう、自分の家の価値観に囚われなくて良いんだ。周りに気を遣う必要はないんだ」
「ヒューズさん・・・じゃあ僕、ここに居ていいの?」
「さっきも言ったろう。俺が君を必要なんだ」
何故か熱烈な求婚を聞いている気がするんだが。
「・・・・・・セバス、ここに来る前に何かあったか?」
「・・・少々。それで、ヒューズ坊ちゃまが告白まがいの台詞を・・・」
「---へえ、あのヒューズがねえ・・・後で詳しく教えてくれるかい? それにしても、どうプレゼンして引き留めようか考えていたのに無駄だったかな?」
我が主はしっかり者ですが割と斜め上の考えに思考が行きがちです。確認しておかねば。
「因みにどのような?」
「えー、緑豊かで食べ物が美味しいとか、領民はおおらかで逞しいとか、ヒューズと一緒になったら辺境伯家の一員で好きなこと出来るよ的な? ヒューズは優良物件だとか」
「前半はともかく、後半は頂けませんな。どうやらおうちの事情でご苦労なさっていたようで、おそらく家柄や権力は反対に嫌悪されるかと」
「えっそうなの?! あっぶな! 言わなくてよかった!」
---と言う会話を小声でヒソヒソと話しているセバスとイライアスを横目に、ダグラスは思った。
もういっそのこと婚約しちまえよ。
・・・あ、そう言えばこの世界の同性愛や同性婚のこと説明してなかったな。
見た感じ嫌がっていなさそうではあるから、大丈夫かな・・・。
298
お気に入りに追加
1,232
あなたにおすすめの小説
地味で冴えない俺の最高なポディション。
どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。
オマケに丸い伊達メガネ。
高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。
そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。
あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。
俺のポディションは片隅に限るな。
神は眷属からの溺愛に気付かない
グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】
「聖女様が降臨されたぞ!!」
から始まる異世界生活。
夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。
ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。
彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。
そして、必死に生き残って3年。
人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。
今更ながら、人肌が恋しくなってきた。
よし!眷属を作ろう!!
この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。
神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。
ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。
のんびりとした物語です。
現在二章更新中。
現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)
スキルも魔力もないけど異世界転移しました
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!!
入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。
死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。
そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。
「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」
「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」
チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。
「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。
6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。
光と闇の子
時雨
BL
テオは生まれる前から愛されていた。精霊族はめったに自分で身籠らない、魔族は自分の子供には名前を付けない。しかしテオは違った。精霊族の女王である母が自らの体で産んだ子供、魔族の父が知恵を絞ってつけた名前。だがある日、「テオ」は消えた。
レイは生まれた瞬間から嫌われていた。最初は魔族の象徴である黒髪だからと精霊族に忌み嫌われ、森の中に捨てられた。そしてそれは、彼が魔界に行っても変わらなかった。半魔族だから、純血種ではないからと、蔑まれ続けた。だから、彼は目立たずに強くなっていった。
人々は知らない、「テオ」が「レイ」であると。自ら親との縁の糸を絶ったテオは、誰も信じない「レイ」になった。
だが、それでも、レイはただ一人を信じ続けた。信じてみようと思ったのだ。
BL展開は多分だいぶ後になると思います。主人公はレイ(テオ)、攻めは従者のカイルです。
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公(ユーザー)達から目の敵にされています。
慎
BL
───…ログインしました。
無機質な音声と共に目を開けると、未知なる世界… 否、何度も見たことがある乙女ゲームの世界にいた。
そもそも何故こうなったのか…。経緯は人工頭脳とそのテクノロジー技術を使った仮想現実アトラクション体感型MMORPGのV Rゲームを開発し、ユーザーに提供していたのだけど、ある日バグが起きる───。それも、ウィルスに侵されバグが起きた人工頭脳により、ゲームのユーザーが現実世界に戻れなくなった。否、人質となってしまい、会社の命運と彼らの解放を掛けてゲームを作りストーリーと設定、筋書きを熟知している僕が中からバグを見つけ対応することになったけど…
ゲームさながら主人公を楽しんでもらってるユーザーたちに変に見つかって騒がれるのも面倒だからと、ゲーム案内人を使って、モブの配役に着いたはずが・・・
『これはなかなか… 面白い方ですね。正直、悪魔が勇者とか神子とか聖女とかを狙うだなんてベタすぎてつまらないと思っていましたが、案外、貴方のほうが楽しめそうですね』
「は…!?いや、待って待って!!僕、モブだからッッそれ、主人公とかヒロインの役目!!」
本来、主人公や聖女、ヒロインを襲撃するはずの上級悪魔が… なぜに、モブの僕に構う!?そこは絡まないでくださいっっ!!
『……また、お一人なんですか?』
なぜ、人間族を毛嫌いしているエルフ族の先代魔王様と会うんですかね…!?
『ハァ、子供が… 無茶をしないでください』
なぜ、隠しキャラのあなたが目の前にいるんですか!!!っていうか、こう見えて既に成人してるんですがッ!
「…ちょっと待って!!なんか、おかしい!主人公たちはあっっち!!!僕、モブなんで…!!」
ただでさえ、コミュ症で人と関わりたくないのに、バグを見つけてサクッと直す否、倒したら終わりだと思ってたのに… 自分でも気づかないうちにメインキャラクターたちに囲われ、ユーザー否、主人公たちからは睨まれ…
「僕、モブなんだけど」
ん゙ん゙ッ!?……あれ?もしかして、バレてる!?待って待って!!!ちょっ、と…待ってッ!?僕、モブ!!主人公あっち!!!
───だけど、これはまだ… ほんの序の口に過ぎなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる