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実は社畜だった?
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ヒューズさんが立ち直ったところで、ヒューズさんの父親-ノースライナ辺境伯に面会することになった。
僕が寝てしまったため、今まで待ってくれてたらしい。
幸い、屋敷に到着してから1時間ほどしか経っておらず、まだ夕方とのこと。
「待たせてしまったんですね。すみません、起こしてくれれば・・・」
「怪我人を起こしてまで急ぐ話でもないし、ていうか、まさかそんな経験が・・・?」
ヒューズの問いに思わず視線を彷徨かせた。
それを見てヒューズとダグラス、セバス達も思わず眉間に皺を寄せた。
ヒューズの視線に耐えきれなくなり、ルカは仕方なく正直に話した。
「・・・怪我では無いのですが、その、熱が高い時に、どうしても外せない案件を抱えていて、2日ほど徹夜で仕事をした事が・・・」
「・・・・・・それは、いつの事?」
「・・・二年前、15才の時ですね。片付いた後はさすがに寝込みまして・・・・・・一週間近くベッドの上で出来る仕事だけしてました・・・ひっ」
怒られそうと思いながら話したが、皆の殺気?威圧?に驚いて固まってしまった。
いち早く立ち直ったセバスがヒューズの頭をパコンと叩き、次いでダグラスも我に返って、重い空気が霧散した。
ほっとして気が抜けたら、立っていられなくなり、慌ててヒューズが抱えた。
「スマン! 驚かせた」
「いいいえ、僕が悪いんです。聞いてて気持ちのいい話じゃ無かったですね。割と日常茶飯事だったので気にしてなくて・・・」
「アレが日常茶飯事って、一体君は何歳からそんな生活をしていたんだ?」
「初等部・・・ええと、7才からですかね。学校に通いながら、色々」
まぁ、どんなに事業成績をあげようと、学校で首席を取ろうと褒められたことは一度もないけれど。
挙げ句、義弟に居場所を奪われて捨てられて・・・笑い話にもならない。
「あの、ここで何か僕の出来る事があれば・・・ああ、でも、捨てられた僕に価値なんてないか」
「そんな事は無い!!」
ヒューズが大きな声で否定した。
ルカはビクッと肩を大きく揺らしながら、ヒューズの顔を見上げた。
「ルカは、頑張って頑張って、今のルカになったんだろう? 他人が下す評価など気にする事は無い。ルカは、ここに存在するだけで価値がある。少なくとも、俺はルカが必要だ」
「僕が・・・必要? いるだけで?」
それは僕のぽっかり空いた隙間を瞬く間に浸食して埋めていった。
魔法の言葉だった。
ぽろっと涙が零れた。
僕はヒューズさんを見つめた。
少し目尻が赤くなったヒューズさんを見て、照れてるんだなと笑ってしまった。
ヒューズさんの胸に顔を埋めて、ほんの少しだけ泣いた。
うれし泣きだった。
僕が寝てしまったため、今まで待ってくれてたらしい。
幸い、屋敷に到着してから1時間ほどしか経っておらず、まだ夕方とのこと。
「待たせてしまったんですね。すみません、起こしてくれれば・・・」
「怪我人を起こしてまで急ぐ話でもないし、ていうか、まさかそんな経験が・・・?」
ヒューズの問いに思わず視線を彷徨かせた。
それを見てヒューズとダグラス、セバス達も思わず眉間に皺を寄せた。
ヒューズの視線に耐えきれなくなり、ルカは仕方なく正直に話した。
「・・・怪我では無いのですが、その、熱が高い時に、どうしても外せない案件を抱えていて、2日ほど徹夜で仕事をした事が・・・」
「・・・・・・それは、いつの事?」
「・・・二年前、15才の時ですね。片付いた後はさすがに寝込みまして・・・・・・一週間近くベッドの上で出来る仕事だけしてました・・・ひっ」
怒られそうと思いながら話したが、皆の殺気?威圧?に驚いて固まってしまった。
いち早く立ち直ったセバスがヒューズの頭をパコンと叩き、次いでダグラスも我に返って、重い空気が霧散した。
ほっとして気が抜けたら、立っていられなくなり、慌ててヒューズが抱えた。
「スマン! 驚かせた」
「いいいえ、僕が悪いんです。聞いてて気持ちのいい話じゃ無かったですね。割と日常茶飯事だったので気にしてなくて・・・」
「アレが日常茶飯事って、一体君は何歳からそんな生活をしていたんだ?」
「初等部・・・ええと、7才からですかね。学校に通いながら、色々」
まぁ、どんなに事業成績をあげようと、学校で首席を取ろうと褒められたことは一度もないけれど。
挙げ句、義弟に居場所を奪われて捨てられて・・・笑い話にもならない。
「あの、ここで何か僕の出来る事があれば・・・ああ、でも、捨てられた僕に価値なんてないか」
「そんな事は無い!!」
ヒューズが大きな声で否定した。
ルカはビクッと肩を大きく揺らしながら、ヒューズの顔を見上げた。
「ルカは、頑張って頑張って、今のルカになったんだろう? 他人が下す評価など気にする事は無い。ルカは、ここに存在するだけで価値がある。少なくとも、俺はルカが必要だ」
「僕が・・・必要? いるだけで?」
それは僕のぽっかり空いた隙間を瞬く間に浸食して埋めていった。
魔法の言葉だった。
ぽろっと涙が零れた。
僕はヒューズさんを見つめた。
少し目尻が赤くなったヒューズさんを見て、照れてるんだなと笑ってしまった。
ヒューズさんの胸に顔を埋めて、ほんの少しだけ泣いた。
うれし泣きだった。
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