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16 海老で鯛が釣れたっぽい 2
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「休憩時間終わりー! 皆、ステージ上に上がれー!」
「お前ら、何時も通りにやれよ!」
アディスとエリアス団長が休憩時間終了の声をかけた。
俺はその直前までアルヴァに魔力供給をされていて違う意味でヘロヘロだった。
「・・・・・・アル、も、ちょっと・・・・・・てかげん」
「悪い。止まれなかった」
俺が疲れてもつれた舌で何とかそう言って睨むと、悪びれもせず、しれっとそう返した。
いやいや、俺、腰が抜けちゃってんですけど! もう一度アルヴァを睨んでから治癒魔法で直す。
せっかく魔力供給して貰ったのに意味ねーじゃん。まあほんの少ししか魔力使わないけど。
アルヴァが俺の腰をさり気なく抱いてベンチから立つとアディス達に近付いた。
「お待たせしました」
「・・・・・・セラ、補給出来た?」
「ぅ、はい。何とか・・・・・・」
アディスがジト目でアルヴァを見ながらそう聞いてきたので、若干顔を赤くして返事をする。
そういうコトをしてたって分かってるよね? でも身内に知られてるって、めっさ恥ずかしい!
「・・・・・・ヨシ。じゃあ油断せずに頑張ろう。アルヴァも、分かってるよね?」
「はい」
「セラに何かあればさっきの比じゃなくボコるからな」
「───っはい」
今日はとてもアルヴァに厳しい父様に苦笑する。
「ヤだなあ、父様。俺だって自分の身は自分で護れるよ。それに多少怪我してもすぐに治せるし」
「いいや、毛一本でも傷付けさせないと誓う」
俺の軽口に真剣な顔でそう言うアルヴァに、俺も思わず背筋がシャンとなる。
・・・・・・何かヤな予感がする。でも俺に知らせない何かってコトは分かった。
なら、俺も聞くべきじゃないし、何時も通りでいいんだろう。何かあればストップをかけるだろうし。
チラリとアディス達を見ると、ニコッと笑われた。どうしても俺を蚊帳の外に置きたいらしい。
うん。コレは聞いても教えてくれない感じのヤツ。じゃあ、いつも以上に俺もはっちゃけちゃおうかな!
「おけおけ。・・・・・・死なせなきゃいいんだよね? ふっふっふ・・・・・・覚悟してろよ?」
俺がこの二年間、あんな噂をただ聞き流していただけだと思った? そんな訳ないじゃん。
面白おかしく吹聴するヤツや蔑んだ目や声でときにこっそり、ときにハッキリと噂をするヤツらはしっかり顔と名前とお家情報をチェック済み。
今までは訓練中に気付かれないような些細な仕返しをちまちましてたけど、どうやら今日は大っぴらにヤっていいらしいし。
そう思いながらふっふっふと笑う俺は顔に似合わないあくどい顔をしていたらしく、アディス達全員にドン引きされた。
えー? そんなに? 失礼しちゃうなー!
俺はステージ上に上がるまで、一人ムスッとしていたのだった。
「・・・・・・そんな顔のセラも可愛い」
「ダスク師団長にそっくりだな」
「やはり血は関係ないですよね」
「だろう? ホント、私の息子、可愛い!」
「親の背中を見て子は育つ・・・・・・まさにその通りですねぇ」
・・・・・・ちょっと? 聞こえてますけど!
でもアディスに似てるっていうのは嬉しいな。
ちょっと気分が上がった俺は、ヤツらをどう料理してやろうかと色々考えを巡らせるのだった。
※ちょっと短いですが、きりよく。次はバトルロイヤルの予定です。
「お前ら、何時も通りにやれよ!」
アディスとエリアス団長が休憩時間終了の声をかけた。
俺はその直前までアルヴァに魔力供給をされていて違う意味でヘロヘロだった。
「・・・・・・アル、も、ちょっと・・・・・・てかげん」
「悪い。止まれなかった」
俺が疲れてもつれた舌で何とかそう言って睨むと、悪びれもせず、しれっとそう返した。
いやいや、俺、腰が抜けちゃってんですけど! もう一度アルヴァを睨んでから治癒魔法で直す。
せっかく魔力供給して貰ったのに意味ねーじゃん。まあほんの少ししか魔力使わないけど。
アルヴァが俺の腰をさり気なく抱いてベンチから立つとアディス達に近付いた。
「お待たせしました」
「・・・・・・セラ、補給出来た?」
「ぅ、はい。何とか・・・・・・」
アディスがジト目でアルヴァを見ながらそう聞いてきたので、若干顔を赤くして返事をする。
そういうコトをしてたって分かってるよね? でも身内に知られてるって、めっさ恥ずかしい!
「・・・・・・ヨシ。じゃあ油断せずに頑張ろう。アルヴァも、分かってるよね?」
「はい」
「セラに何かあればさっきの比じゃなくボコるからな」
「───っはい」
今日はとてもアルヴァに厳しい父様に苦笑する。
「ヤだなあ、父様。俺だって自分の身は自分で護れるよ。それに多少怪我してもすぐに治せるし」
「いいや、毛一本でも傷付けさせないと誓う」
俺の軽口に真剣な顔でそう言うアルヴァに、俺も思わず背筋がシャンとなる。
・・・・・・何かヤな予感がする。でも俺に知らせない何かってコトは分かった。
なら、俺も聞くべきじゃないし、何時も通りでいいんだろう。何かあればストップをかけるだろうし。
チラリとアディス達を見ると、ニコッと笑われた。どうしても俺を蚊帳の外に置きたいらしい。
うん。コレは聞いても教えてくれない感じのヤツ。じゃあ、いつも以上に俺もはっちゃけちゃおうかな!
「おけおけ。・・・・・・死なせなきゃいいんだよね? ふっふっふ・・・・・・覚悟してろよ?」
俺がこの二年間、あんな噂をただ聞き流していただけだと思った? そんな訳ないじゃん。
面白おかしく吹聴するヤツや蔑んだ目や声でときにこっそり、ときにハッキリと噂をするヤツらはしっかり顔と名前とお家情報をチェック済み。
今までは訓練中に気付かれないような些細な仕返しをちまちましてたけど、どうやら今日は大っぴらにヤっていいらしいし。
そう思いながらふっふっふと笑う俺は顔に似合わないあくどい顔をしていたらしく、アディス達全員にドン引きされた。
えー? そんなに? 失礼しちゃうなー!
俺はステージ上に上がるまで、一人ムスッとしていたのだった。
「・・・・・・そんな顔のセラも可愛い」
「ダスク師団長にそっくりだな」
「やはり血は関係ないですよね」
「だろう? ホント、私の息子、可愛い!」
「親の背中を見て子は育つ・・・・・・まさにその通りですねぇ」
・・・・・・ちょっと? 聞こえてますけど!
でもアディスに似てるっていうのは嬉しいな。
ちょっと気分が上がった俺は、ヤツらをどう料理してやろうかと色々考えを巡らせるのだった。
※ちょっと短いですが、きりよく。次はバトルロイヤルの予定です。
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