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15 休憩時間という名の密会 2(sideエリアス)
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『ロステム侯爵には今、二人の子供がいる。私がセラータを養子にした直後に正妻と愛人両方とも懐妊が分かったそうだ』
『・・・・・・まさか、次が出来たからセラータ殿を切っても構わないと?』
『おそらく。だから捜索もしなかったんだろう。そもそも正妻が産めばその子が後継者になるのは確実だからな』
アディスは定期的に情報を得ていたのだろう。淡々と事実だけを話す。
『愛人が産んだ二週間後に正妻が産んでいる。どちらも男だ。だが後継者はやはり正妻の子になった。だから第二王子に婚約者として薦めているのは愛人の方』
『セラータ殿の実弟、というわけですか』
『セラは全く気にしていなくて赤の他人って笑ってたけどね』
アディスはカラカラと笑った。確かに血の繋がった他人より血の繋がりのない父親の方が愛情を注いでいるだろうし。
『でね、念のため陛下にも奏上したわけ。そうしたら陛下も第二王子には頭を悩ませていたから、コレを機に第二王子派の貴族を炙り出して粛清したいって』
『───では、様子見すると?』
俺がそう言うと、苦渋の決断という顔でアディスが声を絞り出した。
『・・・・・・そうだ』
『そんな! それではあんな根も葉もない噂で彼が傷付くことに・・・・・・』
思わずディートが声を荒げた。俺も同じ気持ちだった。
『・・・・・・陛下のご意向だ。第二王子殿下には敬意は払ってないが、陛下には忠誠を誓っているからな。後継となる第一王子殿下にも臣下としてコレからもお仕えするからね』
それがなきゃ、とっくにロステム侯爵家を潰してる───そう呟くアディスに、俺達は惜しみない協力を申し出るのだった。
『騎士団にいるロステム・タッカーがセラータの5歳下の義弟・・・正妻の子で、魔導師団にいるロステム・ヘルムが同じく5歳下の実弟だよ』
『・・・・・・ああ、いるな。その他大勢の中の一人だから気にしてなかった』
『コッチも実力は平々凡々だよ。髪色が橙色で目立つから気が付くってくらい?』
そう言ってアディスが嘲笑った。俺達も同じ気持ちだ。
二人とも容姿以外に目立つところがないくらい能力は頑張って並の下くらいだった。高位貴族という身分を鼻にかけたイヤなヤツらだ。
『ちなみに、セラには陛下の思惑は何も伝えていないから内緒ね。裏でこっそり動くよ』
まあ、確かにこんな煩わしいこと、セラータは知らない方がいいので一も二もなく了承した。
それからの二年間で噂はどんどん酷くなり、アルヴァが無自覚なせいでセラータ殿から距離を置きだして・・・・・・。
彼を悲しませているのは分かっているのに秘密裏に動いているので本当のことも言えず、明るく気丈に振る舞う彼に胸を痛めながら過ごしてきた。
俺達はこの二年間ですでに第二王子派の貴族家の不正や弱味を掴み終えている。あとはヤツらが実行に移して自滅するのを待つのみだった。
それも今日、片が付くだろう。
大食堂で大袈裟に一芝居打って竜人の番いがセラータだと周知させたそうだ。
午後の合同訓練でもイチャイチャさせてた(コレは勝手にやってた)ので、相手は頭に血が上っているはず。
先ほどの対魔物討伐訓練でもちまちまやらかしていたようだが、アディスとセラータの魔法合戦のせいでことごとく失敗していた。
だからコレ幸いと次のバトルロイヤルでは堂々と襲ってくるだろう。
───ロステム侯爵子息達も、第二王子殿下の配下達も・・・・・・。
「次が私の本当のストレス発散だよ」
黒い笑みでそう言うアディスを見て、俺達は思う。
───ご愁傷様。
※書けたので投稿します。次は難しいかもしれません。
『・・・・・・まさか、次が出来たからセラータ殿を切っても構わないと?』
『おそらく。だから捜索もしなかったんだろう。そもそも正妻が産めばその子が後継者になるのは確実だからな』
アディスは定期的に情報を得ていたのだろう。淡々と事実だけを話す。
『愛人が産んだ二週間後に正妻が産んでいる。どちらも男だ。だが後継者はやはり正妻の子になった。だから第二王子に婚約者として薦めているのは愛人の方』
『セラータ殿の実弟、というわけですか』
『セラは全く気にしていなくて赤の他人って笑ってたけどね』
アディスはカラカラと笑った。確かに血の繋がった他人より血の繋がりのない父親の方が愛情を注いでいるだろうし。
『でね、念のため陛下にも奏上したわけ。そうしたら陛下も第二王子には頭を悩ませていたから、コレを機に第二王子派の貴族を炙り出して粛清したいって』
『───では、様子見すると?』
俺がそう言うと、苦渋の決断という顔でアディスが声を絞り出した。
『・・・・・・そうだ』
『そんな! それではあんな根も葉もない噂で彼が傷付くことに・・・・・・』
思わずディートが声を荒げた。俺も同じ気持ちだった。
『・・・・・・陛下のご意向だ。第二王子殿下には敬意は払ってないが、陛下には忠誠を誓っているからな。後継となる第一王子殿下にも臣下としてコレからもお仕えするからね』
それがなきゃ、とっくにロステム侯爵家を潰してる───そう呟くアディスに、俺達は惜しみない協力を申し出るのだった。
『騎士団にいるロステム・タッカーがセラータの5歳下の義弟・・・正妻の子で、魔導師団にいるロステム・ヘルムが同じく5歳下の実弟だよ』
『・・・・・・ああ、いるな。その他大勢の中の一人だから気にしてなかった』
『コッチも実力は平々凡々だよ。髪色が橙色で目立つから気が付くってくらい?』
そう言ってアディスが嘲笑った。俺達も同じ気持ちだ。
二人とも容姿以外に目立つところがないくらい能力は頑張って並の下くらいだった。高位貴族という身分を鼻にかけたイヤなヤツらだ。
『ちなみに、セラには陛下の思惑は何も伝えていないから内緒ね。裏でこっそり動くよ』
まあ、確かにこんな煩わしいこと、セラータは知らない方がいいので一も二もなく了承した。
それからの二年間で噂はどんどん酷くなり、アルヴァが無自覚なせいでセラータ殿から距離を置きだして・・・・・・。
彼を悲しませているのは分かっているのに秘密裏に動いているので本当のことも言えず、明るく気丈に振る舞う彼に胸を痛めながら過ごしてきた。
俺達はこの二年間ですでに第二王子派の貴族家の不正や弱味を掴み終えている。あとはヤツらが実行に移して自滅するのを待つのみだった。
それも今日、片が付くだろう。
大食堂で大袈裟に一芝居打って竜人の番いがセラータだと周知させたそうだ。
午後の合同訓練でもイチャイチャさせてた(コレは勝手にやってた)ので、相手は頭に血が上っているはず。
先ほどの対魔物討伐訓練でもちまちまやらかしていたようだが、アディスとセラータの魔法合戦のせいでことごとく失敗していた。
だからコレ幸いと次のバトルロイヤルでは堂々と襲ってくるだろう。
───ロステム侯爵子息達も、第二王子殿下の配下達も・・・・・・。
「次が私の本当のストレス発散だよ」
黒い笑みでそう言うアディスを見て、俺達は思う。
───ご愁傷様。
※書けたので投稿します。次は難しいかもしれません。
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