月の至高体験

エウラ

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本編

33 初めましての生徒会

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連休明け、一番にSクラスの皆が心配そうに声をかけてきた。

「私達は皆、スメラギ様を信じております。あんな噂など言いがかりと分かっております!」
「そうですね。ですが廃嫡は本当のことなので、私の事は名前の方の『サクヤ』と呼んで下さい」
「そ、そんな・・・っ分かりました。では私達はこれからも敬意を払って『サクヤ様』と呼ばせて頂きます。ね、皆!」
「はい!」

それに苦笑交じりのスオウ。

「諦めろ。コイツら、言っても聞かないから」
「そうみたいです。・・・ありがとうございます」

そう言って、精一杯の笑顔を見せた。
表情筋、仕事してるかな?

「サ、サクヤ様が笑んだ・・・・・・」

皆がポウッと顔を赤くした。あれ?

「心配ない。・・・・・・気持ちは分かる。普段笑わないヤツの笑顔って凄絶だよな・・・」

皆、コクコクと首振り人形と化した。

「・・・・・・? そう」

よく分かってなかったサクヤだった。


さて、盛りに盛られた私の噂話。
昨日の今日で早いなと思うのは、陽希が仕組んでるからだろう。

ー公爵家から廃嫡された。
うん、事実。

ー原因は双子の弟をずっと虐めていたから。
いやいや、逆に虐められてたんだが。

ー否定してるがやっぱり学園長や教師達とXXらしい。
・・・・・・何それ?

ーとにかく性悪で、いい子ちゃんぶってる。
はいはい、性悪は無きにしも非ず。

だって、陽希が問題を起こしても知らんぷり。
勝手に自滅しろって思ってるし。

僕は聖人君子じゃあない。
普通の15歳の少年だ。

何でもかんでも押し付けられてハイハイと唯々諾々と従うのはもう辞めた。

だってもう公爵家の人間じゃない。

廃嫡されて、皇帝陛下の養子に迎えられた時点で縁は切れてる。アイツらの言うことに耳を傾ける必要性はない。

養子の件は、陽希が煩くなるので非公表。
知ってるのは学園長と教師陣、皇宮の陛下の側近と宰相や大臣あたりぐらい。
後はオクタヴィア家の皆。
ああ、ガオウ兄様繋がりで生徒会役員もご存知との事。

で、なんでこんなことをつらつらと考えているかと言うと・・・・・・。

「生徒会へいらっしゃい、サクヤ!」

・・・何故か生徒会室に呼ばれたからだ。

当然のようにスオウとワンセット扱いで入室すると同時にガオウ兄様が出迎えた。

ビックリして固まった僕をスオウがひょいと持ち上げて勝手にソファへ腰を下ろした。
僕を膝の上に横抱きにして。

居たたまれない。
さすがの僕の表情筋も仕事をしたらしく、顔が熱い。眉も下がってる気がする。

「スオウ、恥ずかしい・・・」

消えそうな声で呟いたが、しっかりと聞こえていたようだ。

「・・・あー、ごめん、コッチに顔を埋めてな」

そう言って顔を胸に押し付けられた。
もう、ここがどこで誰が見てるなんて頭から抜けてた。

「サクヤのこんな顔見せらんねえ」

なんてスオウが呟いたが、聞こえてなかった。



「・・・・・・そろそろ自己紹介したいのだが」

その声にハッとして思わずガバッと顔をあげたら、たくさんの顔に見つめられていた。
我に返ったら、ここが生徒会室で彼らが生徒会役員ということに思い至る。

そして再びのフリーズ、からの赤面。

「今日はお顔が随分仕事してるね! 真っ赤っかで可愛い!」
「寄るな見るな馬鹿兄貴!」
「・・・・・・スミマセン」

僕が謝ったらピタリと止んだ。
スオウに膝から下ろしてもらい、改めて挨拶をする。

「初めまして。生徒会役員の皆様方。スメラギ・サクヤ改め、オクタヴィウス・サクヤと申します。よろしくお願いいたします」
「・・・ああ、よろしく。私は生徒会会長のミュラー・アルフレッドだ。3学年のSクラス」
「書記と会計のフォーミル・ルイスとルーク。一卵性双生児で私ルイスが兄。私達も3学年でSクラス」
「ルークだ。よろしくな」
「スターリング・レックス。庶務だ。ガオウとは同クラスだ。2学年のSクラスだな」
「そして僕が副会長のオクタヴィア・ガオウ。サクヤの兄様だよ!」
「まだ違うだろ?」

レックスに突っ込まれてる。
別に気にしないのに。

「で、俺たちを呼んだのは生徒会関係?」

スオウが尋ねたけど、そんな態度でいいの?

「相変わらずだな? サクヤ殿が驚いているぞ。大丈夫。私達は皆、幼馴染みだから、人の目がないときはこんなもんだ」
「・・・幼馴染み」

羨ましい。
ちょっとキラキラした目をしてたらしい。
スオウに頭を撫でられた。

「サクヤもこのメンバーの時は気楽にしていいぞ。な? いいよな?」
「そうだね。こんな美人で可愛い子が弟分なんてサイコー」
「だな」
「・・・ありがとう?」
「うんうん。安定の天然だね」
「??」
「確かにほっとけないや」
「でしょー?」

何やら皆で話してるが、イマイチピンとこないサクヤだった。




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