11 / 133
本編
8 *隣の芝生は青い?
しおりを挟む
*少しRっぽい単語が出るので念の為*
学園生活が始まって2週間ほどした頃、学園内で噂話が流れた。
曰く、スメラギ・サクヤは誰彼構わず咥え込んでいる、と。
入試結果は嘘で教師達に取り入って成績を誤魔化している、と。
どうして僕の耳に入って来たのかというと、親切なクラスメイトが心配して教えてくれたから。
僕以外は皆、何かしらの噂を聞いているらしかった。
僕?
基本、興味ないことは右から左へスルー。
まあ、教えてくれるような親しい人がいないともいう。スオウは別だけど。
スオウは僕に聞かせたくないことは絶対に悟らせない。この2週間で嫌というほど分かった。
でもそれは僕の為だったし、僕も嫌じゃない。
強請れば教えてはくれるだろうけど僕もそこまでして知りたくないし。
だから、ちょうどスオウがいない時を見計らってクラスの子がコソッと教えてくれたんだ。
「学園中で噂になってるんです。もちろん私達は入学してからのスメラギ様の事をご存知ですので、疑いもしませんけど。そもそも、そんな事をしても、学力が足りずにすぐに勉強に着いていけなくなりますよね」
そう言って、知らないで耳に入ったらびっくりするんじゃないかって心配してくれた。
「ありがとうございます。知りませんでした。あの、所で『咥え込む』って、何を咥えるんです?」
「あっえっと、ええ?!」
クラスメイトが動揺してるけど、何?
分からないことはすぐに尋ねて解決しておかないと。
「何?」
「ナニ?!」
「・・・『ナニ』?」
・・・・・・って何だ?
言葉遊び?
教室の皆がザワついているが、気にしない。
もう一度。
「『ナニ』って何?」
「何言ってんだ!!! 馬鹿サクヤ!!」
え?
「あ、スオウ、お帰りなさい。用事は済んだの?」
いつの間にか戻ってきていたスオウに返事をする。
「何って、『ナニ』を咥え込むのって聞いて」
「もう黙れよお前! お前らも余計なこと言うんじゃねえ! 分かったな!」
クラス中、カクカク首振り人形になった。面白い。
下校時間になったので寮へ向かった。
さっきのが気になって途中で聞いた。
スオウが言うには、ここ数日の間に、僕が体を使って首席を取ったという様な噂が広まったんだという。
全く心当たりがない。
そもそも体を使うって何?
部屋に戻って鍵がかかれば防音魔法が発動するから、中で詳しく聞くことになった。
「それで?」
紅茶を入れてスオウにも渡す。
僕はずっと独りだったから自分の事はおろか、家事全般出来る。やるならとことんて感じで、たぶんプロ並みのはず。
ソファに座って促すと、渋々といった風に話し出した。
「ざっと説明した通り、お前が教師達を籠絡して成績を不正改ざんしたと噂になってるんだよ。もちろん学園長も理事長も、教師すらきっぱり否定しているから、そのうち噂は消えると思うけど」
「籠絡」
意味は分かるけど。
「ねえ、さっき言ってた咥え込むのってその籠絡に関係あるの?」
ブーーーっ!!!
うわ、汚い! じゃなくて。
「スオウ、大丈夫?!」
「げほっ、ごほっ・・・おま、何ちゅう事を・・・!」
背中を摩る。その間も???
意味が分からない。
落ち着いたスオウが、僕の両肩を掴んで真面目な顔で僕に聞いてきた。
「お前、閨教育は受けたか?」
「NO」
僕も思わず真顔で即答しちゃった。いやいつも真顔だった。
「の・・・?」
あ、やべ、こっちにはない言葉だった。
「いやその、ないです」
誤魔化されて。
「・・・・・・分かった」
・・・くれたかな?
「で、閨教育がどうしたの? してないと不味い? 僕にはそういうのはなかったけど。ああ、陽希にはあったかな。精通したらどうのって話してたのを聞いた気がする」
「精通・・・は分かるんだな?」
「うん。前に花江が教えてくれた。朝起きたら下着が汚れてた事があって、初めてだったからビックリして聞いたんだよ。お祝いだって言ってこっそりお赤飯炊いてくれたけど・・・。あれって夢精って言うんでしょ? 生理現象って聞いたけど・・・?」
スオウがちょっと固まってから、はあ、と溜息を着いた。
「うん、そこら辺は、ちょっとうちの家族に相談してみる。お前がどこまで把握してるのか確認しながらかな? もうすぐちょっとした連休があるだろ? 俺、帰省するからその時一緒に来いよ。母さんも会いたがってる」
「スオウの母君はうちの国の侯爵令嬢だったんだっけね。うん。僕も色々聞きたい。よろしくお願いします」
その後、スオウがコホンと場の空気を変えた。
「それで、ちょっと探ってたんだけど、出所は案の定というか、弟の取り巻き連中」
「・・・だと思った。何でいつもこうなんだろう。自分は何でも持ってるくせに、『隣の芝生は青い』ってヤツなんだろうか。あげるものなんか、次期当主くらいしかないのに。・・・え、まさか、スオウ?」
「へ?」
スオウがキョトンとした。
「・・・・・・いやだ。スオウだけはいや。スオウだけは奪わないで、スオウが居なかったら、ぼく・・・」
「サクヤ? おいサクヤ、しっかりしろ! ・・・過呼吸起こしてる!」
息が吸えない。苦しい。助けて、スオウ!
口が何かに塞がれた。苦しい。
スオウ、スオウ・・・僕だけの・・・大切なひと・・・・・・。
僕の・・・・・・。
学園生活が始まって2週間ほどした頃、学園内で噂話が流れた。
曰く、スメラギ・サクヤは誰彼構わず咥え込んでいる、と。
入試結果は嘘で教師達に取り入って成績を誤魔化している、と。
どうして僕の耳に入って来たのかというと、親切なクラスメイトが心配して教えてくれたから。
僕以外は皆、何かしらの噂を聞いているらしかった。
僕?
基本、興味ないことは右から左へスルー。
まあ、教えてくれるような親しい人がいないともいう。スオウは別だけど。
スオウは僕に聞かせたくないことは絶対に悟らせない。この2週間で嫌というほど分かった。
でもそれは僕の為だったし、僕も嫌じゃない。
強請れば教えてはくれるだろうけど僕もそこまでして知りたくないし。
だから、ちょうどスオウがいない時を見計らってクラスの子がコソッと教えてくれたんだ。
「学園中で噂になってるんです。もちろん私達は入学してからのスメラギ様の事をご存知ですので、疑いもしませんけど。そもそも、そんな事をしても、学力が足りずにすぐに勉強に着いていけなくなりますよね」
そう言って、知らないで耳に入ったらびっくりするんじゃないかって心配してくれた。
「ありがとうございます。知りませんでした。あの、所で『咥え込む』って、何を咥えるんです?」
「あっえっと、ええ?!」
クラスメイトが動揺してるけど、何?
分からないことはすぐに尋ねて解決しておかないと。
「何?」
「ナニ?!」
「・・・『ナニ』?」
・・・・・・って何だ?
言葉遊び?
教室の皆がザワついているが、気にしない。
もう一度。
「『ナニ』って何?」
「何言ってんだ!!! 馬鹿サクヤ!!」
え?
「あ、スオウ、お帰りなさい。用事は済んだの?」
いつの間にか戻ってきていたスオウに返事をする。
「何って、『ナニ』を咥え込むのって聞いて」
「もう黙れよお前! お前らも余計なこと言うんじゃねえ! 分かったな!」
クラス中、カクカク首振り人形になった。面白い。
下校時間になったので寮へ向かった。
さっきのが気になって途中で聞いた。
スオウが言うには、ここ数日の間に、僕が体を使って首席を取ったという様な噂が広まったんだという。
全く心当たりがない。
そもそも体を使うって何?
部屋に戻って鍵がかかれば防音魔法が発動するから、中で詳しく聞くことになった。
「それで?」
紅茶を入れてスオウにも渡す。
僕はずっと独りだったから自分の事はおろか、家事全般出来る。やるならとことんて感じで、たぶんプロ並みのはず。
ソファに座って促すと、渋々といった風に話し出した。
「ざっと説明した通り、お前が教師達を籠絡して成績を不正改ざんしたと噂になってるんだよ。もちろん学園長も理事長も、教師すらきっぱり否定しているから、そのうち噂は消えると思うけど」
「籠絡」
意味は分かるけど。
「ねえ、さっき言ってた咥え込むのってその籠絡に関係あるの?」
ブーーーっ!!!
うわ、汚い! じゃなくて。
「スオウ、大丈夫?!」
「げほっ、ごほっ・・・おま、何ちゅう事を・・・!」
背中を摩る。その間も???
意味が分からない。
落ち着いたスオウが、僕の両肩を掴んで真面目な顔で僕に聞いてきた。
「お前、閨教育は受けたか?」
「NO」
僕も思わず真顔で即答しちゃった。いやいつも真顔だった。
「の・・・?」
あ、やべ、こっちにはない言葉だった。
「いやその、ないです」
誤魔化されて。
「・・・・・・分かった」
・・・くれたかな?
「で、閨教育がどうしたの? してないと不味い? 僕にはそういうのはなかったけど。ああ、陽希にはあったかな。精通したらどうのって話してたのを聞いた気がする」
「精通・・・は分かるんだな?」
「うん。前に花江が教えてくれた。朝起きたら下着が汚れてた事があって、初めてだったからビックリして聞いたんだよ。お祝いだって言ってこっそりお赤飯炊いてくれたけど・・・。あれって夢精って言うんでしょ? 生理現象って聞いたけど・・・?」
スオウがちょっと固まってから、はあ、と溜息を着いた。
「うん、そこら辺は、ちょっとうちの家族に相談してみる。お前がどこまで把握してるのか確認しながらかな? もうすぐちょっとした連休があるだろ? 俺、帰省するからその時一緒に来いよ。母さんも会いたがってる」
「スオウの母君はうちの国の侯爵令嬢だったんだっけね。うん。僕も色々聞きたい。よろしくお願いします」
その後、スオウがコホンと場の空気を変えた。
「それで、ちょっと探ってたんだけど、出所は案の定というか、弟の取り巻き連中」
「・・・だと思った。何でいつもこうなんだろう。自分は何でも持ってるくせに、『隣の芝生は青い』ってヤツなんだろうか。あげるものなんか、次期当主くらいしかないのに。・・・え、まさか、スオウ?」
「へ?」
スオウがキョトンとした。
「・・・・・・いやだ。スオウだけはいや。スオウだけは奪わないで、スオウが居なかったら、ぼく・・・」
「サクヤ? おいサクヤ、しっかりしろ! ・・・過呼吸起こしてる!」
息が吸えない。苦しい。助けて、スオウ!
口が何かに塞がれた。苦しい。
スオウ、スオウ・・・僕だけの・・・大切なひと・・・・・・。
僕の・・・・・・。
114
お気に入りに追加
1,081
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
箱庭
エウラ
BL
とある事故で異世界転生した主人公と、彼を番い認定した異世界人の話。
受けの主人公はポジティブでくよくよしないタイプです。呑気でマイペース。
攻めの異世界人はそこそこクールで強い人。受けを溺愛して囲っちゃうタイプです。
一応主人公視点と異世界人視点、最後に主人公視点で二人のその後の三話で終わる予定です。
↑スミマセン。三話で終わらなかったです。もうしばらくお付き合い下さいませ。
R15は保険。特に戦闘シーンとかなく、ほのぼのです。
俺を注意してくる生徒会長の鼻を明かしてやりたかっただけなのに
たけむら
BL
真面目(?)な生徒会長×流されやすめなツンデレ男子高校生。そこに友達も加わって、わちゃわちゃの高校生活を送る話。
ネクタイをつけてこないことを毎日真面目に注意してくる生徒会長・伊佐野のことを面白がっていた水沢だったが、実は手のひらの上で転がされていたのは自分の方だった? そこに悪友・秋山も加わってやいのやいのにぎやか(?)な高校生活を送る話。
楽しんでいただけますように。どうぞよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる