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505 よもやよもやの 5(sideアルカンシエル)
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俺が、いや俺達が冒険者ギルドに戻る直前、冒険者ギルドの方から圧倒されるほどの重くて高密度の魔力がグワッと広がった。
咄嗟に俺はフェレス達に結界魔法を張る。
一般人はおろか、それなりの冒険者でも卒倒するくらいの密度のヤツだ。
案の定、俺達以外の住民が魔力にあてられて倒れたりふらついたり、中には意識のないヤツもいた。
「───チッ!」
「ア、アーク殿、一体何が・・・・・・?」
「・・・・・・うわっ!?」
思わず舌打ちして、戸惑うセオドア達に無言で視線を向けると右腕にセオドア左腕にフェレスを抱え上げて走る。
・・・・・・うん、ノア以外にやりたくなかったが今は緊急事態だ。仕方ねえ。さすがに俺に着いてこいとは言えねえからな。
二人を抱えて走り、あっという間に冒険者ギルドの入り口に着くと、さっきまであった魔力が不意に収まった。どうやら上手く押さえ込んだようだ。コレはエレフの魔力だな。
俺はフェレス達を下ろすと、入り口の扉を開いて叫んだ。
「───ごらぁ、アンター! 大人しくしてろつったのに、何やってんだ───!」
───そして今に至るわけだ。
酒場のカウンター席に一人ポツンと座り、俺の説教を受けて縮こまってぴるぴるする精霊王。
いやホント、何でたかだか数十分の間、大人しく出来ないんだよ! ガキか!
「まぁ、ギルド内を彷徨いてたのは想定範囲内だから大目に見よう。だがコレはダメだろ!」
俺がビシッとカウンターの向こうを行儀悪くも指差すと、そこには今は落ち着いたのか物静かにお茶を淹れている鬼人らしくない中性的な美青年。
ノアに似た系統の美人だ。
前回エイダンの街に来たときはいなかったよな?
そんな俺の思考を読んだのか、その青年は自己紹介をしてくれた。
「初めまして。俺はハナキと言います。数ヶ月前からここの酒場のマスターをしておりますが、一応Bランク冒険者です」
俺にお茶を出しながらそう言った。
「ああ、初めまして。俺はアルカンシエル、Sランク冒険者だ。数ヶ月前ということは、以前俺達がここを立ったあとに来たのか?」
「そうなりますね。でも冒険者ギルドや街中で噂になっていたので何かもう知り合いのような気がします」
うーん、噂ってのはノアのあれやこれかな?
気立てのいい好青年でよかったが、ともかく初対面の相手に断りもなくやらかしやがったエレフにはお灸を据えておく。
「エレフが急に悪かったな。精霊王なせいか俺達の常識が通用しなくて色々やらかすんだよ」
「いえ! 俺はおかげで身体が軽くなって、今ならかなり強い魔物でも一人で倒せそうな感じですよ」
そう笑うハナキは、本当に元気そうだった。以前の彼を知らないが、周りのヤツらもずいぶんと明るい顔をしているから、たぶん前はそんなに体調もよくなかったのだろう。
「へえ、そういやかなり力が解放されたようだな? 魔力の流れもいい」
《魔力なら我の十八番だからな。こんなのも、ちょちょいのチョイだ》
「ドヤ顔で言うな」
《うっ・・・・・・ごめんなさい》
口を挟んできたエレフをズバッと言って黙らせる。誰のせいでこうなったと思ってる!?
「いやマジ、焦ったのなんの。二人を連れて戻る途中であの魔力暴走みたいなのを感じて、エレフがやらかしやがったって一発で思ったわ」
《・・・・・・我が原因って決めつけるのは───》
「エレフ以外にはノアしかいねえよ、こんなことするヤツ」
《───スマン》
全く、血の繋がりがないクセによく似てるんだよな、この二人。
「ハナキだったか、ここにノアがいたら『手合わせして欲しい』って言いそうなくらいには強そうだ」
「え、そうですか!?」
俺がそう言うと、嬉しそうに笑ったハナキ。鬼人らしくないせいで色々あったんだろうな。純粋に力に目覚めて嬉しいんだろう。
「まぁ暫くは訓練して力に慣れることだな。無理のない範囲で根気強く鍛錬してみろ。焦らずにな」
急に解放された力だから暫くは慣れないだろう。きちんと制御して鍛えなければ宝の持ち腐れだ。
「ええ、そうします。・・・・・・ふふ、今まで生きてきてこんなに楽しいのは初めてです。ありがとうございます、精霊王様」
《まぁ、それならばよかった》
「結果がよかったからいいものの、次は必ず本人とか俺やノアに確認をしてからにしてくれ」
釘を刺しておかないとヴァンの二の舞だぜ。
「ノアは怒らせると怖いからな?」
《・・・・・・肝に銘ずる》
想像してヒョッと青ざめるエレフに留飲を下げる俺だった。
※うわーん、まだまだ続くよ。
咄嗟に俺はフェレス達に結界魔法を張る。
一般人はおろか、それなりの冒険者でも卒倒するくらいの密度のヤツだ。
案の定、俺達以外の住民が魔力にあてられて倒れたりふらついたり、中には意識のないヤツもいた。
「───チッ!」
「ア、アーク殿、一体何が・・・・・・?」
「・・・・・・うわっ!?」
思わず舌打ちして、戸惑うセオドア達に無言で視線を向けると右腕にセオドア左腕にフェレスを抱え上げて走る。
・・・・・・うん、ノア以外にやりたくなかったが今は緊急事態だ。仕方ねえ。さすがに俺に着いてこいとは言えねえからな。
二人を抱えて走り、あっという間に冒険者ギルドの入り口に着くと、さっきまであった魔力が不意に収まった。どうやら上手く押さえ込んだようだ。コレはエレフの魔力だな。
俺はフェレス達を下ろすと、入り口の扉を開いて叫んだ。
「───ごらぁ、アンター! 大人しくしてろつったのに、何やってんだ───!」
───そして今に至るわけだ。
酒場のカウンター席に一人ポツンと座り、俺の説教を受けて縮こまってぴるぴるする精霊王。
いやホント、何でたかだか数十分の間、大人しく出来ないんだよ! ガキか!
「まぁ、ギルド内を彷徨いてたのは想定範囲内だから大目に見よう。だがコレはダメだろ!」
俺がビシッとカウンターの向こうを行儀悪くも指差すと、そこには今は落ち着いたのか物静かにお茶を淹れている鬼人らしくない中性的な美青年。
ノアに似た系統の美人だ。
前回エイダンの街に来たときはいなかったよな?
そんな俺の思考を読んだのか、その青年は自己紹介をしてくれた。
「初めまして。俺はハナキと言います。数ヶ月前からここの酒場のマスターをしておりますが、一応Bランク冒険者です」
俺にお茶を出しながらそう言った。
「ああ、初めまして。俺はアルカンシエル、Sランク冒険者だ。数ヶ月前ということは、以前俺達がここを立ったあとに来たのか?」
「そうなりますね。でも冒険者ギルドや街中で噂になっていたので何かもう知り合いのような気がします」
うーん、噂ってのはノアのあれやこれかな?
気立てのいい好青年でよかったが、ともかく初対面の相手に断りもなくやらかしやがったエレフにはお灸を据えておく。
「エレフが急に悪かったな。精霊王なせいか俺達の常識が通用しなくて色々やらかすんだよ」
「いえ! 俺はおかげで身体が軽くなって、今ならかなり強い魔物でも一人で倒せそうな感じですよ」
そう笑うハナキは、本当に元気そうだった。以前の彼を知らないが、周りのヤツらもずいぶんと明るい顔をしているから、たぶん前はそんなに体調もよくなかったのだろう。
「へえ、そういやかなり力が解放されたようだな? 魔力の流れもいい」
《魔力なら我の十八番だからな。こんなのも、ちょちょいのチョイだ》
「ドヤ顔で言うな」
《うっ・・・・・・ごめんなさい》
口を挟んできたエレフをズバッと言って黙らせる。誰のせいでこうなったと思ってる!?
「いやマジ、焦ったのなんの。二人を連れて戻る途中であの魔力暴走みたいなのを感じて、エレフがやらかしやがったって一発で思ったわ」
《・・・・・・我が原因って決めつけるのは───》
「エレフ以外にはノアしかいねえよ、こんなことするヤツ」
《───スマン》
全く、血の繋がりがないクセによく似てるんだよな、この二人。
「ハナキだったか、ここにノアがいたら『手合わせして欲しい』って言いそうなくらいには強そうだ」
「え、そうですか!?」
俺がそう言うと、嬉しそうに笑ったハナキ。鬼人らしくないせいで色々あったんだろうな。純粋に力に目覚めて嬉しいんだろう。
「まぁ暫くは訓練して力に慣れることだな。無理のない範囲で根気強く鍛錬してみろ。焦らずにな」
急に解放された力だから暫くは慣れないだろう。きちんと制御して鍛えなければ宝の持ち腐れだ。
「ええ、そうします。・・・・・・ふふ、今まで生きてきてこんなに楽しいのは初めてです。ありがとうございます、精霊王様」
《まぁ、それならばよかった》
「結果がよかったからいいものの、次は必ず本人とか俺やノアに確認をしてからにしてくれ」
釘を刺しておかないとヴァンの二の舞だぜ。
「ノアは怒らせると怖いからな?」
《・・・・・・肝に銘ずる》
想像してヒョッと青ざめるエレフに留飲を下げる俺だった。
※うわーん、まだまだ続くよ。
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