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501 普通の錬金術師をご所望です 2(sideアルカンシエル)
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※アーク視点です。
あれから俺は、ノアと別れてエレフとともにエイダンの冒険者ギルドのギルマスの執務室に無事転移した。
エレフは俺の中にあるエイダンの街の記憶を必要な部分だけ覗いてそこを座標としたようだ。エレフいわく、そこに存在する精霊達からの気配で行けなくはないそうだが、正確な位置を把握するのには向いてないらしい。
《中位以上か、出来れば上位精霊が望ましいが、彼らは古の森の方で忙しいから滅多に外に行かないし》
───いや、それは精霊王が最近ふらふらと森の外に出かけてるせいだろう?
俺はそうツッコみたいのをすんでで堪えて相槌を打つに留めた。
上位精霊達の苦労が手に取るように分かるぜ。
そんなこんなで瞬く間にギルマスのマーカスの待つ執務室に現れたのだが、事前に断っていたとはいえ、さすがに驚いたようだった。
呆然と立ち尽くしている。
「・・・・・・おう、驚かせたな。すまん」
「いや・・・・・・聞いてはいたけどよ、さすがにこの・・・・・・精霊王様に、初めてお目にかかって」
《邪魔するのぅ》
「ああ、うん。威厳があるようで全くないからあんまり気にするな」
「・・・・・・えええ? まあ、いいけど。・・・・・・それで?」
いくらか平静を取り戻したマーカスに、さっきはろくに説明をしなかったなと、ソファに座りながら詳しい話を聞かせた。
エレフは隣に座って、以前ノアから貰っていたお茶とお菓子を勝手にテーブルに広げて黙々と食べ始めた。
うん、大人しいからいいか。
「───という訳で素材屋の店主を少しの間借りていきたいんだが」
俺があらましを言うとマーカスはうんうんと頷いた。
「それはまあ、本人がいいなら俺は口を出す事はない。そもそも俺だって領主でもない一般住民だし?」
「それもそうか。・・・・・・うん? そうすると領主に断りが必要か?」
住民を勝手に街の外に無断で連れ出すわけだからもしかしなくても違法か。うっかりしてたな。今までも何度も転移してるから気にしてなかった。
・・・・・・俺もノアやエレフにすっかり感化されているな。常識云々って言えなくなってきた。
「・・・・・・あー、事後報告になるが、俺から連絡を入れておく。門衛にも連絡しとくわ」
気を利かせてくれたマーカスが気まずげにそう言ってくれた。
「すまんな」
「いいって。アークはさっさと店主を連れて戻れ。でもって店主をさっさとエイダンに送り返してくれればいい」
そもそもエレフの転移で身分証の提示もなく勝手に街中に浸入してる時点で色々やらかしてたな。
だが精霊王であるエレフに身分証なんてないしなあ。
もうそこら辺、全部マーカスに任せよう。あとでノア特製胃薬置いてくから許せ。
「じゃあ、行くわ。裏口の職員通路から出た方がいいか」
「まあ、そうしてくれると助かる」
「いいか、エレフはくれぐれも冒険者ギルドにいろよ。ノアにも言われてるだろう?」
《分かっておる。冒険者ギルドにいればよいのだろう?》
「・・・・・・本当に大丈夫だろうな。じゃあマーカス、頼んだ」
「・・・・・・本当に置いていくのか。いや、うん。任された?」
もっくもっくと菓子を頬張りながらどこか含みのある言い方をしたエレフと微妙なマーカスの返事を聞いてから、俺は裏口から出て素材屋の店主の前に薬草屋の店主のところに向かうのだった。
※ちょっと短めですが切りよいところで。
次話もアーク視点で続きます。
あれから俺は、ノアと別れてエレフとともにエイダンの冒険者ギルドのギルマスの執務室に無事転移した。
エレフは俺の中にあるエイダンの街の記憶を必要な部分だけ覗いてそこを座標としたようだ。エレフいわく、そこに存在する精霊達からの気配で行けなくはないそうだが、正確な位置を把握するのには向いてないらしい。
《中位以上か、出来れば上位精霊が望ましいが、彼らは古の森の方で忙しいから滅多に外に行かないし》
───いや、それは精霊王が最近ふらふらと森の外に出かけてるせいだろう?
俺はそうツッコみたいのをすんでで堪えて相槌を打つに留めた。
上位精霊達の苦労が手に取るように分かるぜ。
そんなこんなで瞬く間にギルマスのマーカスの待つ執務室に現れたのだが、事前に断っていたとはいえ、さすがに驚いたようだった。
呆然と立ち尽くしている。
「・・・・・・おう、驚かせたな。すまん」
「いや・・・・・・聞いてはいたけどよ、さすがにこの・・・・・・精霊王様に、初めてお目にかかって」
《邪魔するのぅ》
「ああ、うん。威厳があるようで全くないからあんまり気にするな」
「・・・・・・えええ? まあ、いいけど。・・・・・・それで?」
いくらか平静を取り戻したマーカスに、さっきはろくに説明をしなかったなと、ソファに座りながら詳しい話を聞かせた。
エレフは隣に座って、以前ノアから貰っていたお茶とお菓子を勝手にテーブルに広げて黙々と食べ始めた。
うん、大人しいからいいか。
「───という訳で素材屋の店主を少しの間借りていきたいんだが」
俺があらましを言うとマーカスはうんうんと頷いた。
「それはまあ、本人がいいなら俺は口を出す事はない。そもそも俺だって領主でもない一般住民だし?」
「それもそうか。・・・・・・うん? そうすると領主に断りが必要か?」
住民を勝手に街の外に無断で連れ出すわけだからもしかしなくても違法か。うっかりしてたな。今までも何度も転移してるから気にしてなかった。
・・・・・・俺もノアやエレフにすっかり感化されているな。常識云々って言えなくなってきた。
「・・・・・・あー、事後報告になるが、俺から連絡を入れておく。門衛にも連絡しとくわ」
気を利かせてくれたマーカスが気まずげにそう言ってくれた。
「すまんな」
「いいって。アークはさっさと店主を連れて戻れ。でもって店主をさっさとエイダンに送り返してくれればいい」
そもそもエレフの転移で身分証の提示もなく勝手に街中に浸入してる時点で色々やらかしてたな。
だが精霊王であるエレフに身分証なんてないしなあ。
もうそこら辺、全部マーカスに任せよう。あとでノア特製胃薬置いてくから許せ。
「じゃあ、行くわ。裏口の職員通路から出た方がいいか」
「まあ、そうしてくれると助かる」
「いいか、エレフはくれぐれも冒険者ギルドにいろよ。ノアにも言われてるだろう?」
《分かっておる。冒険者ギルドにいればよいのだろう?》
「・・・・・・本当に大丈夫だろうな。じゃあマーカス、頼んだ」
「・・・・・・本当に置いていくのか。いや、うん。任された?」
もっくもっくと菓子を頬張りながらどこか含みのある言い方をしたエレフと微妙なマーカスの返事を聞いてから、俺は裏口から出て素材屋の店主の前に薬草屋の店主のところに向かうのだった。
※ちょっと短めですが切りよいところで。
次話もアーク視点で続きます。
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