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480 あつまれ! 古の森 2
しおりを挟む「まずは説明をお願いします」
人見知り発動中の俺の代わりにメーレがこの場を仕切ってくれるらしい。助かる。アークは俺の世話に忙しい。
「はい。初めましてですね、メーレ王妃殿下。この古の森では爵位や柵なしの無礼講ということで、気軽に話しましょうか」
「ええ、そうですね。こちらもその方がいいです」
うふふあははと若干貴族特有の腹の探り合いをする二人にツッコめない俺。アークに至ってはガン無視だ。
「では。私は竜王国ヴァルハラ大公家の当主ウラノス。アルカンシエルの父でノアの義父だよ」
「私はご存知の通り獣人国の王妃メーレです。ノアには命を助けていただいて、感謝しきれません。ありがとうございます」
そんな挨拶から始まり、ウラノス義父様が説明したことをまとめると───。
「カガシさんのスカウトのついでに番いのチャリオンさんはともかく薬師ギルドの方が希望して一緒にこちらについてきたと」
「そう。王都の薬師ギルドのメンバーは半数近くがカガシ君と同じナヘカ一族の身内だったんで大公家で保護する意味合いもあってね」
メーレの言葉にウラノス義父様が補足を入れた。保護?
「義父様、保護って?」
「ああ、えっと、誓約魔法を彼らにも使っていいかい? それなら話せるんだけど・・・・・・」
俺の質問にちょっと躊躇ってからエレンとミオを見てそう言うウラノス義父様。ふむ、ワケありなんだな。
「エレン、ミオ。イヤならちょっと離れてて貰うけど」
「「いいえ、誓約魔法を使ってかまいません」」
「え、無理しなくても」
「してません!」
「もう一蓮托生です! お願いします!」
食い気味に返答されてちょっとドキドキ。でもいいのかな?
「このままここにいるのだから、知っておいた方がいいんじゃない? 本人達がそう言ってるんだし」
穏やかなメーレの言葉に、それもそうかと納得して誓約魔法を使う。
そしてウラノス義父様が言った言葉にメーレやエレン達もさすがに驚いた。
「確かに知られては危険なスキルですね。カガシさんは英断でしたね。竜王国が後ろ盾なんて最強ですもの」
そう言うメーレにカガシも頷いている。
・・・・・・アレ? 俺は単に羨ましいって思っただけなんだけど。薬師としてはめちゃくちゃいいスキルって。そんなに危険なモノなの?
「うん、ノアはそういうヤツだよな」
「悪用とか考えたことないもんねぇ」
アークとウラノス義父様がうんうんと頷いている。
「悪用・・・・・・あぁ、そういう・・・・・・」
言われて考える。何でも生成出来るってことは、反対に毒も生成出来るってことだ。それを狙って色々生成させられたら───。
「そんなことになったら俺がその悪党を潰してあげるよ。そんなクズ野郎は子作り出来ないように二度と勃たない薬を作って飲ませよう」
「───ノア、どうしてそんな薬の話になるんだ!?」
アークがギョッとして聞いてきたから応えてあげる。
「だってもしそんなヤツの血を引く子供が出来たら子供が可哀想じゃん。親のせいで肩身が狭くなるだろうし、歪んで育っちゃったら大変でしょ?」
「それは、そうかもだが・・・・・・」
「いっそのこともげる薬の方がいいかな?」
「いやいや、そもそもそんな薬あるのか? 作れるのか!?」
アークの言葉に、傍観していたカガシを見る。うん、頷いてるからオッケー。
「カガシも出来るって言ってる」
「はああ!? マジかよ。いいかノア、出来ても勝手に使うなよ!」
「えええ・・・・・・実験したいのに・・・・・・」
「現時点で対象者はいない・・・・・・こともない・・・・・・か?」
「じゃあ、いたらよろしく!」
マッドサイエンティストな俺の発言だったが、メーレや薬師の皆はうんうんと同意している。やっぱり新しい薬は試したいよね!
カガシもにっこり笑ってる。いや細目で何時も笑ってるように見えるけど。でも番いだというチャリオンの耳を終始塞いでいたのはさすがだね。
とても可愛らしいその番いに聞かせる内容じゃなかったもんね。
ミオもエレンの耳を塞いでいた。ミオが若干遠い目をしていたが。
ウラノス義父様とアークは、すでに諦めの表情で溜息を吐いた。
※おやあ? スローライフ・・・・・・?
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