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467 薬師カガシの協力(sideカガシ 下心アリ) 2
しおりを挟む『ほい、薬師ギルドのギルド長・ウカじゃよ』
「───あ、ギルド長。お忙しいところすみません、カガシです」
冒険者ギルドに通信したときは使っていなかったが、今度は念のため自身に防音結界の魔法をかけてチャリオンに聞こえないようにした。
それから通信魔導具で薬師ギルドに連絡を入れると、いきなりギルド長が対応に出て驚く。
おそらく表示された番号が俺の個人用通信魔導具だと気付いたのだろう。
今の薬師ギルド長は俺との付き合いが長く、信用に足る人物だ。
というか、同じナヘカ一族の者だった。
一瞬驚いたが、すぐに平常に戻って話し始めた。
「実は自分も初見の草を、今日同行した冒険者ギルド職員のチャリオンがうっかり口にしてしまって。今、処置をして休ませているところなんです」
そう告げると、ギルド長は通信先で唸った。
『ううむ・・・・・・。ちなみにその草は鑑定したのだよな?』
「はい。少し厄介な鑑定結果でしたので持ち帰り、詳しく鑑定と調査をしようとしていた矢先に、彼が、その」
『───その者は確か山猫の獣人と言っていたな?』
「はい」
『・・・・・・もしやと思うが───アタリか?』
「・・・・・・ギルド長」
俺は思わず声を潜めると咎めるように言った。
するとギルド長はサラッと応えた。
『ああ、もちろんこちらも防音結界の魔法を使っているし人払いもしている。誰にも聞かれんよ、大丈夫だ』
ギルド長の問いに予想はしていたが、しかしこの話は本当に誰かに聞かれるわけにはいかないのだ。
だがそこはさすがギルド長、しっかり対策をしていたようだ。
「なら良いですけど。そうですね。まだ確定出来ませんけど、鑑定には『猫系獣人には毒となる成分がごく微弱に含まれる。蓄積型』というのがありました」
『───なるほど』
「ただ、蓄積はされますがただの草として毎日口にしても致死量には全く達しないようです。精々が体調不良ぐらいでしょう。・・・・・・個人差はあるでしょうが」
『まあ、そうだろうな。でなきゃ、もっと早くに見つけられて調べられているだろうし』
ギルド長の意見には俺も賛同する。
「しかし、これが精製されて濃縮された毒だとしたら・・・・・・」
体内に取り込む量はただの葉っぱの比では無いだろう。
おそらくあっと言う間に、致死量に達する。
『・・・・・・メーレ王妃殿下も、おそらく・・・・・・』
「───でしょうね。聞くところによるとかなり衰弱しているとか」
『うむ。ただ、だからといってお前達の身が、一族が危険に晒されるのを儂らはヨシとしない。・・・・・・難しいの。今代の王妃殿下は素晴らしい御方と聞く』
「・・・・・・亡くすには惜しい方ですね」
今代の獅子王レナードはメーレ王妃を溺愛していてヘタレだという噂が、聞こうとしなくても耳に入ってくる。
病弱だった前正妃の代わりにガンガン政務を熟していて負担が大きかっただろう。
ソコを突かれた形か・・・・・・。
「『・・・・・・』」
二人とも暫く無言になった。
ギルド長は今どんな顔をしているのやら。
『───まあ、今、結論を急ぐことではない。それよりもだ。彼がそんな状態ではお前も今日は森に泊まりかな?』
「ええ、それをお伝えしたくて。俺も明日まで休みにして貰えますか?」
『おう、良いぞ。数日間休んでも全く問題はない。この機会を逃さず頑張るんじゃぞ』
「・・・・・・そうします」
楽しそうにほっほっと笑いながら切れた通信に苦笑いして、俺は通信魔導具を片付けた。
ちらりとチャリオンを窺うと、もぞもぞと動作が大きくなってきていた。
・・・・・・そろそろ覚醒するかな。
薬師ギルド長からも背中を押されて、俺はこれから積極的に攻めていこうと思ったのだった。
※遅くなりました。漸くお仕置きが始まる・・・かも?
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