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462 影達の暗躍とかノアズアーク隊とか 2(sideアガット)
しおりを挟む時を遡る事少し、ヴァンがノアに鷲掴みされて連れ帰られたあと。
この世界各国、あらゆる街にある冒険者ギルドを中心に密かに活動する『ノアズアーク隊』。
そのうちの一つである獣人国王都冒険者ギルドの職員でモブA改め猫獣人のアガット。
彼はギルマスに頼まれたことを遂行するために、まずエイダンに住む自身の祖父に連絡を取った。
今は夕方、もうそろそろ祖父の店も閉店しているだろう。
「---祖父さんに連絡するの久しぶりだな」
実はアガットは王都の冒険者ギルドに就職してからあまり祖父に連絡をとっていなかった。
仕事に慣れるまで大変だったこともあるが、頑固でこと薬草に関しては並々ならぬ拘りが強い祖父が少し苦手だったというのもあった。
しかし今はその祖父の力が必要になりそうな事態に何処か嬉しさと誇らしさがあった。
「---フェレス祖父さん、お久しぶりです。アガットです」
『・・・・・・おう、久しぶりだなアガット。どうした?』
通信魔道具の向こうでフェレスが若干困惑した声を出した。
それはそうだろう。下手すると数年ぶりくらいの孫からの連絡だ。
アガットは苦笑して言った。
「うん、急で申し訳ないんだけど実は祖父さんに頼み事があって・・・・・・。防音の魔法か魔導具を使って欲しいんだけど」
『---うん? 分かった。少し待て。・・・・・・ヨシ、良いぞ』
「ありがとうございます。実は---」
そう言って事の次第を隠さず話す。
情報は正確に偽りなく。
特に祖父さんには誠実にいかねば。
アガットの話を黙って聞いていたフェレスは、聞き終わると二つ返事で快諾してくれた。
『儂に任せろ。実は以前この店にあの二人が来て薬草を買っていってな、その後にアイツの素材屋を紹介してやったんだが、アイツも相当気に入ったようでなあ。絶対二つ返事で協力するはずじゃ! コレから繋ぎを取るから待っていろ。折り返し連絡を入れる』
アガットの祖父フェレスはエイダンで薬草屋を営んでいて、以前ノアとアークが店に立ち寄っていた。
あの時はノアの薬師マイスターのタグに驚き、アークの冒険者Sランクのタグにも驚き、その後古い知人の素材屋を紹介してやったのだが、よもやこんな形で再び関わりを持つとは思ってもみなかった。
『彼等の役に立てる日が来ようとは、獣人生、何が起こるか分からんのう! 長生きはするモンじゃな!』
そう笑いながら通信は切れた。
「---っは、祖父さん、凄え偶然・・・・・・。鳥肌立ったわ」
アガットは興奮しながら両腕を擦った。
それから少しして折り返しの連絡があり、祖父さんの古い知人で素材屋の店主も快諾してくれたという話を聞き、アガットは天に感謝した。
『とりあえず詳しい情報を纏めるから、アガットも何かあれば追加で情報を送ってくれ』
「了解です! ありがとうございます、祖父さん」
アガットが上擦った声でお礼を言うと、フェレスが優しい声で言った。
『なに、こんな事しか取り柄のないジジイだが、孫の役に立てて嬉しいんじゃ。遠慮せずに何でも言え。あと、普通に話せい。祖父と孫なんじゃからな。無理せず頑張れよ』
「---ありがとう、祖父さん」
苦手意識で避けていたのに、気を悪くもせずに自分を気遣ってくれるフェレスに思わずウルッとなったアガットだった。
そしてそれから数日の後に素材屋の店主からはかつての王都の錬金術師ギルドの内情と、フェレス祖父さんからは薬草に関する資料がアガットの元に届けられた。
ソレを元に錬金術師ギルドの腐った体質やメーレ王妃に盛られたであろう毒を調べるのであった。
※遅くなりました。次話はたぶんモブCチャリオンとモブBベアト・・・の予定。
たぶん、裏方の話が続きます、すみません。
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