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447 ウロボロスは憂う
しおりを挟むエレン達が古の森でノア達とメーレ王妃の介護を始めた頃。
アインの街の冒険者ギルドのギルドマスターであるウロボロスは、たった今、自分の執務室で魔人国にいるギギルル兄弟から通信を受けていた。
「---この間は助かった。ありがとう。しかしどうしたんだ? まさかポーションの件で何か不都合が?」
『ああいや、ソレは問題ない。アークにも好きにしていいと言われたからな』
---ということは、アレからアルカンシエル殿に会ったということか?
ノア殿には会わなかったのだろうか。
「それなら良いが。アルカンシエル殿に会ったということは、何か獣人国の事で詳しい話を聞いているか?」
今ウロボロスの得ている情報は、ノアズアーク隊から入ってくるモノと領主でありメーレ王妃の息子であるフィフスからのモノだ。
そして今現在、そのフィフスはかなり憔悴していた。
何故なら、母親であるメーレ王妃の行方が分からなくなっているからだ。
ギギ達から譲り受けたポーションをフィフスに渡したときは思わず涙を溢して喜んでいた。
鑑定をして間違いなくノア殿の錬金術で錬成されたモノと確認が取れて、一刻も早く届けたいと転移の魔導具で城へと転移し、結果オーライとなった後・・・・・・。
暫くしてフィフスに、メーレ王妃が攫われたと極秘に連絡が入ったのだ。
フィフスは愕然として、盟友であるウロボロスに真っ先に相談してきた。
ウロボロスはノアズアーク隊から情報を探り、事の次第を知ることになる。
「獣人国がノア殿を招喚しようと使者を送り、結果、ノア殿以下関係者を怒らせてしまったそうです」
「は?」
「その後、ノア殿が獣人国に殴り込みに行ってメーレ王妃を攫って消えてしまったんです」
「・・・・・・どこに?」
「それが分かりません」
「・・・・・・」
どうやら恥知らずにも獅子王はノア殿を獣人国に囲い込もうとしたらしい。
しかし送った使者が連れて行った次男がやらかしたせいで逆に怒らせて御破算となり・・・・・・。
その後、メーレ王妃の病状を知ったノア殿が問答無用で王宮に侵入し王妃を攫っていったと。
「・・・・・・殴り込みは大袈裟・・・・・・でも無いのか? 有り得るな、ノア殿やアーク殿ならば」
「陛下は、一体何を考えておられたのか・・・・・・宰相達も、何故お止めしなかったのか・・・・・・」
フィフスは真っ青な顔で頭を抱えて項垂れている。
ウロボロスはかける言葉が見つからなかった。
---ただ・・・・・・。
「攫っていったのがノア殿ならば、王妃殿下はきっと大丈夫だ」
「・・・・・・だと思いたい」
ウロボロスの言葉に力無く呟くフィフスだった。
そんな事になって一週間は過ぎただろうか。
ソコに来てギギ達からの通信に思わず期待してしまうのは仕方がないだろう。
「知っているかもしれないが、メーレ王妃は今・・・・・・」
『あー、うん。いないんだろう? 知ってる』
『ノアが攫っちゃったんだって? ホントにもう、ノアらしいっていうか・・・・・・』
通信魔導具から何とも言えない声音で話すギギルル兄弟にもしやと思っていると。
『今日連絡したのはその事だ。アークから言伝だよ。メーレ王妃は古の森で静養中だと』
『命に別状は無いらしい。ただノアが一人で介護してて大変だから人手が欲しいって来てね。その時に言われた』
『ほら、ソコの領主様が王妃の息子って言ってたじゃん? だからアークが気を利かせて教えてくれたんだ』
ギギとルルが代わる代わるそう教えてくれた。
ソレを聞いてホッと胸を撫で下ろすウロボロス。
「---恩に着る。必ず伝えよう。ありがとう、二人とも」
『良いって。その領主様、フィフス王子だっけ? 獣人国の王様がどうにもポンコツらしくて大変だな』
『ウロボロスがちゃんと支えてあげなよ。年の功で!』
「---煩い。さほどお前らと変わらんだろうが!」
『『はっはっは! じゃあまたな』』
「ああ」
最後は相変わらずの口調で笑っていったギギルル兄弟に感謝して、フィフスに連絡を入れた。
「---ああ、俺だ、ウルスだ。メーレ王妃の件だが・・・・・・」
早速伝えると、魔導具越しに堪えたような声で返事があった。
『---ありがとう、ウルス』
---良かった。
鼻声でそう呟くフィフスにほっこりするウロボロス。
この気持ちがなんなのか、今は分からなくても良い・・・・・・そう思いながら。
※遅くなりました。
ちょっと色々作業が入って手が空かなくなるかもしれません。
投稿頻度が落ちるかもですが、お待ち下さいませ。
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