440 / 538
433 ヴァンは高みの見物 2(side獣人国王都冒険者ギルド&ノアズアーク隊)
しおりを挟む「ところでヴァン殿は良く毒の混入に気付きましたね? もしや高い鑑定スキル持ちですか?」
シィオンがそういえば、とヴァンに尋ねると、ヴァンはドヤ顔で言った。
『臭いで分かったわ! もちろん鑑定スキルも上級だがな。最近はノアに薬草の教えを受けているので詳しいぞ』
「臭いですか。・・・・・・さすがフェンリル様」
「獣人でもこんなの気付きませんけど」
『だろう? だから見逃されてたのだろうよ。だが我の嗅覚の前には無駄無駄ァ!! ふははははっ!!』
声高に言っていることは不遜だが見た目が仔狼のため、頑張って背伸びして大人になろうとしている子供にしか見えず、二人は微笑ましい顔でヴァンを見つめていたのだった。
---さて、漸くギルマスの執務室から出て来たヴァンとギルマス達だが、さすがに大っぴらに調査をするわけにいかないので、ココの『ノアズアーク隊』の中で幾つかグループを作り、それぞれ得意分野でこっそり調査することになった。
「---というわけでな、秘密裏に調べて貰いたいのだ。出来るな、お前達」
「そんなことに・・・。もちろんです!」
「お任せ下さい」
「グループ分けは私達にお任せを。皆、それぞれに人脈がありますので、迅速に情報を得られます」
「うむ。頼むぞ」
「じゃあ僕は仕事柄、薬師ギルドの方達と親しいのでそちらをあたってみます」
モブC・・・山猫獣人のチャリオンがハイハイと手を上げる。
続けておずおずと手を上げたのはモブA猫獣人のアガットだった。
「あの、俺・・・実は以前錬金術師ギルドのメンバーだった人が祖父の知人で、エイダンの街で素材屋を営んでるんです。だいぶ昔に引退したって聞いているんですけど、ナニか情報が得られるかもです。ソレと祖父もエイダンの街で薬草屋を営んでいるから薬草にも詳しいと思います」
「えっ?! ソレは凄いですね。アガット先輩!!」
「初耳だぁ」
「別に、こんなことでも無けりゃあ、言うほどの情報でもないしな」
思わず尊敬の眼差しのチャリオンと呑気に笑う小熊獣人のモブB・・・ベアトを見ながら苦笑するアガット。
ギルマス達は良いツテを得られてほくほく顔だ。
「じゃあ各々、こっそりバレないように頼むぞ。くれぐれも危険のないように。得られた情報は何でも良いからすぐさま知らせること。曖昧なことでも良いからな」
「「「「了解です」」」」
---こうして意外や意外、かなりの情報網で調査が進むことになる。
果たして、鬼が出るか蛇が出るか・・・。
そして翌日、竜王国と獣人国の対談中に竜王国側に精霊王が現れて大騒ぎになり、その精霊王の発言からフェンリルが獣人国にいることが分かって獣人国側も大騒ぎになるのであった。
「---申し訳ないのですが、収拾がつかないので、今日は一旦、お開きということで・・・」
『・・・・・・こちらも賛同致します。次回は何時・・・?』
「調整しなくてはいけない用事がありますので、数日後・・・あとでご連絡差し上げます。よろしいですか?」
『ええ、構いません。では早くても数日後ということで』
「ではまた」
『失礼致します』
そう言って通信を切った後に、クリカラ達は一気に気を抜いた。
「---あー、ちょっと予想外すぎる」
「まあ、良い方に転がりそうではありますがね」
「イヤまさか精霊王殿の他にヴァン殿も、とは・・・」
「---ルドヴィカ、何時まで笑ってるつもりだ?」
「---ひーっ、スミマセンッ!!」
皆の呆れた視線を一身に受け止めながら床と仲良しになって大笑いのルドヴィカ。
それを見て他人事のようにのほほんと笑う精霊王だったが・・・。
「さて、じゃあ精霊王殿の持っている情報を洗いざらい出して貰いましょうかね?」
《ぅひっ!! 出す。出すからそんな怖い目で見ないで---?!》
ウラノスにひと睨みされてめちゃくちゃビクビクする精霊王だった。
・・・威厳は何処へ行った。
※遅くなりました。
まだノアはお仕置き中w
でもそろそろノア達の出番あるかな。
187
お気に入りに追加
7,355
あなたにおすすめの小説
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~
白黒 キリン
ファンタジー
前世で重度の病人だった少年が、普人と変わらないくらい貧弱な身体に生まれた竜人族の少年ヤーウェルトとして転生する。ひたすらにマイペースに前世で諦めていたささやかな幸せを噛み締め、面倒くさい奴に絡まれたら鋼の精神力と図太い神経と植物の力を借りて圧倒し、面倒事に巻き込まれたら頼れる家族や仲間と植物の力を借りて撃破して、時に周囲を振り回しながら生きていく。
タイトルロゴは美風慶伍 様作で副題無し版です。
小説家になろうでも公開しています。
https://ncode.syosetu.com/n5715cb/
カクヨムでも公開してします。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887026500
●現状あれこれ
・2021/02/21 完結
・2020/12/16 累計1000000ポイント達成
・2020/12/15 300話達成
・2020/10/05 お気に入り700達成
・2020/09/02 累計ポイント900000達成
・2020/04/26 累計ポイント800000達成
・2019/11/16 累計ポイント700000達成
・2019/10/12 200話達成
・2019/08/25 お気に入り登録者数600達成
・2019/06/08 累計ポイント600000達成
・2019/04/20 累計ポイント550000達成
・2019/02/14 累計ポイント500000達成
・2019/02/04 ブックマーク500達成

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる