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433 ヴァンは高みの見物 2(side獣人国王都冒険者ギルド&ノアズアーク隊)
しおりを挟む「ところでヴァン殿は良く毒の混入に気付きましたね? もしや高い鑑定スキル持ちですか?」
シィオンがそういえば、とヴァンに尋ねると、ヴァンはドヤ顔で言った。
『臭いで分かったわ! もちろん鑑定スキルも上級だがな。最近はノアに薬草の教えを受けているので詳しいぞ』
「臭いですか。・・・・・・さすがフェンリル様」
「獣人でもこんなの気付きませんけど」
『だろう? だから見逃されてたのだろうよ。だが我の嗅覚の前には無駄無駄ァ!! ふははははっ!!』
声高に言っていることは不遜だが見た目が仔狼のため、頑張って背伸びして大人になろうとしている子供にしか見えず、二人は微笑ましい顔でヴァンを見つめていたのだった。
---さて、漸くギルマスの執務室から出て来たヴァンとギルマス達だが、さすがに大っぴらに調査をするわけにいかないので、ココの『ノアズアーク隊』の中で幾つかグループを作り、それぞれ得意分野でこっそり調査することになった。
「---というわけでな、秘密裏に調べて貰いたいのだ。出来るな、お前達」
「そんなことに・・・。もちろんです!」
「お任せ下さい」
「グループ分けは私達にお任せを。皆、それぞれに人脈がありますので、迅速に情報を得られます」
「うむ。頼むぞ」
「じゃあ僕は仕事柄、薬師ギルドの方達と親しいのでそちらをあたってみます」
モブC・・・山猫獣人のチャリオンがハイハイと手を上げる。
続けておずおずと手を上げたのはモブA猫獣人のアガットだった。
「あの、俺・・・実は以前錬金術師ギルドのメンバーだった人が祖父の知人で、エイダンの街で素材屋を営んでるんです。だいぶ昔に引退したって聞いているんですけど、ナニか情報が得られるかもです。ソレと祖父もエイダンの街で薬草屋を営んでいるから薬草にも詳しいと思います」
「えっ?! ソレは凄いですね。アガット先輩!!」
「初耳だぁ」
「別に、こんなことでも無けりゃあ、言うほどの情報でもないしな」
思わず尊敬の眼差しのチャリオンと呑気に笑う小熊獣人のモブB・・・ベアトを見ながら苦笑するアガット。
ギルマス達は良いツテを得られてほくほく顔だ。
「じゃあ各々、こっそりバレないように頼むぞ。くれぐれも危険のないように。得られた情報は何でも良いからすぐさま知らせること。曖昧なことでも良いからな」
「「「「了解です」」」」
---こうして意外や意外、かなりの情報網で調査が進むことになる。
果たして、鬼が出るか蛇が出るか・・・。
そして翌日、竜王国と獣人国の対談中に竜王国側に精霊王が現れて大騒ぎになり、その精霊王の発言からフェンリルが獣人国にいることが分かって獣人国側も大騒ぎになるのであった。
「---申し訳ないのですが、収拾がつかないので、今日は一旦、お開きということで・・・」
『・・・・・・こちらも賛同致します。次回は何時・・・?』
「調整しなくてはいけない用事がありますので、数日後・・・あとでご連絡差し上げます。よろしいですか?」
『ええ、構いません。では早くても数日後ということで』
「ではまた」
『失礼致します』
そう言って通信を切った後に、クリカラ達は一気に気を抜いた。
「---あー、ちょっと予想外すぎる」
「まあ、良い方に転がりそうではありますがね」
「イヤまさか精霊王殿の他にヴァン殿も、とは・・・」
「---ルドヴィカ、何時まで笑ってるつもりだ?」
「---ひーっ、スミマセンッ!!」
皆の呆れた視線を一身に受け止めながら床と仲良しになって大笑いのルドヴィカ。
それを見て他人事のようにのほほんと笑う精霊王だったが・・・。
「さて、じゃあ精霊王殿の持っている情報を洗いざらい出して貰いましょうかね?」
《ぅひっ!! 出す。出すからそんな怖い目で見ないで---?!》
ウラノスにひと睨みされてめちゃくちゃビクビクする精霊王だった。
・・・威厳は何処へ行った。
※遅くなりました。
まだノアはお仕置き中w
でもそろそろノア達の出番あるかな。
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