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431 ヴァンの口直しと『ノアズアーク隊』 2
しおりを挟む『---今代の獅子王はやはりポンコツなのか』
ギルド職員達の会話に聞き耳を立てていたヴァンだったが、精霊王からの竜王国での使者の情報といいさっきの王城の事といい、更に冒険者ギルドでの顛末を聞くに、最終的にそんな印象を持った。
『番いに必死になる気持ちも分からないでも無いが、一国の主の自覚くらいしっかり持たんと・・・苦労するのは何時でも下のモノよ』
やれやれと独りごちて溜息を吐くヴァンだったが、ハタから見れば満腹で満足した故の溜息に見えていた。
「あのう、そろそろギルマスの執務室においで願えますか?」
サブギルマスがそっと声をかけてきてハッとしたヴァンは、椅子から飛び降り・・・る前にサブギルマスに抱き上げられて執務室に消えた。
「---良いなあ、サブギルマス」
「モッコモコだったねぇ。ぬいぐるみみたい」
「羨ましい。俺もあんなの欲しい」
「・・・じゃあ子作りすれば?」
モブCの子作り発言に、俺も欲しいと言ったモブAがニヤリと笑う。
「じゃあお前、相手してくれるか?」
「・・・・・・は? ばばばば馬鹿言ってないでよ、先輩!! そそそまままさか?!」
「冗談に決まってんだろ、アホ」
「・・・・・・ですよねー。あー、焦った・・・」
そう言われてあからさまにホッとするモブCに若干イラッとしたモブAだった。
「・・・・・・若いねえ・・・」
自分もさほど変わらないくせに年寄り臭いモブBののほほんとした言葉は二人には聞こえなかった。
そして執務室に移動した仔狼姿のヴァンは、相変わらずサブギルマスの膝の上でサブギルマスに頭から尻尾まで撫で上げられて気持ち良さげだった。
さすがに番いであるギルマスも苦笑していたが、相手がフェンリルだけに苦笑しただけだった。
元々、おおらかな性質なのだろう。
気は優しくて力持ち、的な。
そのシィオンから話を振られた。
気持ち良さげに目を細めながらシィオンを見るヴァン。
「・・・・・・それで、今回こちらに単独でいらしたのは我が国の王妃様の件ですかな?」
『・・・うむ。まあ、其方らはアレだろう? ノアとアークを見守り隊とかいう団体に加入しておるのだろう?』
「まあ、そうですね。今は正確には『ノアズアーク隊』という名称になりましたが、竜王国の騎士団や冒険者達も入隊しておりますので、かなりの情報が正確に入って来て正直助かります」
『今現在の情報を何処まで持っておるのだ?』
「---竜王国に遣わした使者殿の御子息が、色々とやらかしていると言うところですかね」
『そうか・・・。精霊王に聞いたが、その問題児がどうやら今日ヴァルハラ大公家に喧嘩を売ったようだな。これは国際問題に発展するだろう・・・。詳しい内容は我も知らんが、更に騒動を起こしていたら・・・』
---獣人国は更地になるやもしれん。
ヴァンは至極真面目な顔でそう呟いた。
ノアに何かあれば竜王陛下を始め、ヴァルハラ大公家や魔法騎士団も黙ってはいまい。
ヴァンは知らなかったが、実はこの時、まさに竜王国の王城内でノアが件の猫獣人に暴力を受けて血を流していたのだが・・・。
「---ぞっとします。実際、十分に有り得ることなので・・・」
「というか、やはり精霊王様も関わっていらっしゃるのですね・・・」
『ノアの養父母だからの。今回はアレに聞いてキナ臭いなと調査に来たのよ』
「---それで、実際どうだったのです?」
アルディーヤがヴァンを撫でながら静かに聞いてきた。
『---もちろん。ドンピシャだ』
ニヤリと笑うヴァンが仔狼でありながら黒いオーラを滲ませた。
『メーレ王妃は確実に毒を盛られている』
「「ーっ!!」」
ギルマス達はザッと顔を青ざめさせた。
しかし何かしらの情報はすでに掴んでいたのかもしれない。
二人ともすぐに冷静になった。
『---お前らにも少々手伝って貰うぞ。期待しておる。ノアズアーク隊の情報網を』
「お任せ下さい」
「必ずや満足のいく情報をフェンリル様に」
そう言って3人・・・二人と一頭はふふふと黒い笑みで笑うのだった。
※遅くなりました。
インフルエンザ流行ってます。ウチのショタくんも現在かかってます。
だが煩いくらい元気。良いんですけどね。自分の方がちょっと辛い。
咳・・・止まらん。
皆様も御自愛下さい。
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