迷い子の月下美人

エウラ

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448 交渉 2

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前回の獣人国と竜王国との対談は精霊王や幻獣フェンリルの騒動で一時中断となり、後日改めて竜王国から連絡をするということになった。

しかしその後、アークのお仕置きから解放されたノアが諸々の事情でブチ切れてメーレ王妃を攫ってしまい・・・・・・。

後始末苦情をウラノスと竜王陛下に丸投げしたため、結局、数日という話が十日ほど後になってしまった。

そして漸くの対談二回目。

竜王国側は前回と同じ顔ぶれである。
---そう、

何故か今回もしれっと近衛騎士の制服を来たルドヴィカが護衛騎士に紛れていた。

ソレを見たクリカラ達は乾いた笑いを溢すしか無かった。

「---お前、その制服、戻してなかったのか?」

ウラノスがそう聞けば、ニカッと笑ったルドヴィカはこう応えた。

「これは自腹で買い取りました。代わりの制服は同サイズの新品を発注して補充しておきましたのでご心配なく!」
「・・・・・・ああそう」

・・・・・・きちんとしているだけに下手にツッコめない。
そもそも団長に選ばれるほどには優秀なのだ。
なのに何故、その才能を愉快な方に全振りするかなあ・・・・・・。

ウラノスやクリカラ達は心の中で溜息を吐いていた。

さて、そういうわけで竜王国側のメンツはいつも通りだったが、今回、獣人国側は違った。

宰相オウランと護衛騎士は前回と同じだが、レナード王の代わりに王太子が出席していた。

王太子リオラル。
先に儚くなった前正妃の第一子で王位継承権第一位。
彼の母親である前正妃は彼の立太子を見届けて亡くなったと聞いている。
メーレが側妃時代に、我が子同然に教育し愛情を注いで育てた優秀な王子だと。

そんな王太子が前回の対談にいなかった理由は・・・・・・。

『お初にお目にかかります、クリカラ竜王陛下。獣人国王レナードが第一子、王太子リオラルと申します。前回は我が国の王が大変な御無礼を働き、誠に申し訳ございませんでした』

そう言って頭を下げるリオラル。
ついで聞こえた言葉が・・・・・・。

『先日は王に代わり魔人国へと赴いておりました故、私が不在中の王の暴走を止めることが出来ず、誠に申し訳ございませんでした』
「---ああ、魔王陛下の御懐妊の件ですかな? 我が国でも御祝いの品を届けさせましたが、獣人国は魔人国と近かったですな。それで直接行かれたのですか?」

リュウギが頷きながら聞き返す。
リオラルも頷いて応えた。

『はい。王妃の病の事があり王が出向けなかったモノですから私が代理で。それで前回はおりませんでした。ですが今回は私がしっかり務めさせて頂きます』

そう言うリオラルは力強い瞳でクリカラ達を見つめた。
彼ならば獅子王よりもまともに話せそうだと、竜王国側はホッとするのだった。

「ところで、その獅子王は今どうしておるのだ?」

気になりつつも誰もツッコまなかった事を、空気を読まずにクリカラがズバリ聞いてしまった。

「---っ陛下!」

リュウギがちょっと焦って制止するが間に合わず。
ウラノスは事情を知っていたため苦笑している。

『メーレ王妃ので動揺し暴走した結果、精霊王の蔓の檻の中で大人しくしております。放って置いて構いませんので。私が今後全てを取り仕切ります』

にーっこり笑いながらそう言うリオラルは、獅子王レナードと違って腹黒さを持った獅子だった。
ノアが攫った事をと言う辺り、頭は悪くないようだ。

「それは頼もしいな」

クリカラもニヤリと笑うのだった。
ふふふ、はははと狐と狸の化かし合いのような黒い笑いをする二人を、この後すぐに宰相オウランと側近リュウギが呆れながら止めるのだったが・・・・・・。

「『いい加減先に進みたいのですが!』」
「『・・・・・・すまん』」

ソレを見て、似た者同士がいっぱいだと、ルドヴィカは笑いを噛み殺していたそうだ。






※遅くなりました。
漸く獣人国の王太子出た。出せた。
交渉1からだいぶ空いちゃった。皆様、ついて行けますか? 大丈夫ですか? すみません。





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