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412 精霊王は暗躍する
しおりを挟む《ソレで如何だったかの?》
レイン達の謁見の後、クリカラの私室でお茶を飲んでいるときに聞いた獣人国の話に違和感を覚えたエレフは、ノア達に内緒で古の森に還っていた。
そこでそこら中の精霊達に情報収集を頼んだのだ。
《精霊王様。こっそり探ったところ、獣人国の王妃は確かに病に伏せっておられました》
《ですが、流行病とかの類いでは無いようですね。寝込んでいるのは王妃だけのようです。王宮勤めの者や市井の者は病にかかっている形跡はありません。獅子王も他の側妃も、王子達も》
《どちらかと言うと何か良くないモノを盛られて具合が悪そうな感じでしたが・・・》
上位精霊が報告をあげてくれる。
《我等は精霊故、薬の類いには詳しくありません。薬草を知ってはいても、薬師のように様々に掛け合わせた結果どんな薬になるのか、見当もつかないので、何かを盛られていたとしてもサッパリです》
《・・・であろうな。我とてソッチは未知の領域。自分等に薬など効かないせいもあって、全く興味がないからの・・・。しかし、ノアの薬でも治らないということは、その何かを作った者の腕が良いのか、はたまた特殊な薬草でも使ったか・・・?》
---この古の森には、通常、竜人以外は不可侵の結界があるゆえ、只人はごく浅い場所までしか入れない。
しかし浅い場所といえど、そこは確かに古の森の一部。
冒険者や薬師達にとっては希少なモノも多いゆえに危険を冒してまでも度々足を踏み入れるらしい。
そして獣人国の王都に近いところにも広大な古の森はある。
---まさかな・・・。
《・・・さては、我の知らぬ間に古の森で何かあったかな?》
何時もなら異変があれば気付くモノだが・・・。
そう考えていると、上位精霊の一人がおずおずと声を発した。
《---恐れながら、精霊王様》
《何だ?》
《ここ最近、精霊王様は頻繁に彼方此方さまよい歩いていて、ココにいらっしゃらない時間が増えておりますゆえ、さすがにその時は私どもでも抜けがございます》
《---む、その時に何かあっても気付かれないと・・・?》
《・・・・・・そう、熟考致します・・・》
《・・・・・・そうか・・・・・・》
上位精霊の発言に思うところがありまくりの精霊王は眉を下げて瞳をうろうろと泳がせた。
《・・・・・・もしや、此度の件・・・・・・我も関係ある・・・・・・か?》
《・・・・・・断言は出来かねますが、一理あるかと・・・・・・》
そう言われれば、さすがにエレフも否定は出来ない。
実際、楽しくて森を空ける時間は多かった。
《・・・・・・・・・・・・ヨシ!! 今回は我もしっかりとノア達の役に立とうぞ!》
《おー!!》
もしかしたら、の可能性がゼロでは無いため、精霊王も何時もよりヤル気が出たようだ。
そもそもノア達が少なからず関わってきているので、元より無関心ではいられなかったのだが。
《・・・・・・しかし、もしも、もしもだが、古の森がガッツリ関わっていたら・・・・・・》
《何でしょう?》
《・・・・・・我、ノアに怒られる? アークに殺される? まさか絶縁とか出禁とか?!》
《・・・無いとは言い切れませんが・・・・・・まあ、お小言くらいはあるんじゃないですか?》
《い、いやじゃ---っ!! そんなのイヤに決まっておる!! お主らも今回は全面的に協力するのだ! 獣人国の精霊達にもしっかりと申し渡しておけ!!》
《畏まりました》
普段の威厳をかなぐり捨てたただの子離れできないバカ親がココにいた。
今までの永い時間の中で、まさか畏怖し敬愛する精霊王がこうも変わるなど微塵も思わなかった精霊達は、これはこれで親しみやすくて良いと密かにノア達に感謝するのだった。
《・・・・・・でも気紛れにふらっといなくなって森を空けまくるのはもう少し控えて欲しいのですが・・・》
問題が起きたときの対処が大変なので。
おそらく、今回の件は少なからず巻き込まれたと思っている精霊達だった。
※ぼちぼち本編始動します。中途半端な時間でスミマセン。
詰まったら遅れたり止まったりします。ご了承下さいませ。
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