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388 竜王国冒険者ギルド 2
しおりを挟む「---ッコホン、失礼。ではレイン様、このギルドタグに魔力を通して頂けますか?」
仕切り直しとばかりにわざとらしい咳払いをしてギルマスがギルドタグをレインに差し出すと、深く被ったフードで良く見えなかったのかレインがおもむろにフードを下ろした。
カロンはココで初めてアルジェントの番いであるレインの素顔を見た。
「---っ、鶴獣人でしたか。滅多にお目にかかれない一族と聞き及んでおりましたが・・・」
「え、そうなの?」
カロンの言葉に反応したのはノアだった。
レインはキョトンとしていて、アークとアルジェントは知っていたのか、特に変化は無い。
「鳥獣人は元々地上に住まない種族だからな。ほとんどが数ある浮島の何処かに隠れ住んでいるそうだ。まあ、魔人国のグラウクスみたいな人もいるけどな。鳥獣人の中でも特にレインの種族はもっとも高く翔べる事で知られるが、実際に見た者は少ないだろうな」
「へえ・・・本当に希少なんだね」
ノアの疑問にアークが応える。
ソレを聞いてカロンが再び驚いた。
「レイン様はデモイセルなのですか?!」
「デモイセル?」
「もっとも高く翔べる鶴獣人の一族の名称ですよ。個体が鶴獣人の中でも一番小さく、鷲獣人が天敵と言われています。長寿の竜人でさえお目にかかるのは稀ですよ!」
カロンがノアに熱弁を振るう。
珍しい。
「ずいぶんと詳しいのだな、ギルマス」
「そりゃあ、こう見えて元々私は可愛らしいモノ好きでして。その中には鶴獣人の一番小柄なデモイセルも大好きで---いやいや、ショタコンではないですよ! 単に見て愛でるだけで肉欲的なことは---」
「黙れ、レインの教育によろしくない!」
アルジェントがイラッとしてレインの耳を大きな掌で塞いで聞かせまいとしている。
「---はいはい、皆、落ち着いて。そもそもレインのギルドタグを作るのが目的なんだから、それ以外はどうでもいい」
収拾がつかなくなりそうで、アークが口を挟んで止めた。
アルジェントもカロンもハッとして口を噤んだ。
「それで、レイン。ギルドタグに名前や種族、年齢などが出たと思うんだが、番いである俺には見せても良いが、他の人には名前とランクしか見せてはいけないよ? 表記の変え方は教えるからね」
「ええと、義父様達とかアークやノアにも?」
「ああ、家族には良いよ。でも事前に俺に確認をして欲しいな」
「うん、分かった」
アルジェントの言うことに素直に応えるレイン。
それを見ていたカロンがノア達にコソッと声をかける。
「---素直でちっとも擦れて無いところがもの凄く心配なんだが・・・」
「だろう? 騙されそうだよな?」
「めちゃくちゃ心配だよね」
「なんて言うか、もう、囲って護ってやりたくなる・・・」
そう言うカロンも過保護な保護者になりつつある。
冒険者登録はしたが、間違っても一人で外には出せないな、と内心で思うもアルジェントや大公家の皆が一人にする事は無いかと独りごちる。
そんなことを思っているうちに、どうやらアルジェントがレインのギルドタグを確認し終えたらしい・・・が・・・。
「---アル兄?」
「アル兄様? 大丈夫?」
どうも様子がおかしい。
口元を抑えてぷるぷる震えている。
膝の上のレインも困惑顔だった。
「---った」
「ハイ?」
振り絞るように出した声が掠れてよく聞こえなかったアークが聞き直すと、アルジェントは顔を赤らめて言った。
「レインの年齢・・・18歳だった」
「「「えっ?!」」」
「・・・そうらしいです」
衝撃の年齢にアーク達が唖然として、レインは照れくさそうに呟いた。
「---この前、たぶん13か14って言ってなかった?!」
「うん。たぶんそのくらいじゃ無いかなーって思ってたんだけど・・・身体も小さいし・・・でも元々小さい種族だって、さっき聞いたから、まあ、こんなものかなと・・・」
レインがもじもじしながらそう言う。
それを聞いてノアも納得した。
「---あー、そっか・・・。え、じゃあこれ以上大きくならないの?」
「・・・・・・大人になってるから、たぶん?」
そう言ってコテンと首を傾げる仕草はどう見てもショタ・・・。
これぞまさしく・・・。
「---合法ショタ・・・」
「ヤメロ!! 言うな!!」
レインの言葉にアルジェントが変態チックな発言をして、思わずアークのツッコミが入った。
---皆が同じ事を思っていたことは内緒にしておこう。
かくして、レインは立派な成人だと判明したのであった。
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