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377 秘密の隠れ家 1
しおりを挟むレインを抱っこしたアルジェント、後ろにウラノスとレーゲンが付いて、両脇にアークとノアが並んで隊列を組む。
そのまま上空へひたすら上昇する。
下を見るとあっと言う間に大公家が小さくなって見えなくなった。
「---凄い、早い!!」
「そうか?」
「うん、僕は高く翔べるけど、こんなにスピード出せないもの。アルは僕を抱えてるのに全然平気なんだね! 凄い凄い!!」
「・・・そうか・・・照れるな」
レインが興奮してアルジェントを褒めまくるので、アルジェントは耳を赤くしていた。
ソレを周りは微笑ましそうに見守る。
レインが言うには、何でもレインの種族である鶴の鳥獣人の中でも何種類かあって、ここまで高度の空を翔ぶ事が出来るのはレインの家系だけらしい。
「僕はあんまり覚えていないけど、鶴一族の偉いお爺さんが、僕の家系は数が少ないから問題が・・・とか言ってた気がする。どういう意味かは分かんないけど・・・」
「・・・うーん。血が途絶えるとマズいことがあるのかもしれないな」
「僕、小さかったし、あの時も家を追い出されていて、言い争うような声をたまたま聞いただけだったから、詳しくは分かんない」
「・・・そうか。いや、辛いことは言わなくて良いんだぞ」
「うん。今はアル達がいるから大丈夫だよ。でもありがとう」
そう言うレインにほっこりしつつも、アルジェントを始め他の皆はレインの話に違和感を感じていた。
---レインの両親は、もしかしたら一族の意向での政略結婚だったのでは・・・?
運命の番いに出逢える事は珍しく、一般的には普通に付き合って恋愛結婚をする事の方が多い。
しかし番いが見つからない場合、貴族階級は家同士の政略結婚も多い。
竜人族は長命種の上番い至上主義のためその辺りは強制されないが。
だが、一般人でも後継のために同じ血筋の者同士で婚姻する事は結構ある。
レインの家系が途絶えるとマズい理由があったのならば、身内同士での近親婚も多かったのでは無いのだろうか。
片方、もしくはお互いに他に好いた相手がいたのに望まぬ相手との婚姻を強要されてレインが生まれたとしたら・・・。
---それでも自分達の子なのだから、せめてもう少し、情はあっても良かっただろうに・・・。
聞けば名前も無かったらしい。
ノアが命名してくれて『レイン』となったが・・・アルジェントは自分で付けたかったとこっそり嘆いた。
今となってはそんなクソ親に貰った名前じゃ無くてよかったとも思うが・・・。
---その辺りも後で調査だな。
皆はアイコンタクトで頷いた。
その後は他愛もない雑談をしながら10分ほどだろうか、例の浮島の姿が顕わになってきた。
大きさは、竜王国の王城の敷地三倍くらいだろうか。
思ったよりも小さかった。
「あ、速度落として! 魔法の壁みたいなのがあるの。ぶつかるかもしれない!」
「ああ、分かった。そういうわけで、ゆっくり翔んでくれるか?」
「「「「了解」」」」
速度を落としてノアがウラノスとレーゲンに声をかける。
「ウラノス義父様、レーゲン、浮島、見える?」
その言葉にウラノス達はやはり困った顔で言った。
「---いや、見えないよ?」
「私も見えませんね。・・・そこにあるんですか?」
レーゲンが目を凝らすがやはり見えていないもよう。
「王城の三倍くらいある大きさだよ。・・・本当に見えないんだ?」
「・・・うーん。何か魔力は感じるんだけどね。・・・・・・どうも、見知った感じのなんだけど・・・・・・」
「---私も馴染みがあるんですが・・・」
戸惑いつつそう言う二人にノアもアークも苦笑した。
アルジェントもどうやら気付いた様子。
同じく苦笑いをしていた。
「---あー、うん。そうか。うん、分かるよね」
「だよなあ・・・」
「・・・・・・なあに?」
「・・・うん、コレから分かるからちょっと待ってな」
レインがウラノス達の話を聞いてキョトンとしている。
アルジェントがレインの頭を撫でてそう言った。
「・・・一旦、ここで止まろう。レインは何時もどうやってここに入ってる?」
アークがレインに聞いてみた。
レインはなんてことないように応える。
「普通に入れるから、分かんない?」
「・・・・・・だよなあ・・・。仕方がない。ノア?」
「了解」
「?」
レインが再びキョトンとして疑問符を浮かべていると、おもむろにノアが叫んだ。
「精霊王---!!」
《はいはい---!! 喚ばれましたよ! エレフだよ---!! ノア!! 昨日振り---!!》
黄金色の魔力を振り撒き登場したのは、先日大公家に転移をお願いしたばかりの精霊王だった---。
※遅くなりました。ここの所私事で忙しなく、時間が取れません。
今週いっぱいは更新が乱れると思います。スミマセン。
気長にお待ちいただけると嬉しいです。
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