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341 ギルファーム改造計画 4
しおりを挟む「・・・・・・・・・・・・」
ギルファームの食堂は今、夕御飯の準備で大忙し。
気付くと夕方になっていて、慌ててゾアも食堂に料理の準備をしに移動した。
食堂では手の空いた従業員達が忙しなく料理をテーブルに並べていて、そこにはノアやアーク、ギギルル兄弟もすでにいて、やはり手伝いをしていたのだが・・・。
「ああ、ちょうど良いところに来た。ゾア、コレ頼む」
アークが何か胸の辺りに布で抱えているのが見えて、何だと不思議に思っているとそう声をかけられた。
「? 何だ?」
「大人しいから大丈夫だ」
「・・・・・・は?」
アークは肩から下げた布をひょいと外すとゾアにかけ直した。
思わず布の膨らみを覗き込んで確認したゾアは、ビクリと固まった。
「はいはい、親父そこ邪魔」
「ここに座っててねー!」
そのままずりずりと押されるように何時もの席に座ると、ギギ達はニカッと笑いながら手伝いに戻っていった。
「・・・・・・・・・・・・は?」
困惑気味に覗いた布の中には、可愛らしい小っさい猫獣人っぽい子達がひいふうみい・・・7人。
合わせて14のつぶらな瞳がゾアを見つめていたのだった。
「・・・・・・カワイイ・・・」
ゾアはソレしか言えなかった。
---遡ること30分ほど前。
夕飯時になって、食堂で従業員も纏めて食事だと声がかかり、アークはちまちまと動いていたゴーレム達を呼び寄せて、何故かインベントリに入っていた抱っこ布を引っ張り出すとその中に入れて肩から下げた。
暫くもぞもぞしていたが、据わりの良い場所をめいめいに見つけたのか、その内動かなくなったので、テントの中の作業部屋にノアを呼びに向かった。
「ノアー? ノアママー? 晩御飯だぞー!」
そう声をかけたら、何時もなら集中していて反応が遅いのだが、バンッと扉が開いてノアがアークのスリングを凝視した。
「・・・・・・やっぱり使ってくれてる・・・」
「・・・ノア?」
「あああああ・・・、その中に、あの子達が・・・7人・・・・・・にゃああああぁ---っ!!」
アークの胸元でスリングの中からひょこひょこ顔を出したゴーレム達が、『ママ?』なんて呟いたものだから・・・・・・。
案の定、ノアがまた壊れた。
---二度あることは三度ある、ってヤツかな?
うん、何でインベントリにあったのかよく分かったぜ。
うんうん、とアークが一人で納得しているとゴーレム達が『パパ?』なんて口に出すから、満更でもないアークと心臓を撃ち抜かれたノアがそれぞれ思い思いのリアクションを取り、知らない人が見たら怪訝な顔をするくらいには挙動不審になっていた。
何とも言えない空気を纏って食堂に赴き、手伝いを始めたのが先ほどで、その後少しして慌ててやって来たゾアがアークからこの子達を預けられて困惑しているのが、今。
じーっと見つめ合っていたが、ゴーレム達が不意に動き出してぽろぽろと抱っこ布から出て来て、何故かゾアをよじ登り始めた。
「?! ?! 何だ?」
小さくて潰しそうだと固まったままのゾアをよじ登る、小っさい猫獣人っぽいゴーレム達。
岩のように固まるゾア。
その内、ゾアの腕や肩に6人が登ってしがみつき、ルージュが頭のてっぺんに登っていた。
その様子を料理を運びながら微笑ましそうに見つめているゾア以外の従業員達。
それに気付かないゾアは、何時もの強面はどこへやら、だらけた締まりの無い顔をしていたのだった。
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