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334 冒険者ギルド経由ギギルル兄弟のお宅訪問 2
しおりを挟む冒険者ギルドをあとにしたアーク達は、善は急げとばかりに宿屋に向かっていた。
「そういやあの騒動で『箱庭の迷宮』が人気らしくてさあ、宿も冒険者で結構埋まっちゃうらしいよ」
「え、じゃあ泊まれなかったらどうしよう」
ルルの言葉にノアが心配そうな顔になった。
「そん時はウチに来いよ。どうせ部屋も余ってるし、何ならテント出せば良いし」
「うーん、ダメだったらそうしようか?」
「そうだな」
「ウチは何時でも大歓迎! あ。料理は苦手だけど」
「ソレは俺が担当するから問題ないよ」
ギギの提案にアークと頷くノア。
泊まらせて貰えるならそれくらい御礼でするよ、というノアに喜ぶギギ。
そして呆れるルル。
「よっしゃ! ソレなら宿が埋まってても良いな! 寧ろ埋まっててくれ!」
「お兄・・・ソレ、フラグって言うんだってよ?」
---そうしてやって来た『火の鳥』だったが、ルルの言うとおりギギの言葉はフラグだったようで・・・。
「---ほんっとスイマセン! もう毎日部屋が埋まっちゃってて・・・!」
「せっかく来て頂いたのに申し訳ありません!」
宿主達に謝られたけど、いやいや、謝る必要は無いし、急に来たんだから仕方ないよね。
「こっちこそ急だったからな。大丈夫だ、ギギ達の家に泊まるから。ありがとうな」
「繁盛しててよかったね。気を使わせちゃってごめんなさい。またね」
「「おう、邪魔したな」」
「またのご利用をお待ちしております!」
宿をあとにしたアーク達はギギ達の家に向かった。
どうせ他の宿も埋まっているだろうし、ノアも探す気は無かったからだ。
「やっぱフラグだったか」
「いやまあ、この混み具合を見るに、フラグ立てなくても無理だったよね」
「ああ、こんなに賑わうとは思わなかったな」
「そして気のせいか、めちゃくちゃ見られてる気がする」
ギギルル兄弟がそんなことを話しながら進む後ろをアークとノアとヴァンが続いていく。
ヴァンは思ったよりも人が多いので仔狼サイズでアークのローブのフードに落ち着いている。
ノアは大勢の視線を感じて、アークの左腕にしがみつき、居心地悪そうにちょっとぴるぴるしていた。
「・・・ノア、大丈夫か?」
「・・・・・・ん。竜王国で、ちょっとは慣れた・・・」
アークが心配そうに聞くと、ノアはちょっとぴるぴる震えながらそう言った。
確かにだいぶ静かなぴるぴるだった。
いや静かなぴるぴるって何だよって言われそうだな。
アレだ、ガクガク震えていないという意味だ。
(誰に言ってるんだろうな)
「悪いな、もう少しで着くからさ」
「ほら、あそこ」
そう言って着いた先は、街の中心から南の端っこ。
小高い丘の上にぽつんと一軒家。
その周りにはこの国特有の南国の果物や野菜が植わっていた。
「---ようこそ、我が家へ!」
「美味しい果実と野菜の農場、ギルファーム」
「「美味いモノ食わせてやるぜ!」」
「ほああ・・・・・・凄ーい・・・!」
「ああ、見るからに美味そうだ」
自慢げに、誇らしげに出迎えの言葉を告げるギギルル兄弟に顔が自然と綻ぶノアとアーク。
「でも、食わせるじゃなくて料理して食わせての間違いだろ?」
「「バレたかー!!」」
『どっちでも良いから食わせろ!』
「さすが食いしん坊のイッヌ!」
柵で囲った入り口付近で大騒ぎをしていたら、農場の従業員らしき人が気付いてやって来た。
「---坊っちゃん?! 何時帰ってきたんです?!」
「---っぶ、坊っちゃんって・・・」
「坊っちゃん・・・」
『ブハハッ・・・坊っちゃん!!』
「「煩え!!」」
開口一番、出て来た台詞にアークは吹き出し、ノアは呟き、ヴァンは大笑い。
ソレにギギルル兄弟が叫ぶ。
それを見て戸惑う従業員(仮)。
「---・・・・・・んん? 坊っちゃん・・・そちらの方達は・・・・・・?」
「ん? ああ、そうだ。親父いるか?」
「へっ? ああ、オーナーなら---」
そう言って指差した方向に、ギギルル兄弟にそっくりな赤髪緑目の中年の男がゆっくりと歩いて来た。
「親父---! 帰ったぞ---!」
「ただいま---!」
「煩え!! そんなに怒鳴んなくても聞こえてるわ!!」
ギギ達の大声に同じくらいの声で怒鳴り返す様子に、ノアとアークは同じ事を思った。
---間違いなく二人の父親だな。
※通信速度が諸事情によりめちゃくちゃ重くなった上に所用で時間が無く、なかなか執筆進みませんでした。
やっと更新出来る。
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