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310 閑話 護衛騎士ウルズとスクルドの場合
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※視点が主にこの二人って感じですかね。
ヴェルザンティが無事に番いを得た翌日、嫁取りのために滞在を延ばしていた陛下が、何を如何したのか『箱庭の迷宮』に潜ることになっていた。
「何で?」
「どうやら昨日の観光で冒険者ギルドに突撃しに行ったらしい。そこで駄々を捏ねた陛下にサブギルマスのラミエル殿が提案したんだと。レオニード様達を護衛にして迷宮観光しろって」
「・・・なるほど?」
スクルドの疑問にウルズがそう応えた。
説明の仕方が雑なのは仕方が無い。
陛下に振り回されるのは何時ものことなので。
「で、俺達も暇だろうから一緒に観光に加われって? 一応俺達、陛下の護衛なんだけど? 護衛が護衛されんの?! 笑える」
「迷宮に潜るには冒険者でなおかつCランク以上という話だから、こうでもしないと潜れない。陛下なんて冒険者登録するって騒いだらしいぞ」
「はぁっ?! マジで?! 有り得ないんだけど!!」
スクルドが腹を抱えて床に蹲った。
ダメだ、ツボったらしい。
「落ち着いたら支度しろよ。9時に迷宮の前に集合だと」
「ひーっ!! エ? 9時?! やべー、急がなきゃ!! こんな面白いこと、ヴェルは体験できなくて残念・・・いや、ラブラブだから別にいっか。後で土産話になるなぁ!」
わちゃわちゃとしながら近衛騎士のランス達と合流し、陛下達の元へ向かう道すがら、お忍びということで陛下や名前呼びは禁止だと教えられて・・・。
「・・・・・・クリリン?」
「そう、クリリン。間違えても本名を口にするなよ?」
「すでにバレててもクリリンだ」
「・・・・・・ソレもうバレてんじゃん」
「まあ、冒険者ギルドではバレてるな」
「意味ないのに?」
「・・・・・・リュウギ様やウラノス様達からの意趣返しだ」
「・・・・・・ああ、なるほど。あの方達も苦労してるもんなあ」
ランスに『クリリン』って聞いたときに似合わねえって思ったのはスクルドだけじゃ無かった。
そしてすでに竜王と身バレしている模様。
それでもわざわざ『クリリン』呼びなのはそういうことだ。
「ま、楽しそうだから良いんじゃない?」
「「「同感だ」」」
そう笑いながら迷宮に潜ったは良いが・・・・・・。
「---実際、目の前でこうも見せつけられると、やっぱり規格外なんだなあって思い知らされるわ・・・」
「---だな」
俺達は今、ノア様が張った結界の中にいる。
ノア様がいい笑顔で迷宮に八つ当たりをしているからだ。
最初は些細な一言だった。
前回、ダンジョンマスターになっていた夢魔のせいで一時的に操られ、アルカンシエル様と戦闘になったというノア様の様子を聞き、そこから『見たいならやったげるよ』という軽い感じで迷宮を破壊し始めたノア様。
アルカンシエル様さえも止めずにいたため、それはもう、まさに地獄の様相を呈していた。
「---さすが古竜の血を引くお方・・・」
「・・・言葉に出来ん」
「竜王国での私刑、まだまだ序の口だったんだな」
「てか、ルドヴィカ殿達はあんまり驚いて無いですよね?」
「俺達は要塞都市でのスタンピードで実際に見てるからな。アレでもまだ手加減してたんだな・・・ってくらい?」
「うへえ・・・」
そんなの話をしていたら、アルカンシエル様の昼休憩の声がかかり、何時ものぽやぽやなノア様に戻った。
その後、うっかり精霊王を召喚。
いや勝手に来たのだが、精霊王も交えて昼食会。
精霊王の食い意地にも呆れたが、実際美味いので仕方が無いと思う。
その後、やはり回復を見せない迷宮に約束通り精霊王がたくさん魔力を吸わせて、あっと言う間に元通りに再生したのを確認してから精霊王は還って行った。
いやほんと、自由だなあの王様。
そしてひっそりとお供えのようにお菓子を地面に置くノア様を皆が見つめた。
「八つ当たりしてゴメンね。良かったら食べて?」
そう言ったら、お菓子だけスウッと溶けて消えて、残った皿の上にこぶし大の真珠のような丸い魔石が現れた。
「・・・御礼かな?」
ノア様が鑑定して、ピタッと動きを止めた。
「・・・・・・ノア?」
アルカンシエル様が訝しげにソレを鑑定して、やはり固まった。
「おーい?」
「二人ともどうしたんだ?」
ギギルル兄弟が心配して声をかけると、ハッとして動き出す二人。
その時にはさっきの動揺は消えていた。
「何でもない」
「ああ、今回の詫びらしい」
ノアに続いてアークもそう言った。
「へええ・・・、やっぱり迷宮って意志でもあるのかな?」
「そうかもな」
「じゃあ、無用な殺生?破壊?しない方が良いかな?」
「イヤ別に元からそんなことやってねえし」
「そうなんだけどー気になるじゃん?」
「まあ、全ての迷宮がそうとは限らないし、気にしなくて良いんじゃないのか?」
「だよな!!」
ギギルル兄弟がそんなことを話しているのを聞きながら、ノアとアルカンシエルは内心冷や汗をかいていたが、誰にも気付かれることは無かった。
その後はごく普通に戦闘をしたり散策?をして時間になり、迷宮をあとにしてギルドに戻った。
依頼完了の手続きを終えて、こうして竜王陛下と護衛達の迷宮観光は無事に終わったのだった。
ヴェルザンティが無事に番いを得た翌日、嫁取りのために滞在を延ばしていた陛下が、何を如何したのか『箱庭の迷宮』に潜ることになっていた。
「何で?」
「どうやら昨日の観光で冒険者ギルドに突撃しに行ったらしい。そこで駄々を捏ねた陛下にサブギルマスのラミエル殿が提案したんだと。レオニード様達を護衛にして迷宮観光しろって」
「・・・なるほど?」
スクルドの疑問にウルズがそう応えた。
説明の仕方が雑なのは仕方が無い。
陛下に振り回されるのは何時ものことなので。
「で、俺達も暇だろうから一緒に観光に加われって? 一応俺達、陛下の護衛なんだけど? 護衛が護衛されんの?! 笑える」
「迷宮に潜るには冒険者でなおかつCランク以上という話だから、こうでもしないと潜れない。陛下なんて冒険者登録するって騒いだらしいぞ」
「はぁっ?! マジで?! 有り得ないんだけど!!」
スクルドが腹を抱えて床に蹲った。
ダメだ、ツボったらしい。
「落ち着いたら支度しろよ。9時に迷宮の前に集合だと」
「ひーっ!! エ? 9時?! やべー、急がなきゃ!! こんな面白いこと、ヴェルは体験できなくて残念・・・いや、ラブラブだから別にいっか。後で土産話になるなぁ!」
わちゃわちゃとしながら近衛騎士のランス達と合流し、陛下達の元へ向かう道すがら、お忍びということで陛下や名前呼びは禁止だと教えられて・・・。
「・・・・・・クリリン?」
「そう、クリリン。間違えても本名を口にするなよ?」
「すでにバレててもクリリンだ」
「・・・・・・ソレもうバレてんじゃん」
「まあ、冒険者ギルドではバレてるな」
「意味ないのに?」
「・・・・・・リュウギ様やウラノス様達からの意趣返しだ」
「・・・・・・ああ、なるほど。あの方達も苦労してるもんなあ」
ランスに『クリリン』って聞いたときに似合わねえって思ったのはスクルドだけじゃ無かった。
そしてすでに竜王と身バレしている模様。
それでもわざわざ『クリリン』呼びなのはそういうことだ。
「ま、楽しそうだから良いんじゃない?」
「「「同感だ」」」
そう笑いながら迷宮に潜ったは良いが・・・・・・。
「---実際、目の前でこうも見せつけられると、やっぱり規格外なんだなあって思い知らされるわ・・・」
「---だな」
俺達は今、ノア様が張った結界の中にいる。
ノア様がいい笑顔で迷宮に八つ当たりをしているからだ。
最初は些細な一言だった。
前回、ダンジョンマスターになっていた夢魔のせいで一時的に操られ、アルカンシエル様と戦闘になったというノア様の様子を聞き、そこから『見たいならやったげるよ』という軽い感じで迷宮を破壊し始めたノア様。
アルカンシエル様さえも止めずにいたため、それはもう、まさに地獄の様相を呈していた。
「---さすが古竜の血を引くお方・・・」
「・・・言葉に出来ん」
「竜王国での私刑、まだまだ序の口だったんだな」
「てか、ルドヴィカ殿達はあんまり驚いて無いですよね?」
「俺達は要塞都市でのスタンピードで実際に見てるからな。アレでもまだ手加減してたんだな・・・ってくらい?」
「うへえ・・・」
そんなの話をしていたら、アルカンシエル様の昼休憩の声がかかり、何時ものぽやぽやなノア様に戻った。
その後、うっかり精霊王を召喚。
いや勝手に来たのだが、精霊王も交えて昼食会。
精霊王の食い意地にも呆れたが、実際美味いので仕方が無いと思う。
その後、やはり回復を見せない迷宮に約束通り精霊王がたくさん魔力を吸わせて、あっと言う間に元通りに再生したのを確認してから精霊王は還って行った。
いやほんと、自由だなあの王様。
そしてひっそりとお供えのようにお菓子を地面に置くノア様を皆が見つめた。
「八つ当たりしてゴメンね。良かったら食べて?」
そう言ったら、お菓子だけスウッと溶けて消えて、残った皿の上にこぶし大の真珠のような丸い魔石が現れた。
「・・・御礼かな?」
ノア様が鑑定して、ピタッと動きを止めた。
「・・・・・・ノア?」
アルカンシエル様が訝しげにソレを鑑定して、やはり固まった。
「おーい?」
「二人ともどうしたんだ?」
ギギルル兄弟が心配して声をかけると、ハッとして動き出す二人。
その時にはさっきの動揺は消えていた。
「何でもない」
「ああ、今回の詫びらしい」
ノアに続いてアークもそう言った。
「へええ・・・、やっぱり迷宮って意志でもあるのかな?」
「そうかもな」
「じゃあ、無用な殺生?破壊?しない方が良いかな?」
「イヤ別に元からそんなことやってねえし」
「そうなんだけどー気になるじゃん?」
「まあ、全ての迷宮がそうとは限らないし、気にしなくて良いんじゃないのか?」
「だよな!!」
ギギルル兄弟がそんなことを話しているのを聞きながら、ノアとアルカンシエルは内心冷や汗をかいていたが、誰にも気付かれることは無かった。
その後はごく普通に戦闘をしたり散策?をして時間になり、迷宮をあとにしてギルドに戻った。
依頼完了の手続きを終えて、こうして竜王陛下と護衛達の迷宮観光は無事に終わったのだった。
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