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268 全員+αの帰還
しおりを挟む「無事の御帰還、喜ばしく思います。問題は解決したと思ってよろしいのでしょうか?」
にっこり笑いながらそう言うラミエルに、こちらもにっこり笑いながら応える。
「一応、解決したと思って良い。詳しくはギルドに行ってからで良いな?」
「もちろんでございます」
レオニードの言葉に微笑んで即答するラミエル。
「レオニード様方は翔んで行かれますか?」
「ああ、その方が早いからな。サブギルマスはどうするんだ?」
「私ですか? ふふ、如何様にもやりようはありますのでご心配なさらず。ここを引き継いだらすぐに戻りますので」
そう言って胡散臭い微笑みを見せてお辞儀をする。
・・・うん、彼なら自分達より先にギルドに行ってても不思議じゃ無いな。
「じゃあ、先に行ってる」
「ギルマスに伝えておきますね」
そう言って別れた。
「・・・彼、一人増えてるのにツッコまなかったね」
「最初に影っぽい事してたって言ってたから、その辺もすでに情報掴んでるんだろ?」
ギギルル兄弟がそう言っているのを他人事のように聞き流している精霊王。
『貴方のことだよ』
皆は心の中で思った。
ノアのように天然マイペースな精霊王だった。
なんやかんや言いながら冒険者ギルドに戻ると、思った通り、当然のようにラミエルが入り口に立っていて思わず皆して噴き出した。
「---何でしょう?」
意味が分からないとばかりに怪訝な顔で首を傾げるラミエルに、ちょっと可愛いと思ったのは内緒だ。
笑いを収めてラミエルに続いてギルド内に足を踏み入れると、ざわめきが広がった。
「ノア様」
「ノア様だっ、無事だった!」
「良かった!」
「皆、無事で・・・!」
ギルド職員も冒険者も嬉しそうに口々に無事の帰還を喜んでいて、ノアも思わず頬が緩んだ。
「・・・随分心配かけたみたい」
「・・・そうだな。でもそれだけお前のことが好きだって事だ。嫌いなヤツの心配なんかしないからな」
「---っそっか、そうだよね。なんか申し訳無いのに、擽ったい・・・嬉しい」
そう言って周りにはにかんだ微笑みを見せたもんだから、ギルド内が一気に騒がしくなった。
---アークの威圧が飛んで即座に静まり返ったが。
そしてその後入ってきた金髪金曈の美人に唖然として固まり、そのままアーク達がギルマスの執務室に消えてもギルド内は暫くそのままだった。
「---すっっごい美人・・・」
「・・・・・・誰?」
「レオニード様方のPTにあんな人いたっけ?」
「・・・・・・ノア様とは違う美しさ・・・・・・」
しかし当たり前に一緒に着いていった事から、彼等の関係者には違いない。
ギルド内は暫く、彼の方の素性を推測する声で溢れるのだった。
その頃、執務室ではカフカが深々と頭を下げていた。
「---本当に、ありがとうございました。無事の御帰還を喜ばしく思います。ノア様、無事にお戻りになられたようで、本当にようございました。これで魔人国は首が繋がりました・・・あっ・・・スミマセン、本音が、つい」
カフカの正直な気持ちに皆して思わず笑ってしまい、出発前の殺伐とした空気から一転、和やかに始まった事後報告だった。
そして当然のようにいる精霊王には誰もツッコまない。
例によって当の精霊王が気にしないので皆スルーしているが、カフカはラミエルからの情報ですでに把握しているのだろうと推測してそのまま話を始めた。
「ギルマスの予想通り、夢魔だったよ」
そう言ったレオニードに合わせるように、精霊王がその手から檻に入ったダンダリアンをテーブルに転がした。
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