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264 迷宮内でやりたい放題
しおりを挟む精霊王のおかげで冒険者達に気を取られずに済んだレオン達は、遠慮なく魔物達を屠っていく。
魔物は倒してもすぐにリスポーンしてしまうが、レオン達はここ暫くの憂さ晴らしとばかりに暴れ回った。
「多少疲れても、ノア特製ポーションで回復するし!(※念の為、体力は回復しません)」
「ここの魔物のレベルくらいじゃ屁でもねえ」
「「雑魚だな」」
『張り合いがないのう』
どちらかというと、アークとノアの戦闘の余波の方が酷い。
そこはアークが精霊王に頼んだどおり、防御結界を個々に張ってくれているので自分達に被害は無いのだが、いかんせん二人の戦闘の威力が規格外なので迷宮がボロボロだった。
以前の竜王国での集団私刑や冒険者ギルドでのエキシビションマッチの時はノアの結界とそこそこの手加減があって、それでも凄まじかったのだが。
今回はノアが操られていてリミッターが働かないようだ。
平気で殲滅魔法をガンガン放っている。
「---精霊王様、ノアの魔力って・・・」
《・・・・・・すまんの。我の義息子の加護で、無尽蔵なのだ・・・》
「---えええ?! じゃあ魔力切れなんて無いじゃん!! どーすんの?!」
ルルが精霊王に対してぞんざいな物言いをしているが、精霊王は気にしていないので誰もツッコまない。
まあ、万が一魔力切れになったとしてもノアのポーションで回復するのだろうが。
《そこは、ほら、我は魔力の塊のようなモノなのでな、如何様にも出来るのよ。---ほれ》
精霊王はそう言うと、指で魔法を弾く仕草をした。
するとノアの放った魔法がアークを避けて散った。
「---は?」
「・・・どういう・・・?」
《ノアのだろうとアークのだろうと、どんなに凄まじかろうとも魔力で出来た魔法なら消すことも操ることも容易い》
「「---えええ?」」
『・・・・・・チートだの』
ギギ達はポカンとし、レオン達は困惑の声を上げ、ヴァンは呆れたように呟いた。
一方で、ダンダリアンは内心焦っていた。
せっかく操っていた冒険者共が一瞬にして迷宮内から弾き出されたのだ。
いや、違う。
転移されたのだ。
---せっかくアイツらをいたぶってやろうと思ってキープしといたのに!!
「---っ何なのよアレ!! おかしいでしょ?! 何で生きてるヤツを転移できんのよ!! そんなの迷宮と同じじゃない!」
---アタシだって迷宮の支配者になってちょっと介入出来るから弾き出せるだけで、自力で転移なんてできないのに!!
「大体精霊王って嘘吐いてんじゃないわよ! こんなとこにいるわけないじゃないっ?!」
---アレ、でも待って。
さっきアイツ、精霊王って叫んでなかったっけ?
アイツらも精霊王様って言ってなかった?!
---いやいや、そもそも何で精霊王がここに召喚されてんの?!
アイツら何の関係があって召喚できんのよ?!
精霊王の義息子ってなに---?!
「---いやぁ---っ!! せっかくの箱庭がボロボロ!! いやぁ! 再生にどんどん魔力持ってかれる---ぅ!!」
---ヤバいヤバい不味い不味い!
あの子を洗脳するのにかなり魔力使ってんのよ!
これ以上魔力持っていかれたら制御出来なくなるじゃない---!!
何してくれてんのよ、アイツら---!!
ダンダリアンが余裕の笑みを取り繕えなくなった頃、アークとノアに変化が訪れていた・・・。
目に見えてノアの攻撃の手数が減ってきたのだ。
殲滅魔法も放って来なくなり、剣を撃ち合う回数も減った。
その変化にアークはすぐに気付く。
当然ギギ達とレオン達もだ。
気付いていないのは、焦っているダンダリアンだけ・・・。
---イケる。
アークは確信に近いモノを感じた。
ノアは確実に自我を取り戻しつつある---と。
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