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254 消えたノア 2
しおりを挟む「・・・それで、その後は・・・?」
カフカが悲痛なアークに声をかけられず、気まずげに続きを促した。
今見たものは最初の部分だ。
その後何かあって、結果的にノアが迷宮で消えたということ。
その何か、原因が分からなければ対処のしようが無いのだ。
「その後は行方不明者を探す為に迷宮の中を探索していたんだ。本来なら手分けして行った方が効率は良いんだが、冒頭でアレだったから危険だと判断して全員で移動していた」
「・・・そうですね。私でもそうします」
レオニードの言葉にカフカも同意する。
「それで幾つか転移水晶を確認して奥に進んで行ったら・・・」
そう言った後、言葉を切ったレオニード。
記録媒体の魔導具を操作すると言った。
「---そこで行方不明者達に襲われた」
「---は?」
思わずカフカが間の抜けた声を出した。
レオニードは記録媒体の映像を再生する。
そこに映し出されていたモノは、間違いなく今までに行方不明になっていた冒険者達だった。
何ならつい先日に行方不明になった王子も映っている。
「・・・・・・どういう事です?!」
カフカが驚くのも無理はない。
迷宮内で消えた冒険者達が急に湧いて出たのだ。
更には迷宮内の魔物も、一瞬スタンピードかと見紛うほどの量が押し寄せて来て・・・。
「俺達も威圧を出して牽制したんだが、何故か冒険者も魔物も全く反応が無くて」
アークの言葉にレオニードとシェイラが頷く。
純血の竜人3人と竜人の混血1人のSランク冒険者4人の威圧に負けないなんて、どう考えてもおかしい。
「---なんか、人形みたいだったよな」
「うん・・・目が虚ろで、ココとは違う場所を見ているような・・・」
ギギとルルがそう言う通りに、記録媒体の映像でも異常な光景だった。
「もう、魔物も冒険者も入り乱れて俺達を襲って来て・・・。冒険者は怪我させられないし、かといって放っておくと魔物と一緒にお構いなしに襲ってくるし・・・」
「襲って来る冒険者らを加減しながら退けていたけど、魔物は殺っても殺っても湧いてきてキリが無くて」
ギギルル兄弟もうんざりした様子でそう続けた。
「---だから危険だと判断して、アークにノアと一旦迷宮から出るように言った矢先に・・・」
「気付いたらノアが冒険者達に囲まれていて、さすがに冒険者相手にノアも手が出せない感じで戸惑っているウチに・・・冒険者達と一緒に消えてしまったんだ」
「その瞬間、俺達は全員、迷宮の外に弾き出されていた。・・・あとはギルド職員が冒険者ギルドに通信して俺が話した通りだ」
アークの記録媒体の映像は、ノアと離れたアークがノアを呼ぶ声とノアの戸惑う叫び声が聞こえた直後に迷宮の出入り口に変わっていた。
「・・・今の俺達が提供できる情報は以上だ。俺達の見立てでは、『箱庭の迷宮』そのものが変質したのではなく『箱庭の迷宮』に干渉出来る何かが棲み着いている、と思っている」
「ああ。冒険者達や魔物は明らかに様子がおかしかった。何かに操られているようで・・・迷宮のやることにしては不自然過ぎた」
レオニードとシェイラがそう話す。
なるほど、言われてみればその方がしっくりくる。
少し考えてからカフカも頷いた。
「---確かに、いくら加減しようと普通なら竜人の威圧に耐えられずに気を失うか下手をしたら死んでますものね。人形のように操られていたなら意識が無くとも動けますし・・・」
---だとしたら問題は何が棲み着いたか、だ。
カフカには一つの可能性が浮かんでいた。
「・・・・・・これは仮説で、可能性としてはかなり低いのですが・・・」
カフカの言葉に全員が注目した。
カフカはそこで一呼吸置いて唇を舐め、湿らせてから言葉を紡いだ。
「---迷宮の支配者の存在です」
※工事の途中、電子レンジチンで台所のブレーカーが落ちて昼御飯がカップ麺ということ以外は無事に工事終わって更新出来ます!(思ったより工事中の使用電力が大きかった)
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