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242 宿の確保と冒険者ギルド 1
しおりを挟むこれまでとは違い、あまり大騒ぎになることもなく魔人国に入国したアーク達はまずは冒険者ギルドだと、ギギ達の案内でギルドに向かう。
今は朝の9時過ぎで、おそらくギルド内は依頼を受け終わった冒険者が捌けていて少ないだろうということだ。
確かに、朝イチで来ないと良い依頼は残っていない。
ノアはいつも時間を気にせずに、主に自分の欲しい素材目的で行動していたから、実はその辺りの常識もあまり分かっていなかった。
ギルドで頼まれた依頼を受けて熟しているうちにAランクになっていたので。
さすがに今はアークと行動していて分かっているけど、どうすれば次のランクになるのか知らなかった。
実はアインの街の冒険者ギルド職員達がノアの為に上手く依頼を受けさせて、条件を満たした時に昇級させていたのだ。
かなり出来る職員達だったようだ。
「やはり地元の冒険者がいるとその辺りサクサクいけるから助かるな」
「うん、ギルドも初めての場所だと勝手が分からないし。ありがとう、ギギ達」
「そんなの当然! 今はもう仲間で親友なんだからどんどん頼ってくれ!」
ワハハと豪快に笑うギギにつられてノアもほっこり笑う。
「お兄、煩いよ」
そしてルルのツッコミが入る、いつもの風景だった。
そして辿り着いた冒険者ギルド。
「---なんか想像してたのと違う」
ノアがぽそっと呟いた。
いや、街の中の建物がやたら白が多くて、その中にちらほらと派手な色の建物があるな、とは思っていたが・・・。
派手なピンク色に塗られた壁が目に痛い。
・・・そこが冒険者ギルドらしかった。
「うわ、マジか・・・」
「---変わらんな・・・」
「そうだね・・・寧ろもっとドぎつくなった?」
「ああ、ここ数年で壁を塗り直した。だからかな?」
「俺達もコレはどうかと思ったんだけど、有事の際に分かりやすいほうがいいだろうって」
・・・まあ確かに、こうも白い中では看板では見分けがつかないよな。
言いたいことは分かるけども。
「別に他の色でも良かったんじゃ?」
「---ギルマスが好きな色なんだとよ」
「・・・そう・・・なるほど?」
他に言える言葉が無い。
苦笑したり呆れたりしていると、ギルドの内側からけたたましい音と共に扉が開け放たれて野太い声が響いた。
「待ってたわよ---!! 何してんの、サッサと中にお通ししなさいよ!! ギギルル兄弟!!」
「ひえ」
ノアが小さく叫んでアークに飛びつき、アークはぎゅうぎゅうとノアを抱き締めながら殺気と威圧を飛ばす。
・・・が、耐性があるのか鈍いだけなのか全く動じないオネエをギギルル兄弟ががっしり抱え込んでギルド内に放り投げた。
どんがらガチャーン!!
「ぴえ」
ソレに驚いて更に変な声でしがみついてぴるぴるするノア。
それに反応して更に威圧を強めるアークをポンポンと宥めるレオンとシェイ。
「アーク、周りが軒並み気絶するからその辺で止めとけ」
「ノアちゃんも苦しそうだよ(嘘)」
「---っすまない、ノア」
「ううん、大丈夫。アーク、ありがとう、ごめん」
「スマン、ノア! ギルマスが煩くて!」
「驚かせてごめんね! ギルマスがあんなんで!!」
---ああ、やっぱりギルマスだったんだ・・・。
ノアとアークは遠い目をした。
なるほど、この建物の色にしてこの人有り・・・。
濃いいなぁ・・・。
知らず深い溜息を吐いた。
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