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234 お勧めの迷宮? 1
しおりを挟む竜王国への里帰りも一通り終わり、リンドヴルムの件も確認が取れた。
だが現時点で自分達が出来ることはないとアークや義父様達とも話し合い、ひとまず冒険者稼業に戻ることになった。
そんな矢先に、冒険者でふらふら旅をしているという前ヴァルハラ大公夫夫がこちらに帰ってきていてアーク達に会いたいそうだと言われて。
ヴァルハラ家ではなく王宮に寝泊まりしていたらしい。
何故に?
え?
俺達が発情期で籠もってたから?
・・・・・・すみません。
それで会ってみたらお祖父様という感じでは無いくらい若々しい夫夫だったのに驚き、更には迷宮に一緒に行こうと誘われて・・・。
お茶を飲みながら詳しく話を聞くことになったのだった。
「それでお祖父様、その迷宮っていうのは?」
「まあ待て、今話す。あと、普段通りに話して良いぞ。堅っ苦しいのは敵わん。ノアちゃんもお祖父様って言いにくかったらレオンで良いぞ」
「俺もシェイと。爺婆と言われるともの凄く老けた気になるからな」
自ら愛称で呼ばせようとしてきた二人。
やはり性格的に堅いのが苦手なのだろう。
「---そう言うなら遠慮なく。俺もそれなりに迷宮には潜っているが、そのお勧めってヤツはどういうのなんだ?」
「すっごく気になる! レオン、シェイ早く教えて!」
「最初と全然違う対応・・・ホントに好きなんだなぁ」
レオニードが苦笑しながら話し始める。
「この竜王国からだと南にある魔人国の迷宮でな、通称『箱庭の迷宮』と呼ばれている」
「『箱庭の迷宮』?」
「アーク、聞いたことある?」
「んー、名前くらいは。潜ったことは無いな。そもそも魔人国にはほとんど行ってないからな。行くような依頼も受けなかったし、ノアと違ってそこまで迷宮に拘りは無かったからなぁ」
アークが少し考えてから応えてくれたが、そうか、魔人国か。
「---ねね、魔人国ならあの二人の方が絶対詳しいでしょ? 何しろ魔人なんだし」
「んん、何だ? 魔人族に知り合いでもいるのか?」
「うん、ギギとルルっていう魔人族の双子でAランクの冒険者なんだ。俺の友達になってくれた人」
「へえ。・・・ん? 双子のAランク冒険者?」
「シェイ、知ってるの?」
「ああ、魔人国では有名な冒険者だよ。赤髪の双子だろう? 割とゴツい感じの」
「そうそう。へえ、アイツら向こうじゃ有名人なのか」
アークが面白そうにニヤッと笑った。
揶揄うネタになりそうだ。
「じゃあ、明日にでも声をかけてみよう。レオン達もそれで良い?」
「ああ、良いぞ。魔人族なら最新の情報を持っているかもしれないし。都合がついたら教えてくれ。それで皆で情報を共有してから行くか決めよう」
「はーい!」
「俺達にも慣れてくれて嬉しいよ、ノアちゃん。また会おうな」
「またね」
そういって二人は王城に戻っていった。
それを見送って、ノアがぽつり。
「・・・ココに泊まればいいんじゃ無いの? 何でアッチに泊まるの?」
「陛下と積もる話でもあるんじゃ無いか?」
「そういえば大祖父さま、レオンのお兄さんだった。なるほど、積もる話かぁ。家族がいるとそういうことがあるんだね・・・」
「・・・・・・ノア、俺達が家族だからな。何でも話してくれよ?」
「---うん、ありがとう」
アークにギュッとされて心が温かくなったノアだった。
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