迷い子の月下美人

エウラ

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230 大盛りパフェとお約束

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注文したうちの飲み物がまず出された。ノアは無糖のカフェオレでアークは当然のようにブラックコーヒー。
ギギは無糖の紅茶でルルは甘めのミルクティーだった。

「アレ? ノアはお茶は甘くないの?」
「ん、何時もは甘くしてるけど、これから甘いのいっぱい食べるから・・・」
「さすがにお前ほど甘党じゃねえだろ。相変わらず甘いに甘いの相乗効果で・・・・・・俺、胸焼けしそうだわ」

ルルは心底不思議そうに言って、さすがにノアも、えっという顔になった。
ギギはこれがルルの通常運転だというように渋面になった。

皆で苦笑していると、店員が二人がかりで大きなパフェをテーブルにのせて、人数分の取り皿とスプーン、フォークを置いた。

「あ、悪いがボウルを一つ。フェンリルも食べるんでな」

アークが付け加えると、ギョッとしてヴァンを見た。

『我も食うぞ』

店員にはガウッとしか聞こえないが、吠えながら頷いていたのでうんと言ったのが分かったらしい。
慌てて大きなボウルを持ってきた。

御礼を言って下がって貰う。

「さあて、頂きます!」
「「「『頂きます!!』」」」

アークの合図で皆がめいめいに好きなトッピングを取り分ける。

ノアはチョコと苺と桃を取りあえず取って、生クリームとアイスの部分を大きめのスプーンで掬って盛り付けた。

アークはパイナップルやオレンジなどの酸味のある果物に生クリームを避けてアイスとコーンフレークを盛り合わせた。
やはり甘いものは苦手なのだろう。
ノアの手料理は別腹だが。

ギギはバナナにキウイフルーツ、メロン、それに生クリームとアイスを盛り付けた。
生クリームは好きらしい。

ルルはチョコを中心に苺、後は生クリームをたっぷり、アイスもたっぷり。

自分で言うだけはある。
確かに甘党だ。

ヴァンは果物は要らないそうで、アイスを中心にボウルにたんまり盛ってやった。

そうして皆がそれぞれ自分のペースで食べ始める。

「---うんまあ・・・!」

ルルが真っ先に口に入れてひと言。
後は黙々と口に入れている。
顔を見ればニコニコなので、よほど気に入ったのだろう。

ギギはちょびちょびと食べ、ヴァンはさすが氷の幻獣だからか、冷たいアイスをガツガツと食べても平気そうだった。

アークは当然のようにノアにせっせと給餌している。
もちろん合間に自分も食べているが。

そしてノアも平然と、当たり前のように口を開けて待っている。
・・・ノアの手の中のスプーンの出番はないだろう。

呆れたようにギギが見ているのも気にならないようだ。

ルルやヴァンがお代わりをしてどんどんパフェが消えていく中、お茶を飲んだりパフェを食べたりして残り少なくなった頃、不意にアークがスプーンを運ぶ手を止めた。

「---? アーク?」

ノアが不思議に思って首を傾げると・・・。

アークも首を傾げて、ノアの右の口端をペロリと舐めてからちゅっと音を立てて吸って離れた。

「---・・・・・・あああ、アーク?!」

離れ際、アークが艶然と笑ってノアの唇をちろっと舐めていった。

「・・・・・・クリーム、付いてたぜ」
「---っ」
「あちゃあ・・・」
「・・・うわあ・・・」

ノアが真っ赤になって言葉を失い、その様子をバッチリ見てしまったギギとルルは、何とも言えない甘さで胸焼けをしていた。

ヴァンはというとボウルをべろべろ舐め回していたので気付かなかったようだ。


その後は心臓がバクバクで味が全く分からなくなったノア。

皆で綺麗に平らげてご馳走様をして個室を出る。
ノアは、顔の赤みは引いたものの恥ずかしさからアークに抱っこされていた。

それをまた店の客と店員がきゃあきゃあと・・・以下略。


「ありがとうございました---!!」

お店の中は、良いモノを見せて貰ったとほくほく顔の客と店員で溢れていた。



ちなみに、この店の紹介と予約は冒険者ギルドの『ノアとアークを見守り隊』が行いました。
後でアークに御礼を言われてヒャッホイしていたらしいです。




※果物は、それっぽいモノをイメージして下さい。ネーミングセンス無いので実物の果物の名前でいきました。
実際はそれ風な果物って事で勘弁です。
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