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223 ルドヴィカは密かに笑う
しおりを挟む竜王国に帰って来たアーク達を大公家に送り届けたのち、王城に戻ったルドヴィカはコレから起こるであろう諸々の騒動に、密かに胸躍らせた。
絶対、面白いことが起こるって!
少し前、アーク達が神聖な霊山の街に着いたとき、たまたま大公家に居合わせたリュカリオン殿下が話を聞いて突撃していった後、帰り際に殿下に言ったことがフラグだったようだ。
下界で色々とノアがやらかしたようで、ありそうで無さそうな嘘か本当かって言うくらいの噂が飛び交っていた。
その中でもダントツに多いのが、竜人と兎人の混血と金竜の噂話だった。
どうやら下界の迷宮でガッツリ翼を顕現して翔んでたらしい。
確かにアソコは翔べないとキツいよな。
まあ翼を出したって事は、アークもノアももう隠したり誤魔化す必要が無くなったって事なんだろう。
近いうちに真実が知れるかもな。
数日後。
そんな噂を放置・・・ある意味ワザと広げているっぽい様子に、何かやりそうだなとウキウキしていると、リュカリオン殿下に招喚されて登城してきたアークとノアが俺の元にやって来た。
「よぉ」
自分の団長室だから気兼ねなく乳兄弟の口調に戻す。
「ルドヴィカに用があるんだが、頼まれてくれるよな?」
アークがお伺いを立てているようで有無を言わせない口調で言ってきたのに笑って、二つ返事でオッケーをする。
「良いぜ。何をするんだ?」
「仕事終わったら後でウチに来い。ソコで詳しく話そう」
「了解。あ、リュカリオン殿下は」
「さっき断って許可を取った。お前を貸してくれるってさ」
「なら、良い」
「じゃあ邪魔したな」
「・・・お邪魔しました」
「またね、ノアちゃん」
ゆるーく会話を交わして別れ、その日の仕事帰りにヴァルハラ大公家に寄る。
ソコでアークに聞かされた話に、やっぱり面白いことになったと内心にんまりしたぜ!
ちなみにこの時はノアに記録媒体の魔導具を隠蔽機能付きで大量に錬成して貰ってた。
だからノアはなーんにも知らずにアークに頼まれたからと快く引き受けてくれたんだそうだ。
「・・・・・・良いのか、それで? さすがにノアが不憫だぜ・・・」
「仕方ないだろう。使い道なんか言っちゃうと、ヘンなところで賢いから勘付いちゃうんだよ。後で幾らでも慰めるさ」
「---あー、お前の慰めるが抱き潰すに聞こえる---」
「んだと、コラ」
「図星だろ?」
にしし、と笑っていると、魔導具を作り終えたようでノアがやって来た。
「こんばんは、いらっしゃい」
「こんばんは。お邪魔してるよ」
「ちょうど良かった。頼まれたモノ出来上がったから、確認して持って帰ってね?」
「おう、有りがとな!!」
「じゃあ、俺、義父様達のところでお菓子食べてくるね。ルドヴィカ、またね」
そういって部屋をあとにしたノアを見送って魔導具を確認した後、アークにぽそっと聞いた。
「・・・金竜の事はもう隠さないのか?」
「---ああ。陛下にも奏上したし、時間の問題だからな」
「・・・・・・片親の竜人のことを俺が聞いても・・・?」
「そうだな。父達も知っているし・・・。だがまだ漏らすなよ?」
「誓約が効いてるからな、言えねえよ」
「そうだったな。・・・ノアの父親の方の竜人はリンデンという。大賢者ラグナロクのPT仲間だ。ノアの育ての親がその大賢者ラグナロクで、リンデンは実は古竜なんだ」
「へー、大賢者が育ての親、ナルホドだからあんな魔法を・・・っておい、は? 古竜?! おまっ、何サラッと言ってくれてんの?!」
「本名はリンドヴルム。ヴァンも知己だったそうだ」
「・・・・・・はー、そう・・・・・・としか言えんわ」
なんつーか、どエラい爆弾を抱えてた。
ツッコミどころがあり過ぎてツッコめなかったわ。
「そういうわけで、口外するなよ」
「---出来んわ!! さすがに俺でも言えんわ!!」
いやあ、トンデモな情報がきてビビった。
とりあえずは直近のお楽しみを待つかな。
鍛錬場にこっそり魔導具を仕込んで、と。
くふふと笑いながら大公家をあとにした。
※前回、太刀魚で怪我した指がやっと治った!と思ったらついさっき右手親指をうっかりざっくり。前回の指先用バンドエイドが大活躍!
皆様はあまりないと思いますが刃物にはお気を付け下さいませ。
(何でそんな持ち方をしたし?!というマヌケ)
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