迷い子の月下美人

エウラ

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202 竜王国の城下街&冒険者ギルド 2

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執務室に案内されてソファをすすめられて座ったノアは、腰を下ろすと同時に防音結界の魔法を展開した。
 
「・・・お、無詠唱か? 凄いな」
「ぁ、スミマセン、つい癖で・・・」
「ああ、室内に入ると俺が何時も頼んでるからな」
「ふむ。何故・・・とは聞かないでおこう」

ギルマスの言葉にニヤリと笑うアーク。
ノアは無表情ながら耳を少し赤らめた。

「で、何か用があって来たのか? ん?」

ギルマスが切り出した。
ニタリと笑っている時点で面白がっているのが丸わかりだ。

「特に無いぞ。俺の番いを見せびらかしに来たのと、何か依頼でもあるかなって」
「あの、魔人族の双子が来ませんでした? Aランクのギギとルルって言う・・・」

ノアの言葉にああ、と気付いたようだ。

「来た来た。赤い髪の二人な! 挨拶がてら声をかけたら、お前らの話を色々と話してくれたが」

そしてこそっとアークに耳打ちした。

「あの二人も『見守り隊』の隊員なんだってな。良いネタを仕入れられたぜ」
「・・・ヘンなヤツじゃ無いだろうな?」
「大丈夫だって」

二人がコソコソと話している間、ノアはヴァンをもふっていた。
もふりだすと止まらなくなる。
だからいい加減ヴァンがキレた。

『おい、ノアをどうにかしろ』
「・・・あ、悪い」
「・・・見事にぐちゃぐちゃな毛並みだな。・・・っぷ!」
『笑うなー!』
「あっごめんなさい、ヴァン、綺麗にするね」

ノアが慌てて魔法で綺麗にすると、艶々ふかふかになって機嫌が直ったようだ。

「で? 今日は本当に顔出しだけか?」
「いや、溜まっている素材を売りたいんだが。あと、ポーションもいるか?」
「そりゃあ願ってもないが・・・ウチで買い取れる量にして欲しいなあ。お前だけでもヤバいのに・・・」

チラとノアとヴァンを見る。

「---アイツら、ガンガン狩るんだろ? セイクリッド・リョーゼンのギルドで凄かったらしいじゃないか」
「---ああ、暫くノアに付き合ったからな・・・うん。まあ、出せるだけで良い」
「---了解。んじゃ、下の買い取りカウンター・・・よりも解体場に直接の方が良いな」

そういって下に下りると、ギルマスは受付に声をかける。

「アークとノアの買い取りだが、解体場アッチでやる。エラい量になりそうだからな」
「畏まりました! アルカンシエル様、ノア様、こちらへどうぞ」
「ありがとう」


---そして何故か野次馬冒険者達がぞろぞろとくっついてきた。

大方、ノアの実力を知りたいのだろう。
中には高ランク冒険者とPT登録して寄生虫のようにランク上げするヤツもいるから、ノアもそうだと思われてるんだろうな。

アークはギルマスとひっそり笑んだ。

「ええと、売るのはノア様のですか?」
「うん。いっぱい溜まっちゃって、邪魔なんだよね。出して良い?」
「はい、お願いします。あ、ストップと言ったら一度止めて下さい」
「ん」

そう言われて、とりあえず北の迷宮の素材をどんどん出して、次にミドガルズの迷宮の素材を出した。
もちろんミドガルズオルムの鱗である。
一枚がノアの顔より大きい。
それを数枚。
出した時点で、ストップがかかった。

実はもっと早く止めるはずだったのだが、唖然として止めるタイミングを失っていたのだ。
野次馬も顎が外れそうだ。

「---ええと、鑑定と報酬は明日でもよろしいでしょうか・・・?」
「構いません。よろしくお願いします」
「じゃあ頼むな」
「お前ら、少しは自重をだな・・・はあ、もう良い。明日適当に来い」
「分かった」

そういって二人は去って行き、職員達は選別と報酬の計算に追われるのだった。


残された野次馬冒険者達はポカンとしていた。



「マジ?」





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