迷い子の月下美人

エウラ

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199 二人の衣装合わせ 1

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昨夜抱き潰してしまったせいで、遅めのお昼ご飯をノアに食べさせる。

見晴らしの良いテラスで、ノアの好きそうなモノを用意して貰い手ずから食べさせると、ノアはすっかり給餌に慣れてくれて、もっくもっくと食べてはあ-んをしてくれた。

「ごちそうさま」
「ああ、お腹いっぱいか?」
「ん、もうお腹いっぱい。美味しかった」
「じゃあ食後のお茶を飲んで少し食休みしようか」

そういってお茶も淹れてくれるアークは本当にスパダリだよ。

「うん。この後、仕立て屋さんが来るんだよね? ・・・義父様達も一緒?」
「---って。呼んでくれるのか、ウチの家族をそんな風に・・・」
「え? あ、うん。だってアークの家族は俺の家族でもあるんだよね? それに・・・前にそう呼んでくれって言われて・・・嬉しかったんだ。・・・生きて、そう呼ぶと応えてくれる・・・俺の家族」

本当に嬉しそうに微笑んでくれるノアが愛おしい。

アークは口ではウザいなんて言っているけど、家族を心から愛している。
そんな家族をノアも愛してくれる。

それを分かって、皆はノアが可愛くて構いたくなるんだな。

「アークのお兄さん達はどう呼べば・・・アル義兄様、シル義兄様・・・かなあ?」

おおう・・・呼んだら卒倒するな。
ソレか狂喜乱舞・・・。
面白そうだから黙って見てみよう。

そんな感じでまったり過ごしていると、アヴィールから呼ばれた。

「皆様、衣装部屋にお集まりでございます」
「ああ、ありがとう」
「ありがとう、アヴィール」

アヴィールの後に続いて、衣装部屋というところに入ると・・・。

「うわ」
「・・・・・・ああ、うん。だと思った・・・」

ノアはびっくりして固まって、アークは予想通りだと溜息を吐いた。

部屋全体に広がる色とりどりの布に、わいわいと話す4人。
それと質問に応えているらしい仕立て屋さん達4人。

夢中なのか気付いていないらしい。

「皆様、ノア様をお連れしました」

アヴィールの声でがばっと一斉に振りかえるウラノス達にタジタジのノアがぴるぴる震えた。

「・・・もう少し静かに、声も動きも・・・!」

アークがやや威圧を出して静かに怒った。
あっ、仕立て屋さんが倒れそう。

「アーク、だ、大丈夫だから、ね?」
「・・・無理するなよ?」
「ん」

すんでの所で大惨事は免れた。

「すまない」
「「「ゴメンね!」」」

ウラノス達が申し訳なさそうに謝ってきた。
それに微笑んで応えるノアが爆弾を投下した。

「ん、大丈夫、義父様達」
「「「「・・・・・・?!」」」」
「ノアちゃんが・・・」
「義父様って・・・?!」
「・・・義母様? アル義兄様? シル義兄様?」
「か、かあさま」
「アルにいさま」
「シルにいさま」

それぞれ噛みしめるように呟いて、数秒後・・・。

皆、静かに固まっていた。

---初めての反応だな。

「・・・アヴィール、大丈夫なのか?」
「見たことのない反応ですが、そうですね、ノア様の耳を塞いでおいた方がよろしいかと」
「---だな」

そうしてノアの耳を守るべくアークが手をあてた瞬間・・・・・・。

「「「「---っ!!!」」」」

音が消えた。

「・・・・・・おや?」
「・・・ああ、なるほど」

ノアが静かに、自分の耳を塞いだアークの手を外す。

「・・・・・・ゴメン、つい咄嗟に『沈黙サイレス』の魔法を部屋全体にかけちゃった・・・」
「アレだな、北の迷宮ダンジョンのボス部屋のヤツ。助かった」
「さすがでございますな。咄嗟に発動するとは・・・」
「何時もコレ使えば静かだな。次からはこうしよう」

なんてほのほのしている3人以外、狂喜乱舞っぽい4人と、仕立て屋さんとお針子さん?っぽい人4人が呆然としていた。

「・・・もう少し落ち着いたら、魔法を解いてくれるか?」
「---仕立て屋さん達だけ解除しても良いよ?」
「出来るのか? 器用だな。じゃあそれで!」
「さすがです」

えへっと照れながら魔法を部分的に解除して、残りは様子見になった。

---いやいや、魔物じゃないんだから!

というツッコミ担当は生憎と不在だったので、現状回復に結構な時間を要したのは仕方ない。



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