159 / 534
155 一夜明けて今年もよろしく
しおりを挟むノアがアークの仲直りと称したお仕置き・・・を散々受けたあと。
情事後の気配を色濃く残した気怠げなノアを抱きかかえ、肌が艶々のアークが部屋から出て来たのをちょうど朝食を食べ終えたギギルル兄弟が鉢合わせた。
「・・・・・・よう、お早う・・・・・・遅よう?」
「お早う・・・・・・大丈夫?」
さすがのギギも空気を読んで静かに声をかける。
ルルに至っては最初から小声で心配そうだ。
「・・・・・・だぃ、じょぅぶ・・・・・・でも、なぃ・・・」
ノアがアークに凭れながら、掠れた声で囁いた。
それにアークが苦笑する。
「お早う。新年、今年もよろしくな。もう朝食は取ったのか?」
「あ、ああ、今年もよろしく。今食べてきたところだ」
「今年もよろしくね。うん、美味しかったよ。新年の特別メニューだって。早くノアに食べさせてやりなよ?」
見るからに疲労困憊のようで見てられない・・・色々な意味で。
特別メニューにピクリと小さく反応したノアに気付いて、アークがまたな、と下へ下りていった。
それを何とも言えない空気で見送った2人。
「・・・・・・まあ、個室に通されるだろうな」
あの2人は隔離しないとアカンやつだ・・・。
周りが幾ら貴族の嗜みってヤツを身に着けていようと、アレは動揺する。
主に下半身が・・・。
「ここの従業員は貴族出身も多いから教育が行き届いてるし、空気を読んでくれるよ・・・うん」
ルルも思い至ったのか、そう応えてくれた。
「・・・・・・だよなぁ・・・。それにしてももう少し手加減してやれば良いのに」
はぁと溜息を吐いて頭をポリポリと掻くギギだったが。
「・・・お兄、アレでもかなり加減してるよ。アークが本気出したらノアは何日も部屋から出して貰えないよ」
ルルがちょっと顔を赤らめて言った。
・・・ソレって、いわゆる『絶倫』ってヤツ?!
「---まじ?!」
「まじ」
「・・・・・・竜人族の番い至上主義、別名監禁軟禁って聞いてたけど、そういう意味だったんだ・・・。そりゃあヤリまくられたら部屋から出られんわな・・・」
「・・・・・・いや、違うだろう。執着と嫉妬と独占欲の塊のせい・・・・・・って、お兄、聞いてる?」
「いやあ、若いって良いなあ!」
「お兄? 何訳分かんない事言ってんの?! ねえ、話聞いてた?! おーい!!」
うんうんと頷き、自己完結して自分達の部屋にさっさと向かうギギを呆れながら追いかけるルルだった。
さて、ギギ達の予想通り個室に通されたアーク達は、目の前の朝食に舌鼓を打っていた。
といっても、アークの膝の上にぐったり凭れるノアの口元にひたすら給餌するアークという絵面で、知らない者が見たらギョッとするだろう。
もちろんアークも合間に食べているが。
フェンリルのヴァンは一足先に一人(一匹)で下へ下りて行って食べてきたので、今は部屋でごろごろしている。
当然、宿の従業員にキチンと頼んでおいたからちゃんと対応して貰えたのだが。
一応従魔とはいえ、一匹でウロウロとしていては周りに迷惑だからな。
だが、さぞかしカオスな空間だった事だろう。
・・・ご愁傷様。
「ノア、美味いか?」
「んく、うん。初めて食べたけど、凄く美味しい」
様々な食材で少しずつ盛られた可愛くも綺麗な料理達。
目で楽しんで、舌で楽しんで。
あっという間に平らげた2人は大満足で食事処をあとにした。
「---新年、おめでとう。今年も・・・これからもよろしくね、アーク」
「おめでとう。これからも、一生、よろしく頼むよ、ノア」
2人は抱き合い、触れるだけの口付けをした。
※お待たせしております。
だいぶ良くなりましたが油断するとパカッと・・・。いや痛そうなので止めましょう(笑)
読んで下さってありがとうございます。
260
お気に入りに追加
7,357
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶のみ失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる