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135 大公家とアークの手紙 2(side大公家&ルドヴィカ)
しおりを挟む大公家の皆が見守る中、にっこりと笑うルドヴィカ。
皆が固唾を呑んでいる。
誰も何にも言わない。
何から聞こうか迷っているのだろう。
「---ではひとまず、アルカンシエル様から手紙を預かっておりますので、そちらをどうぞ。もちろん私も内容は知りません」
そういってマジックバッグから、アークの封蝋のついた手紙を出して大公閣下に差し出した。
大公・・・ウラノスがサッと手を伸ばして引ったくるように受け取り、ペーパーナイフで・・・いや、面倒とばかりに爪を竜化させてスパッと封を切る。
ソレを夫人のアンジェリク、長兄のアルジェント、次兄のシルヴァラが待ちきれずに席を立って詰め寄って覗いた。
見目麗しい美形が4人もぎゅうぎゅうと密集して一つの手紙に群がる様子はシュールである。
ルドヴィカは笑いを堪えながら一人のんびりと紅茶を口にした。
手紙を読むことおよそ5分。
一通り目を通したようで、他の3人が席に戻ったタイミングで聞いた。
「手紙の内容はどういうものでした?」
自分も知らないので、話すことが被らないように確認をするルドヴィカ。
「・・・大まかな事のみ。『アインの街』で幸運にも番いを得て、その先でその番いの出自を少し知り、今回の『要塞都市ライズ』でスタンピードを抑えて新たな『迷宮』の確認と踏破・・・そこでフェンリルを従魔にした事。・・・ソレと・・・」
「『蜜月の邪魔だから来るな』と?」
「・・・・・・そうだ」
ウラノスは苦笑しているが、己も身に覚えがある故、どう反応したものかという感じなのだろう。
会いに行きたいが邪魔なのは十二分に理解している。
だが親としては一日でも早く紹介して欲しいというところだろう。
「私も手紙を預かる時に散々釘を刺されましたよ。くれぐれも、来るなと伝えてくれと。いやあ、あのアークの変わり様ったら・・・おっと、言葉遣いが・・・・・・アレ? そう言えば番いを得たのに皆様、余り動揺しませんね?」
思っていた反応とかなり違っていて、拍子抜けだったルドヴィカ。
首を傾げる。
「---ちょっと、あるツテで、聞いていたのでな・・・・・・ゴホン、それよりその番いの子の情報は?! あるだろう?! ん?!」
ほら早う寄越せという4人の圧に負けたルドヴィカは、軽く溜息を吐いてピアスを外した。
記録媒体の魔導具である。
アークもつけているアレだな。
記録の改ざんが出来ない仕様の、信用のおけるモノ。
要塞都市ライズでのアークとノアが記録されている。
ただし、誓約魔法時での会話の部分は他人には見られないようにロックがかかっているが。
騎士団としての仕事もロックをかけているので、見られるのはアークとノアとフェンリルの日常?掛け合い?くらいだ。
その記録媒体をテーブルの上、自分の前にコツンと置くと言った。
「これはご存知の通り、記録媒体の魔導具です。アルカンシエル様と番い様の記録がございますが、ちょうどスタンピードからひと月分の中で二人が記録されているところだけ再生します」
・・・ただし。
「普段の彼とは別人のようなところが多々ありますので、覚悟して見て頂きたいと思います。ソレと、番い様はかなり変わった方・・・うーん、異常な方?なので、気をしっかり持って下さいね?」
そういってにっこり笑うルドヴィカに皆の頭の中が疑問符だらけになった。
それを内心で笑って、問答無用で再生をスタートさせた。
皆は中空に映し出される映像に釘付けになった。
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