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93 意外な繋がり 2(sideギギ&ルル兄弟)
しおりを挟むアーク達の泊まっている『巣篭もり亭』に着くと、従業員に断って部屋へと入った。
元々の部屋の防音結界魔法に加えてノアの魔法が上掛けされた。
・・・・・・エグい強度の魔法だな・・・・・・。
思わずルルと顔を見合わせて苦笑した。
無詠唱で、さも当たり前のようにやってのけるノア。
本人はキョトンとしている。
アレは本当に分かってないな。
どれだけ自分が凄いのかを。
アークの過保護も苦労も分かる気がする。
アークは俺達の心境を察してるのか、苦笑交じりで声をかけた。
「とりあえず座ってくれ」
「じゃあ、遠慮なく」
全員が座ったところでアークが切り出す。
「───で、ギギの言ってた事だが・・・・・・」
「ああ、それなんだが・・・コレから話すことは俺達の父親から聞いた話だから本当かどうかは断定出来ないということを念頭に置いて聞いてくれ」
念の為、先に断っておく。
アーク達が了承したのを見て、話し出した。
「今から二〇〇年以上前に、俺達の父親が冒険者ギルドから極秘にとある依頼を受けた。他にも親父達のPTメンバーも受けたそうなんだが、結局は失敗に終わった」
「───ああ、お兄、あの話?」
ルルも思い至ったようで、ハッとした。
「そうだ。かなり前の話でもう守秘義務は無くなったからな、アーク達に話しても問題は無いだろう。・・・・・・その依頼は、とある冒険者の攫われた身重の番いを救出する事だったそうだ」
「───それ・・・・・・」
ノアが呟いたが、それ以上言わないので続ける。
「ほうぼう手を尽くして何とか古の森に辿り着いた時には、すでに手遅れだったそうだ・・・・・・上位精霊が現れてそう告げれられた。遺体はすでに地に還り、遺品だけを受け取ったと・・・・・・」
「───その攫われた番いの名が『アリテシア』だって父さんが言っていた」
ルルがそう言うと、ノアがポロッと涙を零した。
アークが背を擦る。
「───母さん・・・・・・」
ノアが呟いた。
・・・・・・やはりそうだったのか。
「精霊は腹の子の事は何も触れずに消えてしまったそうで、母親と共に儚くなったのだろうと思っていたそうだ。・・・・・・生きてたんだな」
ギギとルルはやや涙ぐんでいた。
二人も父親から話を聞いて胸を痛めていたのだろう。
「それでこの前、すれ違った男がノアを気にかけて『アリテシア?』と呟いたのが聞こえてな・・・・・・。すぐに雑踏に紛れてしまって、追えなかったんだが気になっていて・・・・・・」
「───ああ、それでか。一度接触していたからあの時・・・・・・」
アークが納得した顔をした。
「この間、薬師ギルドを出てすぐに絡まれて話をしたんだ。彼はノアの伯父だった」
「「───え、まさかの身内!?」」
思わずギギ達は声を合わせて叫んだ。
「ノアの母親・・・・・・アリテシアがもしかしたら生きてるんじゃ無いかとずっと探していたそうだ。ノアは生き写しだそうだから、勘違いをしたと言っていた」
「───あの後、里へ行ってお祖父さんにも会ってきたんだ。血の繋がった家族がいることが分かって、嬉しかった」
ノアが涙を拭いて微笑んだ。
そうか、それで何となく気配が柔らかいんだな。
「それにしても、意外なところで繋がりがあるな。・・・アリテシアの番いの事は父親から何か聞いてないか?」
アークに聞かれて記憶を思いかえすも。
「───いや、親父からは竜人だとしか・・・」
「・・・・・・実は母親の事もつい最近知ったんだよ。天涯孤独だと思ってたから。だから父親の事もほとんど分からなくて、生きているかもってくらいなんだ」
「・・・・・・そうか、辛かったな」
しんみりしてしまって、ノアが慌てて言った。
「育ての親の爺さんがいたし、今はアークもいるし、平気だよ」
「もう少し情報があれば良かったが」
「・・・・・・そうだな、ギギ達は俺達より長く生きてるようだし、『大賢者』の事とか知ってる?」
ノアに聞かれて考える。
大賢者?
「・・・・・・もしかしてラグナロク・ニヴルヘイムの事か? 何故?」
「あ、やっぱり爺さん、大賢者だったんだ? 今イチ信じられなかったけど・・・・・・」
「・・・・・・やっぱり?」
「ノアの育ての親のお爺さんだ」
「「───はあぁ?!」」
オイオイ、とんでもな情報キタ───!!
どおりで規格外だよ!
大賢者なんてバケモンクラスだよ!
そんな人物に育てられたら、そりゃあリヴァイアサン瞬殺だよなあ───!!
ギギとルルは驚愕の顔のまま、ちらりと二人を見る。
ノアはキョトンとして首を傾げている。
アークは・・・・・・遠い目をしている。
・・・・・・そういうことか。
アークには悪いが、ご愁傷様デス。
ギギとルルは心の中で合掌した。
※お気に入り登録とBL小説大賞投票たくさんありがとうございます!!
本人はかなりビビっております。嬉しいけどコワイ・・・頑張ります。
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