迷い子の月下美人

エウラ

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69 迷宮探索 5

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「え、薬師マイスター?!」

グリューン達が驚きの声を上げた。

「うん」
「なんで冒険者やってんの?!」
「・・・・・・薬草とか素材集めの為?」
「えええ? だって冒険者とか薬師ギルドに頼めば良いじゃん。わざわざ危険を冒すことないでしょ?」

それにちょっと困った顔をするノア。

「ああ、ちょっと事情があってな、自分で採集したほうが早かったんだよ。それにどのみち錬金術の素材も必要だったからな」
「・・・うん」

アークがさり気なくフォローしてくれた。
ありがとう。

「---あー、何となく察した。」

グリューンはさすがリーダー、勘が良い。
皆まで言わずとも分かったようだ。

「エー? 何々?!」

察しの悪いエメルが騒いだのでグリューンが耳打ちすると、大声で叫んだ。

「えっ!! ノア、薬師ギルドにハブられてたの?! 妬み僻みってヤツだね!!」
「・・・あちゃー」
「小声の意味、無し」
「うん、そうだな」

ノアは気にした風も無く、微笑だった。

「うん、まあ、爺さんとそう言う契約だったから気にしてない。それにお陰でアークに逢えたから」
「だな」

幸せオーラいっぱいの二人に。

「へいへい、ご馳走様」

と、グリューン達はゲンナリだった。


先に進むことになって、先頭はアークとノア、直ぐ後にスカイとエメル。
後方にシンとグリューンで歩いて行く。

「そういやさっき錬金術の素材も必要って言ってたけど」
「うん。錬金術師だから」
「・・・一応聞くけど、誰が?」
「俺が」
「・・・・・・」

キョトンとしているが、ノアさーん?!
アークを見ると『諦めろ』と言う表情だった。

「・・・何となく分かってはいたけど・・・規格外すぎんだろ・・・」

グリューン達が驚き過ぎて言葉に出せない。

「えっと、ごめんね?」

ノアはよく分からないなりに自分のせいかと思って曖昧に謝った。
それを皆が気にするなとフォローする。

---というようなやり取りをしながら進んでいるのだが、おかしい。
魔物が全く寄ってこない。

あれ程強い魔物の気配があるのに。

「なんか静かなんだけど、大丈夫?」

エメルがコソッとスカイに話しかけた。

「ある意味大丈夫じゃないね」
「え、やっぱりそうなの?!」
「うん、アーク達の威圧で近寄れないから」
「・・・・・・はぁ?!」

思わず大きな声になってしまって、慌てて口を押さえるエメル。

「・・・はぁ、鈍すぎだよエメル。コッチに向いてないから耐えられるけど、立っていられないくらいの殺気が出てるよ」
「え? え? 本当に??」

全っ然分かんないって言うエメルに、PT全員呆れ顔。

「その鈍さがエメルの良いところだ」
「和むねぇ」
「まあ、危機的な状況ではたぶん癒し・・・?」

ぼそぼそと話している4人をアーク達はほのぼのと見ていた。

「仲良さげで良いPTだね」
「そうだな。相性が良いんだろう」

こういうのも悪くないなと思うノアだった。


結局、三階に行く階段まで一度も戦闘せずに辿り着いて、深緑のPTは拍子抜けだった。

「---楽だったけど、良いのかこれ?」
「良いんじゃないか? こういう出会いも運だろう。この階層はマジでヤバかったから、戦闘しない、が正解だ」

アークがカラッと笑って言った。
ノアもうんうん頷いてる。

「・・・・・・そうだな。この幸運に感謝を」
「「「ありがとう」」」
「どういたしまして。ていうか、十階層まで一緒に行くんだろ? お礼はまだ早いぜ」
「えっ! 一緒に行ってくれるのか?!」
「行き先は一緒だろうが。乗りかかった船だ。俺は構わんよ、なあ、ノア?」
「うん。一緒、楽しい」
「ひああーーー! かわゆい!」
「はいはい離れて」

ノアの言葉に興奮したエメルが前のめりになったのをグリューン達が引き離す。

呆気にとられたノアは楽しそうに笑った。

それを見てまたエメルが騒いで、最終的に口を押さえられて三階へと降りていった。





※ストックが無いので、今後、更新時間が遅れるか更新出来ない日があるかもです。
今日はギリ間に合った!
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