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52 オーガスタ冒険者ギルド(sideスサンダ)
しおりを挟む俺のギルドに通信魔導具で連絡が入ったのは今から半月ほど前。
受け付けた職員が慌てて来た。
話を聞くと、エイダンのギルマスから内密な話があると言う。
ちょうど時間が空いていたから、執務室で聞くことにした。
防音防御バッチリだしな。
そうして聞いた話に頭が痛くなった。
問題ありありだろ。
寧ろ問題しか無い。
とんでもないヤツにとんでもない番いが出来たって事だろう?!
ムスッと聞いていたが、なんだか様子がおかしい。
二人を恐れての監視って訳でもねえ。
どっちかっていうと、愛でる方向にいってるようだ。
『とにかくノア殿が可愛いんだ!』
そこをやたらと強調していた。
『会えば分かるから、とにかく見守り隊の会員を増やして!』
「---分かったよ。そこまで言われちゃあなあ・・・やってみるよ」
『後で諸々教えてね! よろしく!!』
・・・・・・。
仕方ない。
そうして手の空いたヤツから勧誘して誓約魔法をかける。
半分は竜人とその番いに恐怖しながらも、番いのノア殿の境遇に同情的で会員になった感じだったが・・・。
結局、職員全員が会員になり、その旨をエイダンのギルマスに伝えると、運営責任者のサブギルマスが感涙していたとか。
アイツは確か顔に似合わず可愛いモノ好きだったな。
---泣いて喜ぶほど、ノア殿は可愛いのかね・・・。
・・・メッチャ強いAランクなんだろう?
どうもイマイチ腑に落ちないまま、おおよそ10日で着く道程を『まだ来ないな』と待ち続ける事14日。
ようやくオーガスタに到着したようだ。
門衛からSランク冒険者の入街を聞き、ギルド前で張っていれば現れた二人組。
恋人繋ぎでアツアツだなあ。
絶対アレだろ!
「・・・・・・この建物、格好いいなあ」
綺麗で澄んだ声。
ギルドを褒められて嬉しくなり、思わず声をかけたらめちゃくちゃ驚いて警戒された。
Sランクらしいヤツには殺気にも似た威圧を飛ばされる。
げっ、ヤバい!
「あー、悪い! 俺はこの街の冒険者ギルド長のスサンダという」
慌てて自己紹介をしたが、二人の名前を言い当てたことで更に警戒された。
そこで魔法の一言をぽそっと。
「見守り隊」
これで信用してくれたようだ。
アルカンシエル殿の言葉に安心したのか、フードを外して挨拶をしてくれたノア殿に一瞬にして庇護欲をそそられた。
確かに『見れば分かる』!
恋人にとか、番いにとかの次元を通り越して護りたくなる。
過保護って言葉はこういうことに使うんだな。
無条件に見守りたくなるぜ!
そしてアルカンシエル殿。
さすが竜人、嫉妬深さと独占欲が半端ねえぜ!
そうして二人を促してギルド内に足を踏み入れると二人にめちゃくちゃ視線が集まった。
俺がいるからじゃねえ。
強者のオーラを感じているんだ。
・・・・・・いや、職員は二人の見守り隊として注目しているのかな。
そして今、受付で薬草やポーション類の確認をしている。
聞いた話だとポーション類は効能が有り得ないほど高いという事だが、うちにも卸してくれねえかな。
そう思って、後ろで空気のようになっていたが。
「・・・・・・何時までいるつもりだ?」
---アルカンシエル殿、そんなに邪険にしなくてもいいだろう?
俺達の掛け合いにクスリと笑ったのを見て勢いよく凝視したのがイケなかったのか・・・。
ぴるぴる震えてヘンな片言になっていたが。
---可愛い!
エイダンのサブギルマス!
あんたの気持ちがよく分かったぜ!
これは皆で見守り隊---!!
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