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50 オーガスタの街
しおりを挟むあれから数日、のんびりと途中で遭遇した魔物を狩り、薬草採取もしながら目的地であるオーガスタの街の外壁に到着した。
こちらもエイダンと同じように冒険者用の門があるのでそちらに向かう。
時刻は昼過ぎ。依頼を受けた冒険者が戻るには早い時間の為か、列は無く空いていた。
門衛に冒険者ギルドタグを見せて街へと入る。
エイダンと同じように門衛達に驚かれたが、アークは慣れたモノで全く動じず、ノアは相変わらずの人見知りを発揮して、アークの陰でぴるぴるしていた。
門衛達が密かに『可愛い』と騒いでいるのには気付かなかったようだが。
可愛いノアを見せびらかしたい気持ちと見せたくない気持ちでモヤッとしているアークだった。
とりあえずは冒険者ギルドだな、と向かう。
オーガスタの街のギルドはすぐに分かった。
エイダンの街のギルドと大きさはさほど変わらないが、石造りで無骨なのだ。
無駄を削ぎ落とした要塞のような。
「---この建物、格好いいねえ」
「おう、ありがとよ!」
ギルドを見上げながらノアが思わずそう漏らせば、降って湧いた声にビックリして固まり、ぎぎぎ・・・と音が聞こえそうなくらいぎこちなく首を傾げるノア。
「誰だ、あんた」
威圧を飛ばしながらノアを胸元に抱き込むアークに気負うところもなく笑って言う男。
「あー悪い! 俺はこの街の冒険者ギルド長のスサンダという。Sランクのアルカンシエル殿とAランクのノア殿、であってるか?」
「---そうだが、何故・・・?」
アークが疑問を投げかけると耳元で小さく囁いた。
「見守り隊」
「---あー、了解」
「・・・? アーク、何」
「いや、信用出来るヤツだから安心していい」
そうアークに言われて、被っていたフードを外してギルマスに向き合う。
「アークがそう言うなら・・・初めまして、ノアです」
「おお、キチンと挨拶出来て偉いな。よろしくな、ノア」
そういってポンポンと頭を撫でられた。
速攻でアークに叩き落とされていたが。
「悪かったよ。そこまで(嫉妬)するんかい。さすが竜人だな」
ちっとも悪くなさそうな顔でカラカラ笑ったギルマスに促されてギルド内に足を踏み入れる。
人気は少ないがやっぱり目線が一気に集まって、ノアはスンッと無表情モードに入った。
アークはさり気なくフードを被せて受付の窓口に向かう。
「この街の薬草分布やポーション類の確認をしたい」
「---これ、ギルドタグ」
そういってアークと一緒にノアもタグを見せた。
薬師と冒険者の両方である。
それを確認した職員は、慌ててお待ち下さいと断って席を離れた。
ポーション類を持ってくるのだろう。
すでに経験済みな為、慌てずに待つ・・・が。
「・・・・・・何時までいるつもりだ?」
アークの低い声にもビビらず、ずっと背後で様子を窺っているギルマス。
「お前らの用が済むまで待つぜ。気にすんな」
「気にするわ! 気が散るわ!」
珍しくアークが噛み付いている。
なんだか面白くて、思わずクスッと笑ってしまった。
瞬間、二人がガバッとノアを凝視したので、びくうっと肩を揺らして固まった。
「---あ、悪い」
「ノア、大丈夫か? スマン」
「え、あ・・・うん、だ、いじょぶ・・・・・・デス」
ぴるぴるしながら思わずヘンな言葉遣いになるノアだった。
---可愛い。
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