43 / 533
39 ノアとアークを見守り隊(sideエイダン冒険者ギルド)
しおりを挟む
ここエイダンの街の冒険者ギルドでは、ギルマスとサブギルマス以下ギルド職員達が集まり、秘かに密談をしていた。
前回、ノア達の騒ぎの時には用事で外出中だったサブギルマスのリクレが話を聞き、妙に乗り気だったのだ。
「あぁ、その場にいなかったことが悔やまれる!」
そういって本当に悔しそうな声音で天を仰いでいた。
「・・・お前、可愛いモノが大好きだもんな」
ギルマスのマーカスが呆れたように呟く。
このサブギルマスであるリクレは公言するほど大の可愛い物好きである。
図体がデカいからか、相反する小さい物や可愛い物が大好きで、可愛いと聞けば何を置いても駆けつけると豪語するほど。
そんなリクレが見逃した場面を、たまたま居合わせた職員達が思い出したように言うものだからリクレの悔しがりようが半端ない。
「あんなに美人で無表情な人がマーカスさんの大声で震えてしまって・・・」
「アークさんの背中に隠れたノアさん、可愛いかった」
「---ああクソ! 俺も見たかった!」
ノアの見た目は可愛いよりも綺麗に分類されるが、行動や仕草がなんか可愛いんだよなあ。
「それで提案なんだが、この際『ノアとアークを見守り隊』を結成しないか?」
リクレが言ってきたが、言われなくても結成するつもりだったぜ。
「リクレの提案に俺は賛成だ。実は隣街でノアが酷い目に合っていてな、でも本人はそうと気付いてないんだよ。箱入りなんだ。で、番いのアークも心配していたから、いっそのこと冒険者ギルドの情報網を使って定期的に連絡を取り合おうと思っていたんだ」
それを聞いて他の職員が挙手をする。
「あの、その件で、実は隣街の冒険者ギルドからすでに連絡が・・・・・・」
「何?!」
「どうして言わなかった?!」
皆に詰め寄られ、ビビる職員。
「す、すみません! あの、アークさん達がここに着く前だったので、後で確認しようと・・・」
「---まあ良い。で?」
ギルマスとサブギルマスが話を促す。
「はい、あの街のギルド職員から、二人がというかノアさんが心配だからエイダンに来たらこっそりと様子を教えて欲しいと・・・」
ふむ、とギルマスが頷く。
「向こうのギルドでも好かれていたようだな」
ノアを思い浮かべて、アレなら確かに好かれるなと思う。
大人しくて思いやりがあって純粋で。
・・・向こうでもぴるぴるしてたんかな?
・・・いや、ノアの事だ。
頑張って独りで強がっていそうだ。
アークがいるからこそのぴるぴるだな。
と、ギルマスが考えているうちに話は進んでいた。
「そうです。それで向こうも『見守り隊』を結成したかったらしくて。でも向こうは何やら領主と薬師ギルドがきな臭いらしくて大っぴらに活動出来ないそうなんです」
「---ああ、癒着しているらしいな。アークがチラリと漏らしていた。まあ近いうちに国から何かしらの動きがあるだろうが・・・確かに向こうじゃ難しいな」
「じゃあエイダンで結成しちゃっても問題ないな! ね、ギルマス? 良いですよね?!」
黙って話を聞いていたリクレがここぞとばかりに推してくる。
いや、だから最初からそのつもりだったって。
「じゃあリクレ、お前主導で見守り隊を結成、運営をする事。良いな?」
「---はい、了解です! ありがとうございます、ギルマス!!」
「あと、ちゃんと隊員は厳選しろよ。それと誓約魔法で見守り隊隊員以外は話せないようにしろ。それだけノアに関することは重要だ。・・・下手をすると国どころか世界が滅びる」
「---そこまで、ですか?」
リクレが顔を青ざめさせた。
「ノア自体も(天然で)かなりヤバいと思うが、番いのアークが(ガチ)ヤバい。Sランク冒険者なのは知っているだろうが、竜人だ。本人は隠していないがあまり知られていない。純血の竜人だ。番い至上主義のな」
「「・・・・・・」」
そう。番いの為なら世界を敵にまわすだろう。
まあ、ノアがああいうヤツで良かったが。
「そういうわけで、しっかり管理頼むぞ」
「・・・り、了解です。ガンバリマス・・・」
最後に爆弾を投下して密談は終わった。
それから数日後、密かに『ノアとアークを見守り隊』が発足された。
もちろんアークには許可を得ている。
「願ってもねえ。助かるよ。ただノアは人見知りで恥ずかしいだろうから内緒で頼むな」
そういって隊員番号1の印をタグの補足の欄に入れて貰っていた。
ギルド職員も職員用のタグの補足欄にそれぞれ番号が刻まれ、コレがないと反応しない通信魔導具を用意して貰って秘密厳守で隊の活動が始まった。
因みに番号2は運営者の特権でリクレが、3はギルマスのマーカス。以下は職員達がくじ引きで決めた。
後は随時受け付けた順番になる。
そして特殊な通信魔導具は、何も知らないノアが『それならコレを従来の通信魔導具に設置すれば良いよ』と錬金術で簡単に大量に錬成してくれた手のひらサイズの魔導具で解決済み。
冒険者ギルド同士で配送して設置するとのことで、足りなくなったら立ち寄ったギルドで依頼されるように手配して貰っていた。
もちろんキチンと報酬は支払って貰って、かなりの額のお金がタグに振り込まれてあわあわとしていた。
「・・・ま、先立つものがないと困るから、いっか」
そろそろどこかの迷宮に潜って素材集めしたいね。
---と軽く言っているが、普通はそんな軽い感じで行くところじゃないよ。
隊員達は改めてノアの規格外、常識知らずを再認識したのだった・・・。
他の隊員にも周知徹底させとこう・・・・・・。
前回、ノア達の騒ぎの時には用事で外出中だったサブギルマスのリクレが話を聞き、妙に乗り気だったのだ。
「あぁ、その場にいなかったことが悔やまれる!」
そういって本当に悔しそうな声音で天を仰いでいた。
「・・・お前、可愛いモノが大好きだもんな」
ギルマスのマーカスが呆れたように呟く。
このサブギルマスであるリクレは公言するほど大の可愛い物好きである。
図体がデカいからか、相反する小さい物や可愛い物が大好きで、可愛いと聞けば何を置いても駆けつけると豪語するほど。
そんなリクレが見逃した場面を、たまたま居合わせた職員達が思い出したように言うものだからリクレの悔しがりようが半端ない。
「あんなに美人で無表情な人がマーカスさんの大声で震えてしまって・・・」
「アークさんの背中に隠れたノアさん、可愛いかった」
「---ああクソ! 俺も見たかった!」
ノアの見た目は可愛いよりも綺麗に分類されるが、行動や仕草がなんか可愛いんだよなあ。
「それで提案なんだが、この際『ノアとアークを見守り隊』を結成しないか?」
リクレが言ってきたが、言われなくても結成するつもりだったぜ。
「リクレの提案に俺は賛成だ。実は隣街でノアが酷い目に合っていてな、でも本人はそうと気付いてないんだよ。箱入りなんだ。で、番いのアークも心配していたから、いっそのこと冒険者ギルドの情報網を使って定期的に連絡を取り合おうと思っていたんだ」
それを聞いて他の職員が挙手をする。
「あの、その件で、実は隣街の冒険者ギルドからすでに連絡が・・・・・・」
「何?!」
「どうして言わなかった?!」
皆に詰め寄られ、ビビる職員。
「す、すみません! あの、アークさん達がここに着く前だったので、後で確認しようと・・・」
「---まあ良い。で?」
ギルマスとサブギルマスが話を促す。
「はい、あの街のギルド職員から、二人がというかノアさんが心配だからエイダンに来たらこっそりと様子を教えて欲しいと・・・」
ふむ、とギルマスが頷く。
「向こうのギルドでも好かれていたようだな」
ノアを思い浮かべて、アレなら確かに好かれるなと思う。
大人しくて思いやりがあって純粋で。
・・・向こうでもぴるぴるしてたんかな?
・・・いや、ノアの事だ。
頑張って独りで強がっていそうだ。
アークがいるからこそのぴるぴるだな。
と、ギルマスが考えているうちに話は進んでいた。
「そうです。それで向こうも『見守り隊』を結成したかったらしくて。でも向こうは何やら領主と薬師ギルドがきな臭いらしくて大っぴらに活動出来ないそうなんです」
「---ああ、癒着しているらしいな。アークがチラリと漏らしていた。まあ近いうちに国から何かしらの動きがあるだろうが・・・確かに向こうじゃ難しいな」
「じゃあエイダンで結成しちゃっても問題ないな! ね、ギルマス? 良いですよね?!」
黙って話を聞いていたリクレがここぞとばかりに推してくる。
いや、だから最初からそのつもりだったって。
「じゃあリクレ、お前主導で見守り隊を結成、運営をする事。良いな?」
「---はい、了解です! ありがとうございます、ギルマス!!」
「あと、ちゃんと隊員は厳選しろよ。それと誓約魔法で見守り隊隊員以外は話せないようにしろ。それだけノアに関することは重要だ。・・・下手をすると国どころか世界が滅びる」
「---そこまで、ですか?」
リクレが顔を青ざめさせた。
「ノア自体も(天然で)かなりヤバいと思うが、番いのアークが(ガチ)ヤバい。Sランク冒険者なのは知っているだろうが、竜人だ。本人は隠していないがあまり知られていない。純血の竜人だ。番い至上主義のな」
「「・・・・・・」」
そう。番いの為なら世界を敵にまわすだろう。
まあ、ノアがああいうヤツで良かったが。
「そういうわけで、しっかり管理頼むぞ」
「・・・り、了解です。ガンバリマス・・・」
最後に爆弾を投下して密談は終わった。
それから数日後、密かに『ノアとアークを見守り隊』が発足された。
もちろんアークには許可を得ている。
「願ってもねえ。助かるよ。ただノアは人見知りで恥ずかしいだろうから内緒で頼むな」
そういって隊員番号1の印をタグの補足の欄に入れて貰っていた。
ギルド職員も職員用のタグの補足欄にそれぞれ番号が刻まれ、コレがないと反応しない通信魔導具を用意して貰って秘密厳守で隊の活動が始まった。
因みに番号2は運営者の特権でリクレが、3はギルマスのマーカス。以下は職員達がくじ引きで決めた。
後は随時受け付けた順番になる。
そして特殊な通信魔導具は、何も知らないノアが『それならコレを従来の通信魔導具に設置すれば良いよ』と錬金術で簡単に大量に錬成してくれた手のひらサイズの魔導具で解決済み。
冒険者ギルド同士で配送して設置するとのことで、足りなくなったら立ち寄ったギルドで依頼されるように手配して貰っていた。
もちろんキチンと報酬は支払って貰って、かなりの額のお金がタグに振り込まれてあわあわとしていた。
「・・・ま、先立つものがないと困るから、いっか」
そろそろどこかの迷宮に潜って素材集めしたいね。
---と軽く言っているが、普通はそんな軽い感じで行くところじゃないよ。
隊員達は改めてノアの規格外、常識知らずを再認識したのだった・・・。
他の隊員にも周知徹底させとこう・・・・・・。
408
お気に入りに追加
7,359
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる